争議解決なくして
  学研の再出発はあり得ない

 学研の持ち株会社発足(10/1〜)にあたって
 会社が強行してきた学研ホールデングスの10月1日発足が間近です。社内では新しいロゴマークやスローガンの公募結果の発表なども行われ、「新たなスタート」へのキャンペーンが盛んに行われています。
 しかし、「経営立て直しが実現したら移転」と言ってきたにもかかわらず、昨年夏、ボロ船のままの出航=本社五反田移転に踏み切らざるを得なかったのと同様に、現経営陣の無責任と醜悪な居座り策によって推し進められる持ち株会社の実態は、晴れやかに発足を祝えるようなものでは到底ありません。「パルス」先号(7月27日発刊)でも株主総会の詳報をお伝えしましたが、労働組合との交渉の窓口をめぐる質疑応答ひとつとっても、持ち株会社が学研で働く労働者にどのように責任を負っていくのかにつき、
ごまかして実態をおし隠していることが明らかです。そして、持ち株会社の目的をめぐる以下のやりとりが、経営陣の狙いを明らかにしています。

木村取締役  くりかえしになりますが、当社の持ち株会社制を導入しようとする最大の目的は、自己責任
         に基づいた自主独立の事業体を構築するためであり、大幅に権限を委譲すると同時に、責
         任を明確化し、意思決定の迅速化と市場に即応した機動的な事業運営を可能にするための
         組織改革を実施するということにあります。
株主B      私はそれを聞いて、また報告書を見て唖然としているわけです。  (中略)  自らの経営
         責任を一切取ってこなかった経営陣が、自己責任を明確にして事業会社の責任を取るなん
         ていうことができるんですか?私は、自分たちが責任を取らないために行う持ち株会社制へ
         の移行としか理解できないんですけど。いかがでしょうか。
木村取締役  経営計画の未達成についての経営責任については先ほど富樫専務の説明どおりであり、
         心からお詫び申し上げます。ただ、新経営計画については前経営計画を放棄したとは考え
         ていません。今回の持ち株会社制の導入による決算期の変更に伴いまして、それを継承し
         た形で経営計画を作成したつもりです。    
株主B      昨年、3度にもわたって希望退職を募集するとか、新賃金制度を導入し賃金切り下げする
         とか、私の目から見れば、自分たちの経営の失敗のつけを働く者たちにおしつけるという責
         任逃れのことをやってきている、今度また持ち株会社制を導入するということは、自分たち
         の責任は棚上げにして、事業がうまくいかなければ、事業部門ごと切り捨てたり、労働者を
         大量に首を切ったり、あるいは責任を問うという形で労働者をたらい回ししたり、そういうこと
         をやりやすくための現在の学研の分社化と持ち株会社への移行としかとらえられない。それ
         よりも、このかん生み出してきた自分たちの問題の責任をしっかりと取る、あるいは昨年の
         株主総会等でも現在の役員体制にいろんな問題があるのではないか、と出されていたこと
         などに、自己検証をきちんとして、そういう問題を正すことの方が、持ち株会社へ移行するこ
         とよりも何よりも急務ではないか。そういう考えから私は第2号議案には断固反対します。
          持ち株会社への移行というのは自分たちの責任を取らないための施策というふうにしか取
         れない、ということを重ねて言いたい、そうではないというなら、それをしっかり示してもらいた
         い。
 株主のこうした質問に経営陣はまともな答弁を全くできていません。そして、多くの株主の質問に追い詰められると、遠藤社長(議長)は、まだ挙手している何人もの株主を無視して、強引に質疑を打ち切り持ち株会社発足等を強行採決したのです。
 2009年10月1日の学研ホールデングス発足は、いかに体裁を飾っても多くの学研労働者の犠牲によって血塗られた土台に建てられた廃墟でしかありません。学研が真に生まれ変わる道は、これまでの問題体質に侵された無責任経営を根本から改めることなくして拓けません。その課題の典型となっている私たちとの争議を解決すること、これなくして学研の再出発はないことを経営陣は肝に銘ずべきです。
学研の第一四半期決算、16億円の最終赤字
 8月12日に学研の第一四半期決算短信が発表されました。2009年4〜6月期連結決算は、最終損益が16億円の赤字(前年同期は、本社ビルの売却益90億円を計上して63億円の黒字)でした。赤字事業の縮小などにより営業損失は16億7千万円、経常損失15億9千万円と共に2億円程度の損失減となりましたが、資産売却の特別利益を計上した昨年同期を例外として、毎年同じ学研特有の赤字パターンに今回もはまっています。赤字事業の一部撤退や人員削減、賃下げ賃金制度などによるコスト切り詰めの結果がわずかに現れているだけで、業績の展望が開けている状態ではありません。
 売上高は前年同期比5%減の155億円。教室・塾事業はM&A(合併・買収)により、創造学園や早稲田スクールなどが前連結会計年度末より連結子会社に加わったことなどにより30%の増収でしたが、園事業で13%、学校向け教材販売事業で18%、家庭訪問販売事業で22%、雑誌や実用書などを扱う事業でも販売減や広告の落ち込みから18%とそれぞれ減収となっています。
9月末の決算の発表は、11月半ば頃でしょうか。これを受けて決算期変更に伴う株主総会が12月に予定されているようです。
 学研の株価が、8月26日に急騰でストップ高220円を記録しました。米国の景気底打ち感に加え、「民主党圧勝予測で子供手当支給」が教育関連株に好影響などと学研株購入を煽る動きが起き、今も続いていますが、子ども手当支給で学習塾が儲かる、というのは風が吹けば桶屋が儲かる式の根拠の薄い話です。学研の実態を知らない新規の株主が、ヤフーファイナンスの株主掲示板などで、願望を込めて書き込んでいますが、「教育のことになれば、やはりドラえもんのこの会社」などと勘違いを書いて(ドラえもんは小学館)いるのを見ても、思惑買いはいい加減な話だと感じさせてしまいます。
<ふじせ闘争、夏の闘い>
 先号での未掲載分も合わせて、株主総会闘争以後の闘いの報告を掲載します。
6・27学研イベント社前闘争
 6月27日、学研本社で行われたフィンランド元教師を招いたミニイベントに対し、出席の皆さんにビラを配布しました。
 12時半から社前へ。土曜日でひっそりした本社周辺。最初は、案内の看板も受付もなく、ガードマンもいませんでした。12時45分頃にガードマン2名登場、受付2名も準備を開始。午後1時近くなってから、参加者が入り始め、ビラを配布しました。参加者は小学生を含めて65名ほど。多くの保護者に争議の実状を知らせるビラを受け取ってもらえました。猛暑の中の行動をやり抜きました。
7・11東京国際ブックフェア情宣を展開!
 今年も、東京国際ブックフェア会場前での情宣を行いました。12時30分からゆりかもめ「国際展示場正門」駅前でビラ配布を開始、りんかい線の駅側にもビラ配布隊を派遣して配りました。この日は、出版関連の4争議団で共催し(ふじせ闘争、教育社闘争、論創社闘争、山田書院闘争)、マイクでのアピールもリレー情宣を行い、出版業界でのそれぞれの争議の存在を参加者に訴えました。
今年も受け取りが良くビラは約一時間で2400枚がほぼ完配となりました。「学研はどうなっているのですか」などの質問が多く、また論創社のことを知る人も話しかけてくるなど反響は大で、今回の情宣行動も成功でした。

    7・11東京国際ブックフェア会場前              7・27学研本社前
                                         顔をこわばらせ逃げる木村取締役
7・11富樫専務自宅申し入れ
 7月9日夜、富樫専務の自宅へ争議解決のための話し合いを設定するように求めて電話しました。夫人が応対し、「まだ帰宅していません」とのことなので「またおかけします」と切りました。まもなく富樫専務の方から電話がありました。 「富樫ですが」というので「ふじせ労組のKです」と応答すると彼はびっくりしたようで慌てて切ってしまいました。夫人が名前をよく覚えていなかったのか、とにかく発信番号表示を見てかけてきたようですが、相手がふじせ労組と分かり仰天したようです。すぐにまたこちらからかけると、長くコールしてから夫人に促されたのか富樫サンが出ました。「学研のためにも話し合って争議を解決した方がよいでしょう」と語りかけると、「そういうことやるんですか。自宅にまで。対応取りますよ」と居直った態度に出てきました。こちらから会社前でも逃げ回っている以上、どこへでもかける旨の返答をすると、富樫専務は「対応取りますからね」と一方的に切ってしまいました。対応を取るなら、このような不誠実な居直りでなく、適切な対応を取って欲しいものです。彼は、全学研労組発足時には組合員だったと聞いていますが、変われば随分と変わるものです。
 このような悪質対応を受けて、7月11日に、富樫専務の自宅(大田区石川台)へ直接申し入れに赴きました。 マンション8階の富樫宅インターホンを押すも、応対無しでした。遠藤社長のアドバイスか、居留守対応または予測して外出逃亡したのでしょう。
 やむを得ず、下に降りて地域へビラ入れを行いました。管理組合理事長という女性が「裁判でかたが着いている、と聞きましたが」と話しかけてきました。富樫専務が話したのかと聞くと、そうだといいます。わざわざ自分から、組合が来た時に備えて話をしていたようです。「裁判は全体のごく一部の判断で争議は解決していないのでやっているのですよ」と伝え、住民に迷惑にならないようにしていただきたいとの要望には、気をつけてやります、というと少し安心したような様子で「よろしくお願いします」との返事。富樫専務が偏見を吹き込んでいたのは明白ですが、そんなエネルギーは争議解決へ向けるべきです。
7・15建築講座イベントへ情宣 
 7月15日、学研子会社ココファン小早川社長が講演する「建築講座」のシンポが行われた田町の建築会館でビラ配布、マイク情宣を行いました。該当するプログラムは午後からで、昼休みの時間帯に行動を展開、イベント参加者、会館関係者など多くの人々にビラを受け取ってもらうことができました。
7・27学研社前闘争
 7月27日、学研社前での社長・役員への団交要求および学研・地域の労働者へのビラ配布情宣を行いました。
 7時45分頃、遠藤社長の乗った車がいつもと反対の高速道路下から五反田駅方向へ向かう道を左折してUターンするように地下駐車場へ入っていきました。8時15分頃には 木村取締役が、駅方向から出勤してくる人波の陰に隠れるようにして出社してきました。「木村取締役、団交に応じて争議を解決しなさい」と抗議し、社屋正面玄関から逃げ込んで行く背中にシュプレヒコールを浴びせました。彼は、見つからないと思っていたのか、追及を受けて、やや動揺し顔をこわばらせていました。
朝ビラは、株主総会の詳報を掲載して、約500枚近くを配布しました。いつもに増して反響ありでした。
8・6 教育工学研修セミナーへ情宣行動 
 8月6日、港区港陽中学で行われた恒例の学研イベント「教育工学研修セミナー」に対して情宣行動を行いました。
 9時からお台場海浜公園駅で、「学研の倒産・解雇攻撃を許さない」等の横断幕や旗を掲げ、ビラを配布しました。マイク情宣も行い、イベント会場へ向かう小中学校教員や駅を利用する通勤客らに争議の実状を訴えました。9時50分に 駅頭情宣を終了、移動し、イベント開始(文部科学省後援挨拶)時の間際に港陽中学前にてシュプレヒコールを上げて行動を終了しました。真夏の暑い中、多くの支援の仲間に支えられ、ビラも多数配布することができました(イベント参加者も半数以上がビラ受け取り)。

<共闘報告と日程>
9・3南部反弾圧学習会開催 「経営法曹の戦略に切り込む」とのテーマで、南部労組アール闘争でも活躍中の山本志都弁護士を講師に南部交流会の充実した学習会を開催。9・12全都反弾圧闘争 「労働者弾圧をはね返そう、治安国家化を打ち破れ」として今年も34回目となる集会が千駄ヶ谷区民会館で開催され、土曜日午後の原宿・渋谷を140名を越える仲間の結集でデモ行進、宮下公園のナイキ化にも反対の声を上げた。
9・30南部集中闘争=品川臨職解雇34周年糾弾、庁舎前集会・デモへ!
   18時品川区役所庁舎前集合 抗議集会の後、大井町駅頭へデモ
10・9全争議団闘争勝利総決起集会 9月5日に総会を開催した争議団連絡会議は 10月9日(金)18:30〜豊島区民センターにて決起集会を開催。秋の闘いへ!
10・22争団連統一行動  明大生協闘争大学会館前ー品川臨職闘争庁舎前行動へ!