学研、ホールディングス発足で
          早くも最初の躓き

コンピュータ、分割会社仕様
          に対応できず、出荷ストップに!

 10月1日から学研ホールディングス発足となりましたが、早くも最初の躓きが待っていたようです。これまで各事業分野の出版物を一括して「学研」として販売していたものを、学研ネクスト、学研教育出版、学研パブリッシングなどに分社化したために、注文に対して振り分けて発送しなければならなくなったことに対して、コンピュータシステムが対応できず、3週間以上にわたり受注・出荷作業が完全にマヒしてストップしてしまいました。売上げが立たない分は、第65期(2010年9月末決算)の業績に響く痛手となったばかりか、顧客への信用にも傷が付く結果となりました。
 お粗末としか言いようがありませんが、株主総会での株主の反対の声を押し切って議決を強行し、ホールディングス発足をごり押しした学研経営にはいかにも相応しい失態と言えるでしょう。
エフィッシモが株式買い取り請求
学研、買い取り資金調達で青息吐息!
 学研は、事実上の筆頭株主であった投資ファンドのエフィッシモキャピタルマネージメントから9月30日に株式の買い取り請求を受けたと発表しました。買い取り価格や支払時期については今後協議するため、未定としています。買い取り請求されたのはエフィッシモが保有する全株式で、3月末時点の発行済み株式数の19.81%にあたる2099万7000株。エフィッシモは6月開催の定時株主総会で会社分割議案に反対し、これを踏まえ買い取り請求権を行使したもの。
 10月26日になって、学研ホールディングスの遠藤洋一郎社長(67)は、買い取り価格をめぐり10月中は2社間で協議していくことを明らかにしました。 遠藤社長は22日、「価格について10月中は双方で話し、解決しなければ裁判所で話し合う」と述べたと伝えられています。
 買取価格について、学研側は「会社分割の実施日や発表日の株価も大きな目安になる」(学研HDが会社分割を実施した10月1日から過去1カ月の株価平均は220円、3カ月では同194円。)との見方を示し、取得価格や資産を基準として買い取り請求したと思われるエフィッシモ(学研株の平均取得価格は1株313円で取得資金の合計は約65億8千万円、学研HDの2009年3月期1株当たり純資産は324円)の主張との間に大きな開きがあります。1株の買い取り価格10円の差で学研HDの支払額は2億円違ってくるということです。
 今年7月10日、学研の筆頭株主であるエフィッシモキャピタルマネジメントは 学研の現状につき、「不祥事が発生するなど適切な経営管理体制が構築されていない」、「事業計画の未達が常態化している」「再任された取締役らの経営能力の欠如は明らか」等として、「改善は困難」で、「今後の貴社の企業価値は毀損されていくと考えられる」等の判断理由から投資の撤退を検討するとの表明を学研経営に行っていました。
 買い取り価格がいくらになるかの思惑で、どうやら仕手筋とおぼしき投資家が絡んで、また8月末から民主党政権による子ども手当が教育関連企業に追い風との根拠の薄い買い煽りも行われて株価が10月26日まで上昇を続けてきました。しかし、そんなつかの間のバブルよりも、学研にとって深刻なのは、学研HDの前期(2009年9月期=変則6カ月決算)純損益予想は34億円の赤字となるなど、 赤字体質も改善されていない中、株買い取り資金40〜60億円を調達しなければならないことです。本社も売却して資産もない中、銀行団からの借入も容易ではないはずです。
三井住友にすがったのか?学研教室にVISAカード導入
 そこで憶測を呼んでいるのが、三井住友との以下の動きです。
「株式会社学習研究社(社長:遠藤 洋一郎、以下 学研)と、三井住友カード株式会社(社長:月原 紘一、以下 三井住友カード)は提携し、学研が運営する学習塾「学研教室」 の月謝決済が可能な「学研教室三井住友VISAカード」を、2009年9月9日より募集開始いたします。」との発表がされました。「全国1万5千か所におよぶ学習塾『学研教室』に通うお子様をお持ちの方を中心に、便利でお得にご利用いただけるカードです。また、ご返済実績に応じて適用利率を優遇するローン専用カード『学研教室教育ローンカード』を追加で発行することが可能です。」としています。
 この見返りで三井住友にエフィッシモから買い取った株の一部をはめ込むか、あるいは買い取り資金を借り入れるかするということではないかとの疑いが出てきます。しかし、下図の19.81%の株=50億円前後の総額を満たすことは困難です。将来性のない学研相手にそこまでリスクを冒すような金融機関や大株主は現れないでしょう。

発行可能株式総数399,164,000株.発行済株式の総数105,958,085株.
 株主数8,860名.大株主(上位10名)
株主名           当社への出資状況 持株数(千株) 出資比率(%)
ロイヤルバンクオブカナダトラスト
カンパニー(ケイマン)リミテッド  20,997   19.81
財団法人古岡奨学会        13,888   13.10
株式会社三菱東京UFJ 銀行    4,703   4.43
凸版印刷株式会社           3,234   3.05
株式会社廣済堂            3,204   3.02
学研取引先持株会           3,135   2.95
株式会社三井住友銀行        3,000   2.83
日本トラスティ・サービス信託
銀行株式会社(信託口4G)      2,913   2.74
株式会社明光ネットワークジャパン  2,844   2.68
大日本印刷株式会社          2,368   2.23
オリコに続くカード導入で混乱は・・?
 また、学研教室の月謝決済については、既に伊藤忠商事と提携した際に、系列のオリコカードを導入しており、その強引なやり口に対しては教室指導者や保護者からクレームがあがり、07年の株主総会で私たちも追及を行ったところでした。わずか2年あまりで、今度は三井住友カードを導入するということでは教室サイドの混乱は避けられないことと思われます。無定見な提携や株式持ち合いをくり返し、今度は持ち株会社発足に伴うエフィッシモとの争いから、現場につけをしわ寄せして恥じない、懲りない、という学研経営のやり方は、結局、墓穴を深く掘り続けるものでしかないと言われても仕方がありません。
秋季闘争、始動!
9・28学研社前闘争
 9月28日、秋季第1波の社前行動を展開しました。7時35分、遠藤社長の乗った車が出社してきました。高速道路下の道から入ってきて社屋を左回りする形で正面玄関前に来た社長車(No9311)の周囲から抗議を浴びせました。社長車は地下駐車場に逃げ込んでいきました。
 8時20分頃には木村取締役が五反田駅方面から出社してきたので、「団交要求書を受け取りなさい」「争議を解決しなさい」と抗議追及の行動を浴びせました。木村取締役は7月の社前行動でも、出勤する多くの学研及び地域の労働者に隠れるようにしてやってきて私たちに見つかると顔をこわばらせていましたが、この日は覚悟を決めたのか抗議の声にも開き直った態度でした。
 この後、9時過ぎまで朝ビラ配布行動を行い、全体でシュプレコールを上げ、はりつき行動へ。当該から社屋周辺でマイク情宣を行い、10時までの行動を打ち抜きました。

  9・28早朝出社の遠藤社長に抗議。地下駐車場へと逃げ込む社長車

学研経営に加担する明光ネットワーク
  を糾弾し、各地で教室周辺ビラを配布!

 
学研の提携先で、申し入れ拒否のみならず、労働運動弾圧を専門とする警視庁公安2課までを導入するという悪質な対応を取っている明光ネットワークジャパン。9月29日を皮切りに、同社が展開する教室=明光義塾が存在する各地域で、下請け組合潰し=倒産・解雇の争議責任を居直る学研経営とこれに加担する明光ネットを糾弾するビラ配布、情宣行動を開始しました。
10・13学研社前闘争
 12時30分からの社前行動。この日は午後のはりつき、抗議・情宣でした。ビラ配布を開始して間もなく、すぐに数が足りなくなってしまいました。すぐに学研社屋隣りにある組合事務所に仲間が戻って、さらにビラを増刷りして、配布しました。ホールディングス発足やエフィッシモの動きにも触れた一般ビラでしたが、学研関係者や来客の皆さんだけでなく、地域の皆さんの受け取りが良好でした。
 私たちの争議の意義と学研経営の不当性、問題体質が地域にも浸透してきています。
 小休止して社前に座り込み。最後はシュプレヒコールを社屋に叩きつけて行動を終
了しました。
 学研の役員たちは私たちがいる間は社屋からの出入りも控えて姿を見せませんでした。


<共闘報告>
9・30南部集中闘争=品川臨職佐久間さん不当解雇34周年糾弾・大井町デモ、 秋雨前線接近であいにくの天候だったが、77名の結集で品川区庁舎前集会と大井町駅付近までのデモが力強く闘われました。
10・22争団連統一行動=論創社社長宅−明大生協・大学会館−品川庁舎前
10月9日、全争議団闘争勝利総決起集会の成功をかち取り、10月22日には、3現場を貫く闘いが、のべ212名の結集で打ち抜かれました。社長に争議解決を迫り、大学及び品川区当局に団交要求行動、それぞれ迫力ある現場行動となりました。
11・27出版関連労組交流会議・秋季シンポジウムに参加を!
 出版関連労組交流会議恒例の秋季シンポ。今年は、「新世代へ繋ぐ闘いのことばは何か」とのテーマで開催。講演はノンフィクション作家の吉岡忍さん。乞うご期待。
 11月27日(金)午後6時30分〜9時  会場=日本教育会館9階第5集会室