6・25学研株主総会
  詳報
持ち株会社化、経営計画の相次ぐ破綻、
ふじせ争議の責任等々で経営陣への批判続出
の中、悪質運営で場内騒然!

 
さる6月25日、学研の第63回定時株主総会が五反田の本社で行われました。私たちは、朝8時過ぎからの会社前情宣行動と会場内での質問権の行使による争議責任・経営責任の追及を行いました。筆頭株主の旧村上ファンド(エフィッシモキャピタルマネジメント)が遠藤社長の再任への不支持、持ち株会社発足等の決議事項にも反対の意向を事前に表明するなど、今年も波乱のうちに開会されることになりましたが、会場内での質疑・応答は、例年以上に多くの株主の学研経営陣への批判・追及・疑問の声が、持ち株会社への移行、経営計画破綻やふじせ争議の責任などをめぐって巻き起こり、追い詰められて居直りの運営で乗り切りを図る役員たちの総会運営に対しても怒りの声が炸裂し、場内は騒然となる展開となりました。以下、総会全体の詳報を一挙掲載します。
 総会は、10時から開催され、議決権行使の株主数、定足数の確認、本間監査役から監査役会の報告、事業報告(プロジェクターと音声)、遠藤社長による決議事項についての説明の後、質疑・応答が行われました。

<書面質問への回答>ゴチック部分はコメント・注記
 最初に書面での質問への回答が富樫専務から読み上げられました。
以下、書面回答は一部省略し紹介。
 経営計画の未達成に対する経営責任について
 当期においては人件費の圧縮や赤字雑誌の休刊、さらには在庫の調整が進み、損益面での改善は見られましたが、直販事業や市販雑誌事業の売上げ及び広告収入の減少に加え、予想以上に景気の後退の影響もあり、まことに遺憾ながらこのような結果になり、株主の皆様には心からお詫び申し上げます。新経営計画を達成し、確かな収益基盤を構築することこそが経営の責任を全うすることと考えております。
 昨年も「経営計画の達成こそ経営陣の責任の取り方だ」と述べていて、未達に終わって経営責任を取っていないのに、また同じ空約束で責任逃れをしている無責任ぶりにはあきれるほかりません。対外的にも信用を失っていることを自覚しているのでしょうか?
 普通配当に特別配当を加えた期末配当の実施について
 当社は、より短期的な業績に連動させるよりも、中長期的な安定配当を維持・継続することを株主様への利益還元の基本とした上で、今後の中長期的な事業活動や経営基盤の強化に当てるため適正な内部留保の確保にも考慮し、加えて業界全体の経済情勢や当社の業績などを総合的に勘案して配当金額を決定しております。当期は前記に引き続き同額の普通配当に加えて、昨年5月本社土地・建物を流動化したことに伴う特別配当を実施する旨公表しており、本総会にお諮りする次第です。
 後の質疑応答を参照
 持ち株会社制度導入についてのお尋ねですが、当社が持ち株会社制を導入する最大の目的は、自己責任に基づいた自主独立の事業体を構築するためであり、大幅に権限を委譲すると同時に責任を明確化し、意思決定の迅速化と市場に相応した機動的な事業運営を可能にするための組織改革を実施することにあります。なおコスト削減は企業の体力の弱体化を招くのではないかというご質問もありましたけれど、そのようには考えておりません。さらに持ち株会社化により労働条件が悪化するのではないかというお尋ねがございましたが、そのようなことはございませんし、各子会社の業績などにより賃金・労働条件の差が生じるということについては十分配慮してまいります。     後の質疑応答を参照。持ち株会社導入の狙いを隠す答弁です。
 学研グループ経営計画2010と新グループ経営計画2011の投資計画についてのお尋ねですが、当期による資金調達の使途のうち、大きなものとしては創造学園、早稲田スクール、明光ネットワークジャパンなど塾事業での提携と投資に約28億円、借入金返済に約51億円、早期退職優遇制度関連で約13億円、でございます。新グループ経営計画GAKKEN2011での投資計画については、前の計画を継承して実施してまいります。
 早期退職優遇制度の実施についてのお尋ねですが、当社は従前よりニューライフサポート制度を実施してまいりましたが、今回の早期退職優遇制度の実施は、その特例として退職金を優遇するなどした措置です。ニューライフサポート制度の目的は社員にとっては社員個々人の人生観の多様化に対応するものであり、会社にとっては経営基盤の強化と競走力の向上を図るものであります。ご指摘のような従業員への犠牲を強要するものではありません。
 「人生観の多様化に対応するもの」とは聞いてあきれるほかありません。年間三度も実施する異常事態が、経営の都合による犠牲の強要でしかないことを示しています。
新人事制度に関連したお尋ねですが、一般社員、管理職と経営層、そして組合、社外の専門家など社内外の声を集約しながら、様々な角度から検討を重ねて確定しました。その過程で、従前の年功を基本とした運用を改め、頑張った人が報われる制度をめざすことになり、具体的な制度策定も社内プロジェクトや人事制度改革サポーターなどの協力も仰ぎながら進めてきました。改訂前の年齢別、比較等級別の賃金実態を分析すると、過去の制度とその運用が結果として極端な年功偏重になっている部分があり、その影響で頑張っているのに報われない年齢層があると判断し、結果としてごく一部の社員の月例賃金が下がるケースが出ました。ご質問の趣旨はモラール低下を懸念されているようですが、むしろ変更前の制度を維持することの方が、モラールの低下につながると考えました。長期展望に立った人事制度の改正であるとご理解お願い申し上げます。
 社員の30%が賃下げになるのが、「一部」でしょうか?
 当社人材の活かし方についてのお尋ねですが、持ち株会社下の各事業子会社等が自社内で人事配置をフレキシブルに行うのは従前どおりですが、その枠を広げて例えば経営系、編集系、管理系というように学研グループの中を同一系統の中での会社間の人事交流を積極的に行ってまいる所存です。さらにこうした系統分類にとらわれない、学研グループ全体での会社間での積極的な人事交流のためにフリーエージェント制や学研グループ内人材公募制の導入なども前向きに検討したいと考えおります。
 次に格差社会の認識についてのお尋ねですが、格差拡大の社会状況に対して、当社の企業理念、「すべての人が心ゆたかに生きることを願い、今日の感動、満足、安心と明日への夢と希望を提供します」にもとることなく行動していく所存でございます。
 下請労組や代理店、教室等に対する対応や、教育、出版事業へのコンセプトなどにおいて学研経営の姿勢が、格差・貧困の拡大の社会状況に同調・癒着した面を有していることに全く無自覚です。
コンプライアンスおよびコーポレートガヴァナンスについてのお尋ねですが、当社のコンプライアンス体制はお手元の招集通知の18頁の「業務の適性を確保するための体制」に記載のとおりでございますが、グループ全体をカバーすることに留意してございます。コンプライアンスについては見直しを実施し学研グループ全体の研修会等を開催するなど周知徹底に努めております。・・・当社は外部の方々によるガヴァナンス評価委員会を設置しており、評価委員の方々に客観的な意見をもとめるなど、ガヴァナンス機能の強化に努めております。また昨年度は内部統制委員会の一部機関でありますリスク管理委員会を中心に編集上の表現についても再検討しマニュアルを作成しました。同時に社員研修会も実施し、事故防止に努めてまいりました。これらの対策は今後も継続して実施してまいります。
 組織だけ作って機能していないこと、不祥事続出の反省はないようです。
 家庭訪問販売事業の体制についてのお尋ねですが、家庭学習事業部は持ち株会社制への移行に伴い、家庭学習教材等の訪問販売事業を既存子会社である研秀出版株式会社に承継し、研秀出版の商号を株式会社ネクストとして事業を展開してまいります。そのシナジーを活かして既存路線の拡大や新しい展開を図り、家庭訪問販売事業のみに限定しない事業に変えていき、独立子会社として完全に自立した会社をめざしてまいります。
 出版事業における抜本的策と人材の活用についてのお尋ねですが、出版不況と言われる中で当社の児童書、学参書、生活実用書を中心とする書籍分野は堅調に推移しております。これからも教育の学研、いや教養・実用の学研という企業ブランド力を活かしてこの書籍分野を積極的に拡大してまいりたいと考えております。雑誌分野では、選択と集中を徹底して実施するほか、雑誌をツールとした多角的事業の展開を目指してまいりますが、実施にあたっては、人員配置に十分配慮してまいる所存であります。
 学び・児童出版事業分野の売上げは6・6%減となっており、堅調などと言える状況ではありません。
 高齢者福祉事業の取り組みについてのお尋ねですが、当社の事業展開は介護保険サービスと介護保険制度外の高齢者専用賃貸住宅を組み合わせたビジネスモデルであり、介護保険制度の変更に伴うリスクが他社に比べて低いという特徴があります。高齢者専用賃貸住宅分野においては、4年前に全国初の終身賃貸借契約を締結するなど、当社グループは業界内でも先駆的な取り組みを行っており、他社の介護事業とは異なり高い収益性と安定性を持つ事業体として成長が期待できるものと認識しております。なお、第一生命ウエルライフサポートから訪問介護事業を引継ぎました件については順調に進行しております。
  悪質で官僚的な総会答弁をくり返す木村取締役をトップに頂くココファンが、老人や介護労働者に優しい運営を展開できるのか、不安の方が大きくなります。第一生命から引き継いだ事業も進捗の実態は分かりません。 
 教室・塾事業におけるM&Aの進捗状況と事業の拡大策についてのお尋ねですが、当社ではグループ経営戦略の基本方針としてグループ価値の最大化に徹し、事業および経営資源の効率化と最適化をめざしております。そのため、成長性や収益性のある事業は他社との業務提携や資本提携、ならびに友好的なM&Aと積極投資を行い、売上げと利益の拡大を図ってまいりました。ここ数年において、教室・塾事業におけるM&Aによりグループ化した会社は、前記までは赤字でしたが、当期には一部の会社を除き黒字に転じております。今後は個別事業体における利益貢献に加えて、直販教材や物流面などグループ全体での生徒数拡大によるシナジーを見込んでおります。また、今後のこの事業の拡大策につきましては、招集通知の9頁に記載のとおりです。ここ数年で業務・資本提携を進めてきた有力進学塾を中心に各地域でナンバー1の教育サービス事業の展開をめざします。さらに地域進学塾各社をグループ化し、全国統一ブランドで展開している学研教室との横断的戦略を推進し教育サービス事業の全国的なネットワークを構築してまいります。
 学研教室の高いロイヤルティなど問題ある実態や受験塾の将来も安定的なものではないことなどは、隠されての報告です。
 連結および単体の財務諸表についてのお尋ねですが、まず、長期貸付金につきましては、新たに連結子会社となった株式会社早稲田スクールの建設協力金を連結決算に取り込んだことなどにより、増加しております。差し入れ保証金の増加の主なものは、新本社ビルの賃貸借契約に基づく差し入れ保証金が発生したことによるものです。
 売り掛け金や棚卸し資産についてのお尋ねですが、連結貸借対照表の棚卸し資産は前連結会計年度末に比べ、約2億円減少いたしました。前連結会計年度より棚卸し資産の評価に関する会計基準を適用し、回転率の悪化した在庫は一定の基準に基づいて評価減しております。63期、同基準より評価減した在庫は、前連結会計年度に対して5億円減少しており、在庫の回転率は改善しております。連結貸借対照表の受け取り手形および売り掛け金は前連結会計年度末に比べ、約3億円減少いたしました。主な要因は第四四半期の売上げが、前記に対し2億円減少したことによるものです。返品率については定期誌、書籍ともに前記とほぼ同水準で推移しました。今後とも企画の厳選等により、返品率の動向についても注視してまいります。
 売上げ原価、販売費および一般管理費についてのお尋ねですが、子会社の株式会社学研ロジスティックの外部売上げに直接かかる費用、および教室・塾事業の子会社4社における家賃・講師料その他の経費について監査法人の指導を受け、販売費および一般管理費から売上げ原価へ変更を行った結果、売上げ原価が増加し、販売費および一般管理費が同額減少しております。
 次に特別損失の計上および特別損失のその他の内訳についてのお尋ねですが、特別損失の内容は将来の収支改善を図るため、積極的に事業構造改革を行った結果計上した損失、会計基準に従って処理した結果発生した損失および経済の悪化により時価が下落したことにより発生した損失が主な内容です。従ってお尋ねのように経営状況を把握できなかった結果発生した損失ではありません。なお、固定資産の減損損失の主な理由は、当社が保有する固定資産、主に基幹情報システムに関連するソフトウエアについて、財務の健全性についての観点から、資産の将来的回収について評価を行った結果発生したものです。なお投資有価証券評価損の個別の内訳についてはお答えをご容赦ください。
 本社屋の土地・建物の売却についてのお尋ねですが、本社屋の流動化の目的は、従前より説明しておりますとおり、資産の流動化と財務体質のさらなる強化であり、それ以外の大きな理由はございません。一般的な不動産市況の状況を考慮しますと、適正な時期に流動化を実行できたと判断しています。また、不動産賃貸費用の8千万円は新社屋に移転する前に賃借していた別のビルの家賃が契約の関係で新社屋への移転後も数ヶ月発生したことによるものです。三井住友ファイナンスアンドリース様との賃貸借契約の内容は、先方様との関係もございますので、説明はご容赦ください。
 後の質疑応答を参照
 流動資産、短期貸付金についてのお尋ねですが、流動資産増加の主な理由は、不動産の流動化によるものであり、短期貸し付け金増加の主な理由は子会社への貸し付け金が増加したことによるものです。
 営業キャッシュフローについてのお尋ねですが、早期退職優遇制度の割り増し退職金支払い等の特殊要因によるキャッシュフローの減少がありましたが、業績の回復なくして営業キャッシュフローの改善はないものと、経営陣一堂重く受け止め、新グループ経営計画GAKKEN2011の達成に向け全力を尽くす所存であります。
 3期連続営業キャッシュフローがマイナスです。
利益剰余金が単体で欠損となった理由についてのお尋ねですが、当期は計画しておりましたコスト削減等の事業合理化は、改善効果がありましたが、当社単体の売上げの減少が予想以上だったため、営業損失となりました。また早期退職優遇制度の実施に伴う特別退職金、事業整理損、固定資産の減損損失、投資有価証券の評価損などを特別損失に計上したため、利益剰余金の欠損を補填するまでには至りませんでした。今後、本年5月15日公表の新グループ経営計画GAKKEN2011の目標を確実に達成することにより、早期の業績回復に向けて責任を果たしてまいります。
 インデックスホールディングス様との資本提携についてのお尋ねですが、5年前、平成15年に資本提携契約を締結しましたが、インデックスホールディングス様が当社の株主様でなくなったこともあって、インデックス様との資本提携は事実上解消したものと理解しております。
  後の質疑応答参照
 最後に東京ふじせ企画労組との紛争を解決すべきではないか、とのお尋ねについて
 毎回、同じ文書の読み上げが続いており、省略。このかんふじせ労組の争議行為に対して「刑事上、民事上の責任を追及する」との表現が加わっている点につき、後の質疑応答を参照。

<会場内での質疑応答>ゴチック部分はコメント・注記)
株主A  社外取締役として今期も川崎隆司さんの選任が提案されていることについてお聞きします。株主
      総会における議決権を行使するにあたりまして、川崎さんが弁護士であることについてまず述べ
      ます。弁護士法の第一条は、弁護士の使命について社会正義の実現をめざすことを要請してい
      ます。学習研究社が東京ふじせ企画労組に対し団体交渉要求を拒否し、憲法28条が保障する
      労働基本権、労働組合法無視を行っていることに対して、社会正義の実現をめざすべき弁護士
      として、どのように考えているのかをお聞きしたいと考えています。その上で、川崎弁護士は昨年
      総会で社外取締役になる3年前から当社の監査役を務めていた人物でありまして、果たして経営
      管理機能の一層の強化を図るためというチェック機能を果たしてきたのか、という点において非常
      に問題があると言わざるを得ません。こういう弁護士を選任するのではせっかく導入した社外取
      締役という制度もただ体裁を取っただけという形だけのものになってしまうのではないでしょうか。
      川崎氏の社外取締役選任には私は断固反対であることを表明します。
木村取締役 川崎隆司氏が社外取締役に不適切だというご発言ですが、当社としては監査役、取締役に
        なっていただいた関係において、当社の重要な意思決定についてチェックを十分していただい
        ており、再度川崎氏を選任いただくことに何ら問題はないと考えています。
 一般株主が、学研経営内部の自浄能力ゼロに失望して、05年の第59回株主総会にふじせ労組委員長を社外監査役として選任する株主提案をした際に、学研経営が焦って対抗馬として担ぎ出し選出したのが川崎氏でした。最初からチェック機能など期待すべくもなかったということでしょう。
株主B    最初に、富樫専務の方から質問に対する回答が延々と読み上げられたわけですが、来年から
        は文書を印刷するなりして、会場に入るまでに配布するようにしてもらえないか、ということで
        す。一所懸命聞いていてメモを取るにしても他の人も皆そうだと思うんですけど、非常にメモも
        取れない、結構早口ですし、回答を聞いて質問をするにも正確さを欠くでしょうし、配布されて
        いれば正確に議論もできると思うので、是非お願いしたいと思います。
木村取締役  私どもの株主総会における回答はなるべく丁寧に分かりやすく詳細に、というふうにしていま
         すが、ご意見は参考にさせていただければと考えます。 
株主B    時間も省けるし、正確に展開できると思うんですよね。是非、お願いし たいと思います。正確
        に聞き取れなかったのですが、第二号議案について3点ほどお尋ねしたいと思います。1点目
        は、事業会社が持ち株会社の下に付くわけですけど、そこで働く人たちの労働条件の悪化は
        ない、という回答でしたが、間違いはないでしょうか。
富樫専務   基本的な考え方としては、人員の配置とか今後配慮して進めていきたいと思っております。
株主B    2点目に、各事業会社ごとに労働条件の差が生ずることはないと言ったんですか、極力避ける
       と言ったんですか?
富樫専務  将来の賃金体系などについては人というものに配慮しながら検討していきたい、とお答えしま
        す。
株主B     3点目に、事業会社の組合の団体交渉権というものを持ち株会社は保障するのですか?
木村取締役  団体交渉権はもちろん保障されるわけですが、現状考えておりますのは、労働組合の団体
         交渉についてはとりあえず窓口を一本化して、受けたいと考えています。
株主B     窓口を一本化して保障するということでいいわけですね。それから持ち株会社に移行する最
        大の目的について、少し聞き漏らしたのですが自己責任に基づいた自主独立経営を強化す
        る、と言われたのか、あるいは事業報告書の方では、事業会社の責任と権限を明解化に最
        大の狙いがある、と言われていると思いますが、間違いありませんか?
木村取締役  くりかえしになりますが、当社の持ち株会社制を導入しようとする最大の目的は、自己責任
         に基づいた自主独立の事業体を構築するためであり、大幅に権限を委譲すると同時に、責
        任を明確化し、意思決定の迅速化と市場に即応した機動的な事業運営を可能にするための
        組織改革を実施するということにあります。
株主B     私はそれを聞いて、また報告書を見て唖然としているわけです。自己責任に基づいた、ある
        いは各事業会社の責任を明確化するということを、このかん何年も何度も、たとえば昨年、前
        年度の赤字経営を克服するんだ、ということで、学研グループ2カ年2010というような経営計
        画を出して、それを全うすることで経営責任を取るんだ、と言ってきた学研役員の皆さんが1年
        も経たないうちに学研2010という自分たちで打ち出した事業計画を放棄して、今度「学研20
        11」ですか、こういうものを策定するという、自らの経営責任を一切取ってこなかった経営陣
        が、自己責任を明確にして事業会社の責任を取るなんて言うことができるんですか?私は、
        自分たちが責任を取らないために行う持ち株会社制への移行としか理解できないんですけ
        ど。いかがでしょうか。
木村取締役  経営計画の未達成についての経営責任については先ほど富樫専務の説明どおりであり、
        心からお詫び申し上げます。ただ、新経営計画については前経営計画を放棄したとは考えて
        いません。今回の持ち株会社制の導入による決算期の変更に伴いまして、それを継承した形
        で経営計画を作成したつもりです。    
株主B    昨年、3度にもわたって希望退職を募集するとか、新賃金制度を導入して賃金切り下げすると
        か、私の目から見れば、自分たちの経営の失敗のつけを働く者たちにおしつけるという責任
        逃れのことをやってきている、今度また持ち株会社制を導入するということは、自分たちの責
        任は棚上げにして、事業がうまくいかなければ、事業部門ごと切り捨てたり、労働者を大量に
        首を切ったり、あるいは責任を問うという形で労働者をたらい回ししたり、そういうことをやりや
        すくための現在の学研の分社化と持ち株会社への移行としかとらえられない。それよりも、こ
        のかん生み出してきた自分たちの問題の責任をしっかりと取る、あるいは昨年の株主総会等
        でも現在の役員体制にいろんな問題があるのではないか、と出されていたことなどに、自己検
        証をきちんとして、そういう問題を正すことの方が、持ち株会社へ移行することよりも何よりも
        急務ではないか。そういう考えから私は第2号議案には断固反対します。
         持ち株会社への移行というのは自分たちの責任を取らないための施策というふうにしか取れ
        ない、ということを重ねて言いたい、そうではないというなら、それをしっかり示してもらいたい。
木村取締役  ご意見としては拝聴いたしました。ただ、当社の実施した早期退職優遇制度、これについて
         は解雇に当たる、そういうものではございません。それぞれの社員個々人の人生観の多様
        化に対応する、ということです。ご懸念のような制度ではございません。また、持ち株会社制が
        取締役の責任を放棄するものというご質問ですが、そのようなことでなくて責任を全うするため
        の新たなチャレンジだ、というふうにご理解願います。
 持ち株会社制への移行の経営の狙いを言い当てた株主B氏の質問だと思います。後にも関連の質疑・応答が出ました。
株主C    初めて株主総会に出席させていただいたんですが、厳しい経済状況の中で経営陣の方々が
        頑張って、経営の大転換を迎えようとしていることに感銘を受けております。昨年から4円、そ
        して8円の高い配当を出していただいて、サービスをいただいている。教室と高齢者事業につ
        いて、高齢者については、これからますます利益が高まると思うので、これからどの会社で明
        確な方向でやっていくのかがあればをお聞きしたい。経営陣の皆さんの姿勢を意気に感じてい
        ます。
        (後にまた指してもらえる唯一の株主さんです) 
木村取締役  高齢者福祉事業および子育て支援事業は、今回分社化される事業会社ではなくて、既存子
        会社である株式会社学研ココファンホールディングス、その傘下である事業会社で行っていま
        す。 
株主D    2005年の始めから去年の10月まで、株価は300円くらいだったと思うのですが、それから
        大きく下がって、今年の年初では120円くらい、今、大体半分になっています。先ほど、責任論
        の問題が出ましたが、それは置いておいて、それでは今後具体的にどうやっていくのか、それ
        で頑張ってやったけど駄目だった、その場合はこういうふうに責任を取る、という答えを、また、
        予定では来期もマイナス、その次の2011年には利益を出す、というような話がありましたが、
        もう少し具体的に数字と責任の取り方を示してもらうようお願いします。
中森取締役  中経でお示ししましたとおり、今期64期につきましては半期決算ですので当社の事業の特
         性上どうしてもマイナスは出てまいります。これについてはご理解いただきたいのですが、そ
         の翌期の65期につきましては種々のコスト削減をを実行することによりまして、黒字転換を
         図ってまいりたいと思っております。具体的に申しますと営業利益で17億円をめざしてまいり
         ます。17億をめざす内容につきましては人件費減、その他前記に減損会計を導入したこと
         によります基幹システムの原価償却費の減少、また家庭訪問販売事業の月間教材市場なら
         びにトイ事業を整備した関係での赤字の減少等がございます。さらに本年1月に買収いたし
         ました創造学園、早稲田スクールの利益加算などもございまして、確実に黒字転換をさせて
         いただく予定でございます。それ以降につきましては順次、これを進めてまいります。これを
         達成することこそが経営陣の努めと考えています。
株主D     駄目な場合は、どうするのですか?
中森取締役   全力を尽くしてまいりたいと思いますので仮定のご質問についてはご容赦いただきたい、
          と考えます。
株主D     去年、株価がもっと下がったのは多分この本社ビルを売ったということによると思います。資
        産売って327億円になりますが、ビルを売って利益を出す、あるいは資本剰余金を取り崩して
        配当を出す、ということも批判されていますね、紙上で。今後、どれを取り潰して配当に回すの
        か、お答えください。
中森取締役  資本剰余金から配当を出したのは、今後利益剰余金から欠損を解消していく決意の現れで
         す。今後、何の資産売却をするのか、と言うお尋ねだと思いますが、これについては資産売
         却は予定せずに本業の利益でもって稼いでいく、というつもりでございます。
株主D    答えになっていないと思います。精神論としてはそのとおりかも知れませんが、現実は3年半
        ほどは300円台の株価だったのが、本社ビルも売るというのが分かって株価もその半分、
        300万円の株持っていた人が、150万円の資産になっている現実がある。それを、どういうわ
        けか、株価対策だと思うんですが資本剰余金取り潰す、内部留保取り潰す、大昔の言葉で言
        えば「竹の子生活」っていうんですよ、あるいはたこが自分の足食いますから、「たこ足経営」な
        んですよ。そういうことについてどう考えているのかをお答え願いたいんですね。
         きょうびっくりしたんですが、「選択と集中」というのはもう10年以上前の言葉なんです。取締
        役を10人以下にするというのは、ボストンコンサルティングの堀紘一が言いましたけれど、こ
        れも10年以上前のこと。取締役の人たちは全く勉強してないんじゃないですか?非常に不安
        ですね、株主として。
中森取締役  資産の売却につきましては昨年の総会でも触れましたとおり、この本社建物それ自体では
         価値を生み出すとは考えておりませんでしたので、流動化させていただいた、ということでご
         ざいます。それを原資に今、いろいろな施策を打っておりまして、種々の特損が発生いたしま
         したけれど、今後の道筋を付けたと考えております。
株主E    いま、新ビル売却の話がでましたので関連して質問します。新ビル建設の前からの御社の話
       を聞いていました時は、非常に前向きな自社ビルを持って前へ明るく進んで行くという感じを持
       っていた、と思うのが大方の見方ではないかと思います。それで、現在の不安なり心配が出て
       きている。先ほどのお答えによるとリース会社との契約内容自体を、細かい点で秘密を保持しな
       ければならないことがあるのは理解しますが、家賃がいくらであるとか、全く明らかにできないと
       いうのは、何か隠していることがあるのではないか、と思われるような気がするのですけど、
木村取締役  詳細な内容についてはご容赦くださいと申し上げましたが、家賃ということであれば賃貸借
         契約で大体坪単価で2万5百円です。
  本社ビル売却については、OB会報「学研春秋」で、遠藤社長は、以前に大赤字を出して、有効期限が7年の繰り越し欠損金が125億円残っていたので、期限切れ前に売却して、本来なら売却益90億円の40%の36億円を法人税として持っていかれるところを欠損金による特例措置で免れた、という話をしています。62期も2期連続赤字になると金融機関からの資金調達が厳しくなるので売却益で最終赤字を免れたという事情もありました。(これは学研ライフで社長「崖っぷち」発言として述べていた)。
株主F    2006年の経営計画で2年以内の赤字解消を表明されましたが、家庭訪問販売事業につき、
       今度の「学研2011」では撤退・縮小とされていすが、これ、見通しが甘かったと言われても仕
       方がないと思うんですけど、それについてどう経営責任を取られるつもりなんでしょうか?
岩井取締役  ご存じのとおり家庭教育事業に関しましては、昨年の10月14日に月間教材群の撤退を公
         表させていただきました。具体的な商品名をあげますと小学生向けのアクセル1、中学生向
         けのマイコーチにつき、平成23年4月以降の教科書改訂に伴う改訂版の商品を作成しな
         い、即ち23年の3月をもって撤退するということを表明させていただいています。これに象徴
         されますように家庭訪問販売事業に関しましてはもろもろの逆風が吹いておりまして、その
         中でまさしく先ほど2年前というお声がありましたけれど、ちょうど撤退を視野にいれまして、
         それぞれの商品、市場の動向を吟味いたしまして、経営方針について、そういう形で経営陣
         として最善の策を進めてまいるつもりでございます。
株主F    2点目が「学習」と「科学」ですが、これはイコール学研のイメージが強いと思います。この問題
        の対応の仕方を誤ってしまうと学研のブランド価値ががた落ちになってしまうのではないかと
        思います。代理店問題を含めて、結局この「学習」と「科学」をどうするのですか、
岩井取締役   学習と科学が学習研究社の屋台骨でありますし、象徴的な商品であることは私たちも認識
         しておりますし、株主様また一般のお客様にとっても同様な受け止め方をしていただいてい
         るものと認識しております。ということでこの商品については相当慎重な姿勢で今後も対応し
         ていくということで諸々検討を重ねてはおります。ただし現状を見るとかつて6百万部を越え
         ていた部数が既に10分の1を割り込んでいるという状況です。これはいろいろな市場の変
         化も経済状況の変化もありますし、顧客の皆様のニーズの変化もありますし、総合的な変化
         によりこういう状況になっていると判断しています。現時点においてはマイコーチ、アクセル1
         といった月間教材群については撤退を決定しておりますが、いまは雑誌ではありませんが月
         間学習雑誌としての学習、科学についても今後の継続に関しては検討を重ねている最中で
         ございます。現時点においては何らかの結論を出しているわけではございません、ということ
         だけこの場で言わせていただきます。
株主F     最後に、「学研のおばちゃん切り捨て」報道というのがあったのですが、夕刊紙を提訴された
         ようですが、その後の経過が分からないので説明を。
木村取締役  具体的には「日刊ゲンダイ」でして、これは現在、東京地方裁判所で係争中ですのでコメント
         は差し控えたいと思います。     
 係争中だから何も報告しないという姿勢は問題です。
株主G     今年5月15日に会社が発表した決算短信を見ながら、質問します。1頁目のところでは決算
        期の変更に伴って、半年だけの今年4月1日から9月30日までの決算の業績予想が売上げ
        333億、営業32億の赤、経常も同じ、当期で4億の赤となっていて、3頁の方に平成22年3
        月期の業績予想で、いままで3月決算だったので通期での予想と表示されているのだと思い
        ますが、売上げが779億、営業で5億の黒、経常で5億の黒、当期で1億の黒という数字にな
        っていますが、この後変更したような発表はあるのですか?
中森取締役  発表内容については一切変更はございません。
株主G     いま話した来年3月までの決算で行くと逆に今年10月から来年3月までの6ヶ月間というの
        は、売上げが446億円、営業で37億円の黒、経常で37億円の黒、当期の半年の純利益が
        35億円の黒でなければならない。それで37億円の営業利益を出すということは売上げに対
        して7・1%を捻出しなければいけない、ところが19頁、20頁、あるいは21頁のセグメントご
        との売上げと営業利益を照らし合わせると、一番営業利益が高いのは教室・塾事業、169億
        8千5百万に対して営業利益10億5千6百万、それが最大、続いて学び・児童出版事業が
        6・2%、これをさらに越えるような半年間の全社でもって7・1%の営業利益、各事業ごとに事
        情は違うと思いますが、これだけの利益を計上できる根拠を示してください。遠藤社長からお
        願いします。
中森取締役  63期の決算と64期、またみなしの64期、66期と様相が違いますのは、先ほどの回答でも
         述べましたとおり、人件費の件、また前期に減損会計を適用したことによるソフトウエア償却
         費の前倒し処理、ということなどがございます。こういったものがございますので、原資的に                は確保できると考えています。
遠藤社長    ただいま中森取締役から申し上げましたとおり、前期においてもいろいろな面での改善効
         果というのは現れておりまして、書面回答のとおり、広告収入の減、出版市販の売上げ減等
         によって営業損失となりました。従って、いろいろな面での改善、先ほど出ておりました項目
         ついては、実現可能だという前提の下に64期と65期の基本計画を策定させていただいて
         おりますので、これについては全力をもって実現していきたいと思っています。
株主G     ソフトウエアの償却が終わったとか、の説明は確かに分かりますが、ただ教室事業が6・6%
        っていうのは今年の1月に買った創造学園、早稲田スクールの利益が乗っかってこうなってい
        ると思うんですけど、学習研究社っていうと、先ほども言われたように科学とか学習とか辞典と
        かが基幹で、そういった部門っていうのは未だに利益を生み出すような形になっていない、こ
        れは下の人が悪くなくて経営者が悪いんじゃないか、誰もがそう思っていますよ。そういう上
        で、これからどういうふうにやっていくのか、遠藤社長、答えてください。
遠藤社長    ご質問の趣旨はどういうことですか?
株主G     だから、どの部門で利益を出せるのか、
遠藤社長    書面でもお答えし、選択と集中、旧い言葉だと言われましたけど、現実の問題としては、ど
         こを重点にやっていくかということになりますと先ほどから申し上げていますように、教室・塾
         事業というものが一つの大きな柱として、今後の学研の事業になることを、そういう所での
         伸長ということが先ほどの事業計画の達成の実現性を高めていくことになろうかと思います。
株主G     ということは首都圏とか関東圏とかは、色分けが出きてしまったのでしょうが、地方でちょっと
        利益出しているような塾をやっているところとか学校とか、そういう所は金で買っちゃって、そ
        れを利益に計上していく、そんなような感じでしか、学習研究社ってのは残れないのか、と・・。
遠藤社長    書面でお答えしたとおり、全国ネットワークを展開している学研教室、そういった所とのシナ
         ジーを活かしながら全国ネットワークの展開をめざしていくことは今後の大きなテーマだと考
         えています。
株主H     先ほども質問出ましたが、一号議案に関連して、お尋ねします。昨年以来4円の配当、今期
        については特別配当としてプラス4円というのは非常に高配当だと思います。一般的には高配
        当は株主には喜ばしいことですが、しかし、いろいろな所に書かれていますが、中長期的に安
        定した配当を目指すのが基本方針とされています。それは経営側にとってはもっともなことな
        んでしょうが、今期のプラス4円の特別配当というのは全く唐突というか、なんでこの高配当が
        今期行われたのか、全く不可解だと思います。経営執行体制を担う皆さんに感謝するどころ
        か、ますます不安になる。なんでここまで、今の執行体制が追い詰められてしまったのか、選
        挙で言えばばらまき選挙、いっとき金を株主にばらまいて、なんとか乗り切ろう、そういう姿に
        しかうつらないですね。この報告の中でも営業キャッシュフローが3期連続マイナス、というの
        が実績ですよね。業績が全然上がっていない、こういう中での高配当っていうのは何を血迷
        ってしまったのか、遠藤社長、どういうふうに追い詰められちゃったのか、というのが率直な感
        想なんです。一方で役員の報酬については、総額3億数千万円、一人あたり1600〜1700
        万円ですか、
遠藤社長   質問の趣旨は何ですか?
株主H    今の高配当というのは、業績から見て、不適切じゃないか、これ一時の高配当が何のために
        行われているのか、その本心を伺いたいというのが質問の趣旨です。
中森取締役   今回の特別配当につきましては普通配当と別個に考えていまして、いわゆる新本社ビル
         を売却したことによります売却益90億円がございましたために、これを株主の皆様にもやは
         り還元するべきではないか、ということから実行させていただいたものです。そこをご理解い
         ただきたいと思いますし、またこの件については当初より発表していたもので今回特に切り
         変えたというものではございません。
株主H     遠藤社長、今のご説明ですと、ビルの売却益を株主に配当する、何故その必要があったん
        ですか、ということを伺っているわけですよ。先ほどの説明ですと自社ビル売却、そもそも配当
        を増やすためにそもそも売却したわけじゃないでしょう。
遠藤社長    自社ビル売却につては、諸々の角度から検討して、それで売却したものですが、それによ
         って特別利益が生まれたものですから、それだったら株主様に還元しよう、とうのは当初か
         ら考えていたことでございます。ばらまき、とかそういうことでは全くございませんので、そこ
        は是非ご理解いただきたいと思います。
株主H     ばらまき、そのものじゃないですか。遠藤社長は、自らの社員に対して「脛をかじっている」
        というひどい言葉使いをしていましたが、どちらが脛をかじっているのですか。
遠藤社長    その点については見解の相違と申し上げる他にないと考えます。先ほどから申し上げてい
         るとおり、売却益を株主様に還元する、これは当初からの考えでありまして、ご意見としてう
         かがいます。
株主H     資産の売却によって株主に利益を還元する、それが脛をかじっているということじゃないで
        すか、これ。見解の相違という話じゃないでしょう。どういう見解の相違ですか、遠藤さん答え
        てくださいよ。
遠藤社長    見解の相違です。お座りください。
株主H     業績悪化の中で、何故プラス4円の配当をするのですか?何故、そういうばらまきをしなけ
        れば執行体制を維持できない、遠藤社長はどうしてそこまで追い詰められてしまったのです
        か?
  (「遠藤社長、答えなさいよ」の声)
遠藤社長    質問が長くなっていますから。
  (「遠藤さん答えなさいよ」、「簡潔に答えればいいんだよ」の声)
         決して、そのようなものではございませんし、見解の相違です。
株主H     中長期的に見て、安定的に利益を還元する、ということと逆行するのではないんですか、資
        産を食いつぶして。 
遠藤社長    議長の指示に従ってください。
  (株主Hのまわりには雇われガードマンらしき男たちが集まり、マイクを取り上げようとしている)
株主H     他にも質問したいことがありますので。
遠藤社長    後ほど時間がありましたら、また。
株主H     2点目の質問に移ります。
遠藤社長    他の方、どうぞ。お座りください。
株主H     1点ずつ質問してください、ということなので、お聞きします。
遠藤社長    お座りください。
株主H     遠藤社長がそうおっしゃったんじゃないですか?
遠藤社長    他の方にしてまた後ほど。長くなっていますので。
  (「説明がないから長引いてるのでしょ」「答えたら終わりじゃないか」の声)
遠藤社長    では、後一問だけどうぞ。
株主H     御社の株主総会については昨年からマスコミからの取材申し入れがあったと思うのです
        が、それについてはどう対処されたのかを説明してください。
木村取締役   当社の株主総会は、現状ではマスコミに公開しておりません。
株主H      その理由はなんですか?何か不都合があるんですか?
木村取締役   株主総会は株主が出席するだけのもので、そういう理由から公開はしない、ということで
         す。
  (「報道もされているじゃないか。情報開示に努めなさいよ」の声)
遠藤社長     では、他の方。
株主H     議長、ちょっと待ってください。今、公開されないということでしたが・・・
遠藤社長    先ほどお答えしたとおりです。
  (「上場会社だろ」の声)
株主H     何故、未公開なんですか?
  (「株主は8千人もいるんだよ」の声)
遠藤社長    どうぞお座りください。議長の指示に従っていただきたい。
株主H      公開されている株式じゃないですか。答えてくださいよ。
  (ガードマン、マイクを奪おうとする)
遠藤社長    他の株主様のご質問を。マイクをお返しください。
株主H     本日参加できない株主もいるわけで、秘密裏に行うかのような総会でマスコミに誤解を与え
        て・・・誤解に基づいた報道がされるんじゃないですか?
遠藤社長    他の株主の方(と強引に応答を打ち切り、翼賛的な発言を予定している同じ株主に2度目
    の指名する)

  (答えない経営陣に抗議の声広がる。「答えて進めなさいよ」の声。)
株主C     この場は、一部の方が意見を突っ張るというのでなく、出された経営に対して評価するなり
        して、前向きに議論していかないといけない・・
  (「前向きに議論しているじゃないか」の声)
         だからね、先ほど出されていた「学習」「科学」に対して、基幹商品ですが、時代がどんどん
        移り変わっていくわけですから、そこに拘泥していたら、この厳しい状況の中なので、突破口
        は見いだせないと思うんです。
  (「だから、いろいろ質問してるんじゃないか」の声)
        活路を見いだすような大転換をしていくことに賛成です。
  (「学習・科学が基本であることは変わっていないってさっき答えがあったじゃないか」の声)。
        そういうものが経営を悪化させていくということです。
  (「では、やめればいいという話か」の声。)

        先ほど言った老人向けの事業、それからインド・台湾での科学教室ですか、そういうことに一
       縷の光がさしてきているな、と。質問というより意見になりましたが。
小野寺常務  現在、海外で科学実験教室を3スクール行っていますけれど、展開しているのはフィリピン
         のマニラです。以下、台湾とインドについては契約が済み、2010年の6月にスタートの方
         向です。加えてインドネシアでは算数・数学教材の翻訳を進めています。英語版で来年3月
         に完成します。加えて、香港、マカオ、インドから新たなオファーが来ています。
株主I      私、学研にお世話になって約60年近いんです。ずっと、「科学」と「学習」を大事に扱ってき
        ました。いま考慮中っておっしゃいましたが、どういふうに考慮中なのか。はっきり言っていつ
        無くなってもおかしくない状況で、少しでも前の期に比べて内容をよくしたとか、変えたとか、
        そういうふうないい返事を聞きたいなと、思っています。ご返事、中森さんですか、お願いしま
        す。
岩井取締役  先ほどと重複する点もありますが、学習・科学が学研を象徴する商品であることは誰もが認
         めるところです。この商品の育成を考えることが学研の将来を考えることと同じくらいに重要
         なテーマであるとの認識の下に検討させていただいています。これまでにも何もしてこなか
         ったということではなく、例えば、学習についてはかつては月間で4月から3月まで毎月刊
         行してきましたが、現状では3ヶ月に1回、季刊という形で発行形態をかえています。販売チ
         ャンネルに関しても、かつては代理店様を通じて直販の形のみでやってきましたが、結果、
         部数がなかなか維持できないという段階におきまして、販路を広げる形でたとえば、書店さ
         んを通じての市販を行う、スーパーなどの量販店を通じて、生協を通じて販売を行う、さらに
         は通信販売で行う、ということで部数の維持・拡大に相当の努力を費やしてきました。編集
         面でも読者の嗜好が5年経ち10年経てば当然変わって来ますし、当社は長年の歴史の中
         で中学生向け、高校生向けというような学年別月間雑誌の編集・制作・販売をしてきたわけ
         ですが、時代の流れの中で、年齢の上の方から、既に高校生向けの高校コースはなくなり、
         中学コースはなくなり、それが小学生向けの月刊誌にまでその波が押し寄せているという
         のも一方で現実です。その辺をすべて見極めた上でなんとか生き残りを考え、それでも、と
         いう時には先ほどの縮小・撤退ということも選択肢の中にはあるのかな、という段階です。  
  (代理店の方の切実な声に対し、質問に答えておらず、とても「いい返事」とは言えません。
株主J     学研にとってどうも悩みの種になっているらしいエフィッシモの件、そしてふじせの件、この2
        点について、まだいろいろな方の質問があるようですので、できるだけ簡潔に、お尋ねします
        のできちっと答えてください。これまで3回連続、誰がスイッチを握ってるのか知らないのです
        がマイクの電源を切るというようなことをやられましたが、こういうことは絶対やめてもらいたい
        と思います。
         最初に買収防衛策について。これ今日の議案に関連するんですけど、法律改正ということ
        もあって、議案に入れるということは分かるし、直接、エフィッシモとの関係ではないと思いま
        すが、いずれにしてもエフィッシモを相当意識している、20%近い株を取得しているという中
        で、これに対しこのかんインデックスからエフィシモに流れた株を含めて、エフィッシモが所有
        するということになったわけですよね。インデックスの株が流出、それから先ほどあったような
        資本提携を解消するということになったのも、ふじせ問題に対する対応も影響していると思う
        んです。学研の解決能力の無さ、ステークホルダーに対して、どういう態度を示していくのか
        ということをインデックスも学研に求めたけれど得られなかったということです。そういう中で
        今度、エフィッシモが出てきているんですけど、昨年、社長に解任提案を出して取り下げたと、
        これについて私たちはエフィシモにも質問書を出しましたけれど、学研と取引をしたというよう
        なことはない、と学研と同じ回答ではありましたけれどアウンの呼吸というか、学研の発表し
        たこととエフィッシモの要求したことが合致したということは間違いないと思います。今度、また
        大量変更報告書に添付する書類の中で、遠藤社長の再任に対して、中長期的な企業価値
        を損ねるということで反対する、また、定款の変更を含む議案に対しても反対の議決権を行
        使するということが表明されています。
遠藤社長    質問の趣旨は?(と発言を妨害)
株主J     この点について、つまりエフィッシモの見解表明をどう受け止めているのか、そして学研に
        対する買収の動き等をほんとに考えているのかお聞きしたい。
遠藤社長    木村取締役がお答えします。
株主J     遠藤社長の留任に反対しているので遠藤社長が答えてください。 
木村取締役   いまご指摘がありました株主様ですが、当社の買収防衛策は招集通知の55頁にござ
         います。当初、18年3月から行ってきて、全くある具的な動きがあって決めたことではあり
         ません。また、その株主様と当社の間では何もご指摘のようなことはございません。誤解
         です。また、今回のエフィシモ様の見解表明ですが、私どもの方針がご理解いただけなく
         てまことに残念である、と考えています。
  筆頭株主のエフィッシモは今回の総会前に「遠藤社長が再任されることに強く反対する」と厳しく批判し、持ち株会社発足等の議案にも反対を表明していました。そして、総会で反対の議決権行使を行ったに、「第63回定時株主総会の結果を受けて」と題する意見書を発表しました。その中でも、「依然として適切な経営管理体制が構築されていない」「業績については著しい低迷が続き、事業計画や期初業績予想に対する大幅の未達が常態化しております」「総会において再任された取締役らの経営能力の欠如は明らかであり、本来であればその経営責任を明確化するために、同人らを再任すべきではなかった」とし、持ち株会社発足は、「株主によるガバナンスの低下」等を招き、今後、「貴社の企業価値は中長期的に毀損されていく」と述べ、投資の撤収・撤回の検討に入ることを表明しています。エフィッシモは学研に株式の買い取り請求を行う模様です。買い取り価格をめぐっては裁判所の調停までもつれ込む可能性があり、資本剰余金を取り崩してまで8円配当を実施した学研は、大口のはめ込み先(株式買い取り先)が現れそうもなく、自ら株式買い取りを行う巨額資金調達で窮地に立たされる可能性も出てきました。
株主J     2点目に移る前に、今の件でコメントさせてもらえば、学研が買収したくなるほどの魅力のあ
        る企業なのか、コンテンツのことも、このかんの経営計画の相次ぐ破綻、デジタルコンテンツ
        事業の失敗、先ほど減損損失処理したガリレオですか基幹情報システム、やることなすこと
        失敗し、ひどくて、そして先ほどから経営責任を取ろうしない、こういう会社に未来を感じて買
        収しようと考えているところがあるのか疑問を感じているので、今日のような買収防衛策を学
        研が検討していることを非常に茶番だと思います。
         次の質問です。ふじせの問題ですけど、私ども「科学」、「学習」の編集業務を下請けでやっ
        てきました。こういった関連の人に学研は支えらてきたわけですけど、それについて先ほど、
        毎年総会であるように法的決着がついているのだ、と言っているわけですけど、学研の使用
        者性が認められない判決が出たということが、学研経営の居直りの根拠にはならないと思っ
        ています。裁判で言えば、先日の足利事件が好例ですけど、裁判所の間違った判決というの
        はいっぱいあるわけです。そういうことで争議というのは直接解決するわけではないんです。
遠藤社長    質問の趣旨を・・(と執拗に妨害)
株主J     いま、質問しますけど、結局、そういう中で、ふじせ労組の行動に対して、3年前から刑事・
        民事上の責任を追及するんだ、と。非常に損害蒙っているということを言っているわけですよ
        ね。悪宣伝をされていると。学研の実態を訴えることが、争議行為なわけで、それこそ遠藤社
        長と見解の相違があるわけですけど、それほど、争議というものが経営の再建の妨げになっ
        ていると考えているのか、それとも大したことないから影響ない、関係ないと考えているのか、
        どちらなのかをお聞きしたいと考えています。
木村取締役  いまのご質問については先ほどの書面質問への富樫専務の回答でお答えしているとおり
        です。
 富樫専務の書面回答では、学研に争議はないという一方でふじせ労組の(争議)行為に対して刑事・民事の対抗手段を考えている、となっていることへの新たな質問をしているのに、木村取締役の答弁は逃げています。
株主J     先ほどの富樫専務の答えでは回答になっていない。それでは争議は解決しない、という状
        況になっているわけでしょ。長期にわたって争議を抱えている・・。 
遠藤社長    争議がない、ということで見解の相違です。
株主J    「争議はない」って、こうして争議になっているじゃないですか。先ほどの説明でマイナスに
        なっている、と自ら言っている。争議を抱えていることが経営再建を不可能にしている、とい
        うことでしょ。争議を引き起こした体質、それを解決しないという問題体質、それが、このかん
        崖っぷちと遠藤社長自ら言うような経営行き詰まりやその責任転嫁を更に労働者に行う、と
        いうやり方になっちゃっている、悪循環になっているわけでしょう。不祥事続出の末期症状
        になっているわけでしょう。
遠藤社長    お座りください(と質問妨害)。(ガードマンがJを取り囲む)
  (「質問に答えればいいんだよ」の声)
株主J     そのことについて、どちらなのか、聞いているわけですよ。現状のままでよいと考えている
        のか、それとも先ほどの民事上・刑事上の責任を追及する、という、もう4年目ですよ今年。
        そんなことばかり繰り返して言っているんだけれど、どうするつもりなんですか? 
  (「答えなさいよ」と会場各所から抗議の声。)
遠藤社長    議長の指示に従ってください。
株主J     話し合わなければ争議は解決しないんですよ。遠藤社長。どちらなんですか、と聞いてい
        るのですよ。答えてください。さっきから質問に何も答えてないじゃないか。
  (「どちらなのか、答えなさいよ」の声が巻き起こり騒然。 「ふざけた株主総会運営するんじゃない」の
    声も上がる。)

 学研に本当に求められているのは、争議を見ぬふりでも刑事・民事弾圧でもなく、誠意ある話し合いで解決すること以外にありません。
  (遠藤社長、他の株主を指名して答弁を打ち切る。これに抗議の声上がる) 
株主K     先ほど、もう少し前向きに意見を言った方が良いのではないかというご意見も出ましたので、
        私の方から二点ほど提案をさせていただたいと思います。私、学研の株主総会には初めて
        参加をしました。で、最初に感じたのは経営陣がなんて自信がないんだろうか、ということで
        した。何故、それを最初に感じたかというと前列、私早くに会場入りしたんですけど、前列2列、
        3列目にすごく窮屈そうに背広の人たちが埋めていた、これって開かれた株主総会って言わ
        れる以前の株主総会の態勢だって思うんです(会場の各所から拍手)。そうでもしなければ、
        とても株主に報告できない、それほど自信のない経営なのか、ということで非常にびっくりい
        たしましたのです。
遠藤社長    ご質問は?
株主K     質問じゃなくて提案です。次回の株主総会からは、是非こういう自信のないような態勢とい
        うのは、やめていただきたいと思います。もっと自信を持って経営を報告できる総会に、報告
        内容で自信をもってやっていただきたい、というのが一点です。
遠藤社長    ご要望として承ります。
株主K     2点目です。今後、市場に即応する機動的な事業運営を今後やっていく、と書かれています。
        しかしながら、このかんの質疑応答で感じたことなんですけど、先ほどのふじせ労組の質問に
        対する対応を見ていても労働争議は存在しないという答えをくり返し、してらっしゃいましたが、
        現実に63回でその半分の30回、30年はこの労働争議を抱えたままの経営状況だと思うん
        です。裁判で関係ないんだという判決が出たからもう関係ないと言われていたとおもいますけ
        ど、そうではなくて、30年も現実に一つの問題を解決できずにきている、そういう状況に対して
        どうお考えになっているのか、まずは、裁判でどういう結論が出ようと出まいと、現実に30年間
        も一つの問題を解決できない経営陣の無責任性っていうのはしっかり考えていただきたい。今
        度の株主総会、半年後に開かれるわけですけど、それまでに経営陣はこの問題について、そ
        れまでに経営陣はこの問題についてきちんと組合と話し合う、ということを行っていただきた
        い。そして、まず、30年間抱えてきた一つの問題をきちんと解決するということによって、次の
        経営に踏み出していただきたいと思います。
         映画会社東映も、私も東映に対して倒産解雇攻撃に対する闘いを闘ってきましたけれど、東
        映も関係ない、関知しないって言い続けました。しかしながら実際に20数年も争議を抱えてい
        る状況の中で、経営陣としてはこれは解決しなければいけないと判断をして、私たちとの話し
        合いを行い、解決を決断しました。そういう決断ができるかできないかが、今後の経営を・・・・
遠藤社長(さえぎって)ご意見として承っておきます。
     (「まだ、話しているじゃないか」と抗議の声)
株主K     ただ、ご意見として承っておきます、の言葉でマニュアルどおりに聞き流すのではなくて、こ
        の意見を受け入れるかどうか、きちっと胸にとめて今後の経営に活かしていくのかどうか、と
        いうのは、ふじせ企画労組と学研が席について真摯に話し合うかどうかに現れ・・・、
遠藤社長(また、妨害して遮る)   
株主K     そのことはまた、次の株主総会の場で確認ができるとおもいますので、この半年後に、遠藤
        社長が継続するのであれば、遠藤社長の責任のもとで解決していただきたいと思います。
遠藤社長    貴重なご意見ありがとうございました。
     (「ちゃんと受け止めなさいよ」の声)
株主L     3つばかりあります。一つは持ち株会社の話なんですけど、先ほど質問された方もいらして、
        正確に聞き取れなかったのですが、簡単に言うと、責任の明確化と迅速化というのは、持ち株
        会社化しなくてもできることだと思います。最大のポイントは先ほどの方も言われていましたが
        自己責任・自主独立ということですね。自己責任という言い方については、小泉内閣のスロー
        ガンでその遺産で派遣切りなんかがあって、自己責任と言い切れるかっていうのは大きな論
        点になっているわけですよね。一般的に言ってそうですね。なおかつ今回の定款変更の47頁
        に現行と変更後ということで定款の内容が記載されていますね。第2条の一番最後のところ
        に、当該会社の事業活動を支配または管理することを目的とする、つまり、持ち株会社は、系
        列会社の経営を支配・管理するんでしょ。支配・管理されることで自己責任・自主独立っていう
        のはどういうことなのか、そこをまず説明願います。
木村取締役   ただいまの支配・管理する、これは持ち株会社のパターン化された表現であります。特別
         な内容ではございません。
株主L     ですから、支配管理の下に系列会社があるわけですから、その人たちの責任を問う前に、
        何よりも持ち株会社の人たち責任が問われるべきだと思いますし、表現は適切でないかも知
        れませんが、頭でっかちな組織をつくるだけでしょう。上で、あれやれこれやれと。そうして責
        任は事業会社におしつける、そういうことでしょう。それは到底賛成できません。
         先ほどの話の中で、系列会社の労働組合との団体交渉権のことで、持ち株会社が団交に
        応じる義務がある、とまではいわないけれど団交には応じるという趣旨で説明があったと受け
        止めたのですが、そういうことでよろしいですか?
木村取締役   先ほど私が申し上げたのは、団体交渉で持ち株会社が当事者になるということでなくて、
         交渉の窓口は一本化したい、何故かと言うと、労働組合の要求とは様々ございますので、
         要求に従って窓口が別々だと不合理ですので、その意味で一本化すると言ったものです。
株主L     先ほど質問した方が関連で手を挙げていますので。先ほどそういう回答ではなかったと思い
        ますよ。一本化というのはどこが一本化するのですか?
木村取締役   そのことについては要求がありました労働組合が、当社にはございますので、お答えして
          おりません。
株主L      だから、どこが一本化して対応するのですか、ということを聞いているのです。どこに設けら
        れるのですか、と聞いているんです。
木村取締役   現状予定していますのは、ビジネスサポートの人事担当です。
株主L      それは持ち株会社なんですか、それとも系列会社なんですか?
木村取締役   担当者が兼務するものです。
株主L     だから、その担当者というのは持ち株会社の人なんですか、あるいは系列会社のどこかの
        部署なんですか。どっちなんですかと聞いているのです。
遠藤社長    ただいまお答えしたとおり兼務です。あの、そろそろ審議も尽くされたと思います。長くなっ
         ています。
   (「まだ、あるじゃないか」、「答えていないじゃないか」等の抗議の声が一斉にあがる)
株主L      組織的にはどこに属するんですか、と聞いているんです。
遠藤社長    マイクを係の者にお渡し願います。(「何を言ってる」等の抗議の声
木村取締役   先ほどのとおりです。兼務しております。
   (「答えになっていないぞ」等の抗議の声)
株主L     誰が何を兼務するのですか?
   (「具体的に答えてくださいよ」の声)
遠藤社長    ホールデングスはこれからスタートですので、その辺のことも慎重に検討しながら、誰が
         兼務するかなど、進めてまいります。
株主L     兼務というのは今いる人が本来持っている仕事に加えて、重ねてそれもやります、というこ
        となんでしょう。 
  株主B氏の質問には持ち株会社の団交応諾義務を認めるようなことを言っていたのに、株主L氏の質問時にはなし崩しに曖昧化し、ついには持ち株会社が団交当事者なのか否か、答えようとしないまま、答弁を打ち切ってしまいました。
         
(答えがないので)次の質問に移ります。
遠藤社長    
そろそろ決議事項に移りたいと思います。(これを聞き、一斉に抗議の声が上がる)
株主L     質問が3つあります、と冒頭に申し上げています。
遠藤社長    長くなっていますので。
株主L     それは、あなた方の回答がおかしいからでしょう。2点目のことは先ほども議論ありました
        けれど、支配のあるところには責任があるんですよね。先ほどのふじせ争議の話になります
        けど、たとえば建設請負会社が下請け孫請けひ孫請けなどありますけど、そこで賃金不払
        いなど出した時には、元請けがはらうんですよ。少なくとも、支配あるところには責任がある
        わけですから法律上のこととは別に・・・
遠藤社長(さえぎって) 意見として承ります。
    (「議事進行」と、拍手する社員株主と、「話しを聞きなさい」と抗議する株主の声で騒然)
株主L     少なくとも、自分たちの下請けなどで起きたことは最低限、問題があったことは話し合いを
        するべきではないのですか?それを質問します。
    (「社員株主は問題だって言ってるだろ」の声。「答えなさい」の声。
     雇われガードマン多数が、Lの周りを囲み、マイクを奪おうとする。)
   支配あるところに責任あり、として「ふじせ争議」解決の義務を問う株主の質問に回答なしです。

株主L     では、3点目行きます。株主総会の位置づけと内容の話ですが、先ほどの公開するかどう
        かということについては取締役会で決めた、ということなんですか?株主総会に諮らないん
        ですか?
遠藤社長    決議事項について・・・
株主L     株主総会を公開するかどうかは株主総会で決めるんじゃないのか?
木村取締役   そのようには理解しておりません。
株主L     それでは定款の変更になるかどうか分かりませんが、株主総会を公開することについて、
        この場で議決することを提案します。
遠藤社長    お座りください。
株主L     株主総会を公開することを提案します。採決を求めます。
(会場内から「動議」「動議」の声)
遠藤社長 (他の役員と協議に入る。)  しばらくお待ちください。
     (「公開しなさいよ」。「オープンにしなさい」の声)
遠藤社長   ただいまの株主様の総会公開の提案について、私としては反対です。ご異議のない方は拍
        手をお願いします。(前3列社員株主拍手)
    (「賛成多数じゃないぞ」「前3列だけだぞ」「挙手でやれ」「議事進行が間違っているぞ」等の声、後ろ
     の一般株主は拍手せず。各所から抗議の声が轟き、場内は騒然)

遠藤社長  (まだ挙手している人々を無視して)決議事項に移りたいと思いますが。
    (社員株主拍手。「おかしいぞ」「遠藤社長、そんな運営やめろ」「賛成少数だろ」「まだ質問者が手を
     挙げてるぞ」等の抗議の声が会場内に溢れ、騒然。議長席に詰め寄る株主の前に雇われガードマ
     ン多数が立ちふさがる。議案を強行採決する社長の声もよく聞き取れぬまま閉会。

    12時28分総会終了。役員は意気消沈して退出。)
 終了後、「総会はいつもこうなんですか?学研はひどいですね」と聞いてくる株主もありました。現経営陣の無力と無責任、回答能力、判断力、解決能力の無さが多くの株主の前に浮き彫りになってしまった株主総会でした。