学研経営は、悪質な株主総会運営をやめ、
     株主の質問に真摯に回答しろ!
経営の問題体質を改め、ふじせ争議を解決しろ!

 
私たちは、本日の第63期定時株主総会へ向け、会社に対して以下のような質問書を提出しました(太ゴチ部分)。経営陣は、この3年間連続で、会場での私たちの発言の途中でワイヤレスマイクの電源を切って質問を妨害するという悪質な総会運営を行ってまで、争議責任・経営責任を居直っています。このような対応を改めて、誠意ある回答を行うように要求します。

 株式会社学習研究社
   代表取締役社長 遠藤 洋一郎 殿   2009年6月23日

                            通 知 書

 私たちは、貴社の第63回定時株主総会において、以下の点について質問権を行使しますので、あらかじめ通知します。

1、東京ふじせ企画労組との労働争議について
  長期にわたって争議を抱えていることが、会社の経営にとって、多岐に渡るマイナ ス要因となって経営再建を不可能にしている。争議をひき起こした体質、それを解決 しない問題体質が、このかん「崖っぷち」と自ら称する経営行き詰まりと労働者使い 捨て、不祥事続出の末期症状に繋がっている。貴社も本音では争議を抱えている影響 を認めざるを得なくなって、「東京ふじせ企画労組の行動につき、刑事・民事上の責 任を追及する」とまで言うほど、事態は紛糾している。そうした事実を受け止めてい るにもかかわらず、直接の話し合いによる解決策を求めようとしないのは何故か?現 状のままでは、会社の将来にとって大きなマイナスと考えないのか?(裁判結果の報 告をくり返す毎回同じ内容の答弁を排して回答されたい。)
 このかんの総会で、中央公論社が連続した労働者側敗訴の判決が出ても争議を解決 したこと、東映が争議責任を取ってジャパマーハイツ争議を解決したこと、朝日新聞 社が築地移転を機に明和産商争議を解決したこと、などにつき指摘し、どう受け止め るのかを質したが、経営陣はこの質問に全く答えていない。改めて回答を求める。

 学研の経営陣は、労働委員会・裁判所で学研にふじせ労組への使用者性がないことが認められた、としきりに強調して、話し合い解決を拒否して居直っています。学研 が「科学」「学習」「マイコーチ」等の編集業務を行っていた東京ふじせ企画(業務を 請け負うだけのトンネル会社=ふじせ企画と実際に仕事をこなす東京ふじせ企画の二重の会社形式になっていた)で労働組合が結成されたことを嫌い、業務総引き上げ=東京ふじせ倒産・35名全員解雇攻撃を仕掛けたことはごまかしようがない事実です。
 85年の東京ふじせ破産管財人が提訴した損害賠償訴訟判決では、明確に学研の使用者性と組合潰しの倒産攻撃の事実が認定されました。しかし、同年の派遣法制定、使用者概念の拡大適用への財界からの反対圧力などの流れの中、87年都労委は「学研は使用者ではないので、組合潰しの有無を論じる由がない」として学研を免罪しました。
 労働委員会命令の取り消しを求めた裁判では、95年に朝日放送事件の最高裁判決として出された、「直接の雇用主と実態的に同一視しうる派遣先企業には使用者性が認められる」との判例に添って争点整理がされましたが、いざ判決の段になると裁判 所は、この朝日放送事件と学研・ふじせ事件の同一性の有無につき、一切の事実認定 を回避して、形式的に学研の使用者性を否定する判例無視の不当判決を出し、最高裁で確定しました。明らかに間違った判決です。
 裁判所では相反する二つの判決が出されていますが、裁判で争議は解決しません。最後は、学研経営とふじせ労組が話し合う以外に解決に至ることはありません。それ を拒んでいる学研経営の姿からは、自分たちの現在の主張が嘘・でたらめであり、自 信がないために堂々と私たちの前に出てきて話すことができない本音が見えてしまい ます。自らの組合潰しを狙った倒産攻撃の責任を認め、私たちから奪った雇用と業務 を保障する形で争議を解決すべきです。

2、経営不振の責任と新グループ経営計画「学研2011」について
 1)経営計画の相次ぐ破綻について
  「2009−2010経営2カ年計画」の破綻について、経営陣はどのように責任を取るつもりなのかを明らかにされたい。

 この2カ年計画で「09年3月の売上高800億円、営業利益10億円」としていたのに対し、実績は「売上高が778億円、営業損失が5億円」となりました。昨年11月に下方修正したものをさらにまた下方修正しての決算です。

 06年3月を起点とする3か年の中期経営計画「New Creative Plan06−07」もその中の最重点戦略として、主な収益の柱 を「広告収入、Eコマース、課金、コンテンツ配信・販売」などとして07年2月に発足したクロスメディアコンテンツ事業(09年3月期 売上高30億円、営業利益10億円としていたもの)が挫折して、手直ししたのが2009−2010経営2カ年計画でした。
 2)新グループ経営計画「学研2011」について
   会社は5月15日に、昨年5月の「学研グループ 2カ年経営計画2010」を見直して、新グループ経営計画「学研2011」を発表したが、これがどのような業績伸長によって達成可能なのか、根拠を示されたい。

 こちらは、「2010年9月期に売上げ790億円、営業利益17億円、2011年9月には売上げ800億円、営業利益22億円」との、これまた到底実現しそうにもない計画です。

 3)特別配当実施と「企業価値の向上」について
   資本準備金を取り崩してまで配当8円を実施するのは何故か?

昨年は利益準備金に欠損が生じる中での4円配当、今年は営業キャッシュフローが3期連続赤字は、投資・財務キャッシュフローの大幅な増加と減少をもたらした資産売却での資金調達によるもので、収益が配当を生む流れになってはいません。

 4)新本社ビル売却の背景と売却後の現状評価について
  「資産の効率化と財務体質の強化」を主要な動機としているが、それ以外の理由を示されたい。また、売却した結果の是非につき、現在から見てどう判断しているのか?

  
63期は不動産賃貸費用8千万円と計上されているが、三井住友ファイナンスアンドリースとの賃貸借契約は、どうなっているのかについても示されたい。
 会社は、昨年5月、五反田の土地と建設直後の新ビルを、三井住友ファイナンスアンドリースへ売却することを発表しました。譲渡価格242億円、建物は建築費が相殺され、土地の売却代金170億円から簿価74億円を引いた90億円を特別利益に計上したようです。調達資金170億円のうち、80億円を塾の買収等の投資に。有利子負債もすべて返済した、としています。
 良いことづくめのような説明ですが、窮迫しての資産売却の面は見逃せません。後がない状況を会社はつくり出しました。どう打開していくのかが説得力を持って何ら示されていないのが問題です。
 5)格差社会についての認識に関して
   二号議案の冒頭等で、貴社グループを取り巻く経営環境として、「成熟高齢化や格差拡大」との記述があるが、格差拡大の社会状況に対して教育出版社として、どのように向き合おうとしているのか、を明らかにされたい

 「教育」にも「出版」にも「会社」にも関わってくる問題です。

3、揺らぐ経営基盤=職場の士気低下について
  07年末から約1年間の間に3度もの希望退職募集を行うという異常な事態に対して、どのように考えているのかを明らかにされよ。経営に対する職場・現場の信頼感はどう変化していると考えているのかについても答えられたい。

 07年12月、45歳以上59歳未満の正社員を対象に100名の希望退職を募集(応募58名)、08年4月、35歳以上の社員を対象に50名募集(応募35名)、08年12月、勤続5年以上の社員を対象に100名募集(応募58名)をたて続けに行ったものです。

 3回で22億円の特別損失を計上、以降の人件費削減を年間で総計16億円と見込んでいるようですが、人材の流出や、昨年の春闘で紛糾した賃下げの新賃金制度導入を含めて残された社員の士気への影響などは考慮されていないようです。
 さらに、持ち株会社へ向けた今春4月1日からの組織再編で、「余剰人員」と会社が位置づける組織(営業支援・新事業開拓室、編集市場開拓室等)に計38名の労働者を放り込み、さらなる退職強要を行って人員削減を図ろうとしている様子です。

4、持ち株会社発足について
  経営責任の自覚もなく、明確なビジョンも先見性もない現在の経営陣が持ち株会社を発足させることについて、様々な危惧を抱かざるを得ない。選択は正しいのか?
  持ち株会社発足に伴って、各事業会社の労働条件の悪化はないのか。また、事業会社ごとの業績等により賃金・労働条件の差が生じることはないのか。持ち株会社に対する労働組合の団交権を保障するのかなどを明らかにされたい。

 このかんの情宣でも訴えたように、持ち株会社化による雇用破壊を許しません。

5、各事業への位置づけに関して
 1)成長事業としている塾・教室事業について
   好調としているが、現状判断と見通しは正しいのか?

 受験塾の今後や学研教室の運営実態は、明るい見通しを保障していると言えるのでしょうか?

 2)高齢者介護事業とココファンホールデングスについて、
   08年8月1日付で、第一生命の介護子会社、第一生命ウェルライフサポートの訪問介護事業を買収したが、第一生命は「採算が厳しい訪問介護事業の運営をやめる」としての事業譲渡だった。労働者の雇用の引き継ぎを含め、事業はどう展開されているのか?その他、高齢者介護事業の課題をどう捉えているのか示されたい。

 
3)家庭訪問販売事業について
   2006年の中期経営計画では2年以内に赤字解消の見通しとしていたが、未だに達成できずにいる。もっと正確な見通しを示されたい。

 昨年の総会時にも、赤字部門からの撤退やセールスレディの順次削減の方向性発表の新聞報道が取り沙汰され、代理店関係者からも総会で不安の声が上げられました。会社は各社報道のうち、「日刊ゲンダイ」の記事に対して、「撤退や削減を決めたわけではない」として、「大事なブランドである『学研のおばちゃん』を切り捨てたといった風説を流布され、一般消費者のイメージを減退させられた」と主張し、1000万円の損害賠償訴訟を提起しましたが・・・。

6、コンプライアンス及びガバナンスの機能不全について
   07年3月の学研GICの行政処分の後も自動車サイトでの盗用事件、中国製地球儀回収事件などが続いた。不祥事の反省はされているのか。もし、そうなら反省はどう具体的に活かされているのかを示されたい。

7、財務諸表に関して
 1)固定資産の減損処理24億円の具体的な内容を示されたい。
 2)今期も売掛金234億円、棚卸し資産127億円と高い数値となっているが、在庫の調整や返品率の改善について、具体的な数字を上げて示されたい。

3)その他(略)
  以 上

           (6月25日に開催された株主総会の詳報は、7月下旬のニュースに一括掲載します。)

現場行動報告

5・25学研社前闘争

 5月25日、学研本社前で早朝からの役員抗議・団交申し入れ行動を行いました。遠藤社長は7時37分に車で出社。役員の中でも一番早い出社を続け、学研社員や地域の労働者の前で抗議を浴びる姿を見られまいとしています。地下駐車場に走り込んでいく社長車の後方から抗議のシュプレヒコールを上げました。このすぐ後に安田専務が、組合事務所側の通りを五反田駅方向から歩いて出社。社屋裏手の社員通用口まで横を歩きながら「話し合いに応じ争議を解決しなさい」と抗議・追及の声を浴びせました。
 私たちの社前行動を知って、出社を控えた役員もいたようですが、学研労働者、地域の労働者の皆さんに多数のビラを配布、マイクでの抗議・情宣を10時まで行いました。5月15日発表の決算への論評と遠藤社長の社員への責任転嫁発言への批判を掲載したビラは反響も大きく、激励の声も寄せられました(バックナンバー参照)。