学研9月決算、32億円の最終赤字
12・22株主総会で争議責任を追及するぞ!
会社は11月13日に09年4月〜9月期の決算結果を発表しました。また、株主総会の日程を12月22日と発表し、総会で提案する議案の一部を公表しています。
塾・教室事業など全部門で営業赤字
学研ホールディングスが13日発表した2009年9月期連結決算(6カ月の変則決算)では、売上高は331億円、営業損益は26億円の赤字で、最終損失が32億円でした。教室・塾事業が9千4百万円の営業赤字、以下、園事業が5億7千万円、学校事業が4億6千万円、家庭訪問販売事業が1億2千7百万円、学び・児童出版事業が3億4千万円、暮らし・教養・エンタメ出版事業が8億1千5百万円、その他事業が2億1千8百万円と全てのセグメントで営業赤字となりました。
教室・塾事業の売上げが32.8%増となったことで、全体の売上げは大きく落ち込まずに横ばいとなったものの、同事業も初期投資費用の影響で赤字、そして前の期の早期退職優遇制度の実施による人件費削減などで、営業赤字は9億円縮小した、としながらのこの決算結果と会社の将来展望を、10月1日ホールデングス発足にあたり、経営陣はどう考えているのでしょうか。
今期も資本剰余金取り崩しで株主へ配当。では社員は?
また、会社は12月22日の株主総会に向けて、配当は2円で、全額を資本剰余金で賄うことを決めたようです。08年3月期、09年3月期も資本剰余金を配当原資に充てました。そして、今度の株主総会では、別途積立金15億円と、資本剰余金のうち、39億円弱を取り崩し、単独の繰越欠損金54億円弱を一掃するための議案をかける、とされています。
「資本剰余金」は、もともと株主が払い込んだ資金によるものです。株主への配当は、会社が業績を上げ、その利益の蓄積に基づく剰余金の中から還元するのが本来の在り方ですが、01年の商法改正で、積み立てを義務づけられていた資本準備金と利益準備金を株主総会の決議で取り崩せば、「その他資本剰余金」として配当原資にすることが可能になりました。これはバブル期に新株発行を伴う資金調達で膨らんだ資本剰余金を株主へ返すことで資本効率を向上させる狙いが契機となったものですが、配当は利益で行うという原則を崩し、最近では赤字会社が配当を維持するための手段になっています。
業績悪化の学研も資本金を削って会社の安定的基盤を掘り崩しても株主配当をとの一種の自転車操業状態になっているのです。株主にはこれだけ顔色をうかがう手段をとっているのですが、株主の受け止めも複雑で、もともと払い込んだ資金から資本を毀損してまで配当を出されても本末転倒、という声があるのも当然です。遠藤社長は、それでは学研社員には、これだけの気遣いをしているのでしょうか?
遠藤社長は、「会社は社員のもの」と社内では言うが・・・
ホールディングス発足にあたり遠藤社長は社内報で、またまた「会社は社員のものである」「会社は社員のためにある」というのが基本的な考えであると述べています。「会社を自己実現の場にしてほしい」とか、本音とはかけ離れたことを言っていますが、年頭所感や4月号では、赤字の責任を社員におしつけるもの言いや、社員が学研の脛をかじってきたと言い、依存体質が原因だから、給料は出したくない、おとなしく希望退職に応じてやめてもらいたい、そして分割会社では赤字部門は丸ごと切り捨てられて当然というロジックに結びつけようとしていたことは既に批判してきました。
社内には、学研の先行きへの不安が広がりつつあります。分社化されて短期的成果を上げなければ部門ごと切り捨てされる恐れから、労働強化による疲弊が進行している、と聞きます。希望退職で人を減らし、新賃金制度で賃金を押さえ込み、売上げを出せと過酷な労働を迫る、という労働者への犠牲の強要をくり返すことしかしていない遠藤社長が、よくもこんな歯の浮く台詞を口にできるものだと大方の労働者があきれていることでしょう。
学研で働く人々を大切に考えるなら、争議を解決せよ!
遠藤社長がほんとうに学研で働く人々を大事に考えているなら、「科学」や「学習」等の業務を長年担い、少しでも働きやすい職場をと考えて労働組合をつくって下請の経営者と話し合いを始めた私たちに対して、委託業務総引き上げ=下請け会社ごとの倒産攻撃を仕掛けて争議を引き起こした学研経営の非と責任を認めて、謝罪し、奪った雇用を保障する形で争議の解決を図るべきです。
私たちは、12月22日の株主総会でも、学研経営の責任を徹底追及します。
学研および関連の仲間は共に闘おう!
無責任経営陣のやり方を許していては、労働者への犠牲の押しつけが強まるばかりです。学研および関連の労働者が結束し共闘すれば、持ち株会社を利用した労働者使い捨てを打ち破ることも可能です。派遣・フリー・下請けなどの非正規・不安定雇用の皆さんも、一人でも入れる地域合同労組(東京南部労働者組合が学研のすぐ隣りに事務所を構え、いつでも相談に応じます。相談は無料、組合加入は前提とせず任意です。)の力で労働条件を変えさせていくことが出来ます。共に闘いましょう。
連絡先 TEL 03-3490-0372 mail : southwind@mbp.nifty.com
エフィッシモの株買い取り請求、裁判所へ持ち込み
窮地に立たされている学研の経営陣は、自らの責任を押し隠して、自分たちだけの生き残り策を図り、会社内外に開き直りを強めていますが、そのやり方も破綻しつつあります。経営陣にとっては「内憂外患」というべきか、学研からの投資撤退を表明し、株式の買い取り請求を行った筆頭株主=エフィッシモキャピタルマネジメントとの「買い取り価格」をめぐる争いは協議不調で、11月6日、学研が裁判所へ「買い取り価格決定の」申立てを行いました。2千99万7千株は、低い買い取り価格での裁定が出されても、40億円以上にはなり、学研の今の苦しい財務内容への影響は甚大でしょう。
<秋季闘争後半戦>
10・28学研社前闘争
出勤経路を変えた遠藤社長。富樫専務は遠回りしてコソコソ入館!
早朝からの役員追及行動を行いました。遠藤社長は、午前7時34分に裏手の高速道路側から社長車で出勤。今までは五反田駅前の桜田通りを横浜方向から来て左折して本社へ到着するルートを通っていましたが、最近は、出社経路を変えました。地下駐車場へ逃げ込むまでに私たちの抗議の声を浴びる時間や出勤する労働者を前に目立ちたくないこと、などを考えてのことでしょう。しかし、この10月28日は、私たちがこの出勤経路に今までより多くいたため、遠藤社長の車の周囲から「遠藤社長は争議を解決しろ」等、力強く抗議の声を浴びせることができました。
7時48分には古岡秀樹取締役が五反田駅方向から歩いて出勤してきたので、「団交に応じて争議を解決しなさい」と「団交要求書」を示して迫りましたが、秀樹君は受け取りを拒否し、裏手の社員通用口へ逃げ込んでいきました。
早朝出社の遠藤社長に抗議 古岡秀樹取締役に抗議
また、富樫専務は五反田駅を降りて、私たちが来ていることを知ると遠回りしてポーラビルの線路側を通り、高速道路下から社員通用口の方へ回り込んで来ました。そこで私たちの仲間に見つかり、抗議を浴びて入館していきました。夏に石川台の自宅訪問・団交申し入れを行ってから、朝の出勤時間に姿を見せないと思っていたら、やはりこんな逃げ隠れをしていたのでした。組合の正当な争議行為に対して、電話口で「対応を取りますよ」と力んで言っていましたが、こんな「対応」とは。
その他、出勤してきた本間監査役、和田監査役へも抗議を行いました。
11・24学研社前闘争
受付へ通すようにと団交申し入れ!帰宅する遠藤社長へ抗議!
会社側、「責任者は皆出払っている」と言っていたが・・やはり嘘!
11月24日、学研本社での闘いは、午後3時から、社内へ向けた団交要求から開始されました。社前に横断幕・旗・幟で争議状況を現出し、正面玄関前で全体でシュプレヒコール、この後、代表団が受付へ向かいました。しかし、会社側はガードマンを立ちはだからせて受付へ近づかせまいとしました。「申し入れに来た。ここは受付ではないでしょう。建物の中に入れなさい」と抗議、「ここを受付替わりにするなら、ここへ役員、責任者を出しなさい」と要求しました。ガードマンは自分では判断できない、ということで上に聞いて来ると言って、電話をしに行きました。戻ってきて、「責任者は皆、出払っているので日を改めて来てくれ、とのことです」との答え。「では総務の人間に団交要求書を渡したいから出て来るように言ってほしい」と言うと、また上に電話しに行きます。戻ってきて「総務も嘱託社員以外、皆出払っていていないそうです」とこれまたあり得ない返答でした。
受付へ通すように迫る代表団 ガードマンが困って中に取り次ぐも・・・会社は居留守対応 社内から出てきた遠藤社長に抗議
「それでは会社前で待機している、中から役員らが出てきたら嘘だったということになりますよ」と言い、社前でのはりつき・抗議行動に移りました。来客や地域の労働者へビラ配布、この日も受け取り良好でした。ビラ配布と合わせ、マイクでふじせ争議について、そして学研の経営状況などにつき訴えを行いました。秋から冬へ、日没が早くなってきました。冷たい風も吹く中、訴えていると、通行人の方が「学研は悪い。カンパをしてもよいですか」と申し出てカンパを寄せてくれる場面もありました。
夕方5時15分、あたりも暗くなった頃、遠藤社長の乗った車が地下駐車場から上がってきました。会社敷地から出たところで、私たちのシュプレヒコールを正面から浴び
て、左折しようとしていた車はあわてて右折して反対方向の道へ。こちらからも私たちの仲間が別のマイクでリードして抗議の声。車内にはマスクした遠藤社長の姿が。車の周囲から抗議を浴びながら、遠藤社長は帰路へ。
夕方5時半過ぎ、会社側の嘘の対応につき糾弾するシュプレヒコールを上げ、行動を終了しました。21名の仲間の結集で、また新たな展開での行動を成功裏に打ち抜きました。