学研3月決算 営業赤字5億円、最終利益も縮小
 業績予想を大幅下方修正しての発表

6・25株主総会で
       争議責任・経営責任を追及するぞ!

 会社は、5月15日に08年度の決算結果(「平成21年3月期決算短信」)を発表しました。
連結で売上高778億円、営業赤字5億円、最終利益22億円と計画を大幅に下回りました。昨春、建てたばかりの新本社ビルを売却して得た利益をはじめとする固定資産売却益109億円を計上しましたが、計画で79億円と予想していた純利益が22億円にしかならなかったのも驚愕の結果でしょう。直販の低迷(4億8千万円の営業赤字)、市販雑誌等の売上げ減(暮らし・教養・エンタメ出版事業の赤字7億9千万円)など、塾・教室事業、学び・児童出版事業を除き全般的な不振が響き、昨年に続く本業での赤字となりました。営業キャッシュフローのマイナス(41億円赤)も3期連続となりました。特別損失も、希望退職募集による特別退職金13億円、投資有価証券評価損12億円、事業整理損11億円の他に、固定資産の減損損失24億円など、計78億円にのぼりました。
 会社は既に役員報酬の5月分のみ30%〜60%の返上を発表しましたが、不振の経営責任はこんなことでごまかません。決算発表と同時に、「資本剰余金を原資とした期末配当の実施について」を発表し、予定どおり株主配当は8円を出すとしています。経営責任は曖昧にし、大株主への最大限の気配りをする、その一方で、今秋からの持ち株会社化に向けた組織再編を行う中で、この1年間で3度に及んだ希望退職募集に続く人員削減策=学研労働者への犠牲強要策をごり押ししようとしているのですから、職場の怒りと不満は増すばかりです。
展望を示せぬまま、犠牲強要策を正当化する経営陣
 「学研ライフ」4月号で、「64期スタートにあたって」という遠藤社長の部長会での「説示」が掲載されています。分社化に向けて「学研は、変わらなければ明日はない」として、新たな第1期である振り出しに戻っての再スタートを切るためには社員一人ひとりの意識改革が「不可欠の要件」だとしています。
「学研社員は会社の脛をかじってきた」のか?!
 そして、年頭所感でも述べていた自主独立、「自分の飯は自分で食う」(この表現は相変わらず?「パルス」1月号の指摘を読んでいないのは遠藤サンだけのようです。ネットで読んでください)を強調し、「このままの状況が続けばかじる脛は間もなく無くなります。かじる脛がある間になんとしても自分で食べる術を身につけてもらわなければない」と言っています。そしてこれは「苦労を押し付けているのではなく、当たり前のことをしてくださいと言っているだけ」だと遠藤社長は言い、最近もしばしば耳にするが、「持ち株会社へ移行することが、(社員に)これまで以上の苦労を押し付けることになると受け止めている人がいたら、それはとんでもない考え違いです」としています。
学研の資産を食い潰してきたのが、無責任で資質を欠いた経営陣であるにもかかわらず、社員であるかのような主張をしている遠藤社長こそ、とんでもない考え違いをしているというほかありません。社長は、年頭所感でも赤字の責任を社員のせいにしていました。「自分の働く部門が赤字でも会社は給料を出すべきと考える社員はとんでもない勘違いをしている」などと非難していました。この時点で中間決算は35億の営業赤字で、「塾・教室事業」の300万円黒字を除き、他は全部門赤字でした。遠藤社長は、これは経営陣の責任ではなく、学研社員各人の依存体質が原因だから、給料は出したくない、おとなしく希望退職に応じてやめてもらいたい、そして分割会社では赤字部門は丸ごと切り捨てられて当然というロジックに結びつけようとしているのです。いま深刻な貧困と格差社会を招いた新自由主義の下で流布された言説である若者や社会的弱者、労働者への「自己責任」論の押しつけが見直されている時に、この会社の社長は3周遅れのトップランナーを地でいく進軍ラッパを吹いているのです。
持ち株会社化は、社員に「苦労を押しつけるものではない」のか?
 遠藤社長は、ここまでの度重なる希望退職募集や賃下げの新賃金制度導入等の犠牲強要策に不満を増大させ、持ち株会社化への不安を抱く労働者の当然の受け止めを、「考え違い」とし、経営陣の狙いをごまかしています。ことばでごまかすだけでは弱いので、「持ち株会社化の後も、3年間は基本給を維持する、賞与も65期は従前の制度に基づく支給とする」と言い、「業績のいいところには初年度から業績連動を考慮するようにする」と述べて不満と不安の沈静化を図ろうとしています。「基本給の維持」が約束として守られるのか、その意味は違うということが分かるのか、今はこれだけでは言えませんが、業績の悪い事業会社ではどうなるのか、を暗示していますし、学研ホールディングスによる事業会社の支配がどういう実態に向かうかは、沢山の事例が示しているとおりです。
組織改編と「新グループ経営計画」から透けて見えるもの
 会社は同じ5月15日に、「持株会社制移行に伴う新設分割計画および吸収分割契約に関するお知らせ」を発表しました。また『学研グループ 現2か年経営計画の見直しと新グループ経営計画「Gakken2011」』を発表しました。
 前者は、3月16日に発表した「会社分割による持株会社制への移行および商号変更(子会社を含む)に関するお知らせ」で発表した持ち株会社化と11の事業会社・機能子会社の詳しい内容(代表者・事業内容・株式・資産等)を公表しているものです。同時に発表された役員人事で、退任となった専務安田健甫、常務小野寺哲也、取締役岩井英夫、荒木勝彦、須磨春樹の各氏は、安田サンが顧問の他は、それぞれ上席執行役員となっていますが、事業会社(学研エデュケーショナル、学研プロダクツサポート・ファシリティサービス、学研マーケッティング・出版サービス、秀潤社)の各代表取締役社長になる予定とされています。富樫、木村、中森、古岡秀樹、川崎、の各取締役はホールディングス役員として留任となるのでしょうか。新任取締役は、受験塾の買収を担ったとされる宮原博昭現執行役員です。
この新組織への移行へ向けて、4月1日に発令通知が出され、全社員の新職への帰属が発表されましたが、編集・営業・人事総務のそれぞれに会社が人員削減の対象と考えている労働者を送り込む部署を設けて、40人近くの人を配属し、退職強要を狙っていると言われています。持ち株会社発足の前段階で早くもこうしたリストラ合理化の動きを強めている会社が、いかに甘言を弄してごまかしても、学研労働者の雇用破壊が強まるのは目に見えています。
後者の新2カ年経営計画も、学研グループ経営の方向性を、「成長事業」「安定事業」「赤字事業」に分けて、例えば家庭訪問販売事業等の縮小は目標数字でも顕著になっています。これらの事業会社がスクラップの対象とされるのは明白でしょう。
 現状のセグメントで見る限り、赤字事業が大半を占めている学研グループの将来について経営陣は何も展望を示せておらず、持ち株会社化は学研関連労働者に一層の苦労を強いるものとなることは容易に察することができます。
求められているのは「社員の意識改革」ではなく、経営の問題体質の根本改革であり、それなくして学研の建て直しなど不可能です。
6・25株主総会で学研経営の問題体質を追及し、改めさせよう!
 今年の学研の株主総会は6月25日に開催されます。会場は五反田の新本社ビルが予定されているようです。危機に喘ぎながら、分社化大合理化=労働者使い捨てで乗り切りを図ろうと、ホールディングス発足を無条件で承認させようする学研経営陣の姿勢を追及していきましょう。
昨年は、4月に、07年以降筆頭株主になった旧村上ファンド=エフィッシモキャピタルマネージメントが6月株主総会での社長解任提案をちらつかせると、経営陣は、「学研グループ 2カ年経営計画2010」を発表し、本社売却、直販部門=「学研のおばちゃん」の順次削減等の赤字部門からの撤退検討や希望退職募集などの犠牲強要の上に大株主に配当倍増を約束、これでエフィッシモは解任提案を取り下げ、となりましたが、社内の士気低下と経営陣への不信任は最大化しました。学研経営が、自ら業績悪化の悪循環を招いてきていることを自覚すべきです。
会社は、「大規模買付ルール(買収防衛策)の改正および継続に関するお知らせ」をこれまた5月15日に発表しました。環境変化や株券電子化その他の法改正を踏まえ、買収防衛策を維持しようとしているものですが、エフィッシモの側は、社長解任提案の取り下げの理由となった「2カ年経営計画2010」がこの3月決算で未達に終わったにもかかわらず、学研に新たに何かを言って来ていません。その添付資料によると、09年3月31日現在の大株主は、ロイヤルバンクオブカナダトラストカンパニー(ケイマン)リミテッド(19・81%)で、これが旧村上ファンドのエフィッシモが統括している株式のようです。2位が古岡奨学会(13・10%)。三菱東京UFJ銀行が4・43%で3位(三菱UFJフィナンシャル・グループのトータルでは6・36%)。買収防衛策の一環として学研が株式持ち合いの資本提携を進めてきた相手は、凸版印刷(3・05%)、廣済堂(3・02%)、明光ネットワーク(2・68%)などです。

<現場行動報告>
5・13学研社前闘争
 5月13日、夏の陽気が続いた中、午後1時半から3時半の社前行動を行いました。太陽は社屋の玄関へ向かって建物の左手奥に隠れた後で、風もあって、しのぎやすくなる中で、地域の労働者と出入りする学研関連労働者、来客へビラを配布、そしてのんびりと社前に座り込み、当該はマイクで学研の業績下方修正等の近況と争議解決しか道はないとの抗議情宣を行いました。行動の途中、学研関連労働者から、次のような声も寄せられました。「こういう問題はガンガンやった方がいいよ。自分の問題にならないと関心持たない人も多いが、それではダメだ。自分もそのうちお世話になるかもしれない」。(一人でも入れる地域合同労組=東京南部労働者組合に紹介します。いつでもご相談ください。)
 役員は追及を避けてか出入りがありませんでした。シュプレヒコールをあげて行動を終了しました。


<共闘報告>
南部交流会
3・26春季集会に続き4・1南部統一行動  大崎第一区民集会所で09年度の闘いへ基調を確認し、全都の仲間からも連帯の挨拶を受けて充実した集会を持った力で、4月1日には、品川臨職闘争・区庁舎前−ス労自主・エッソ本社前−南部労組アール・アールインベストアンドデザイン社前の3争議の現場を貫く統一行動が、のべ158名の結集で打ち抜かれました。 
南部労組の鈴木さんの闘い。障害者の移動の自由を奪う介護支給量削減に対する第2次行政訴訟が5月18日、地裁522号で開廷され、終了後、裁判の現状につき弁護士会館で報告会。4月30日、渋谷のじれん(野宿者の生活と居住権をかち取る自由連合)総会、5・2全都野宿者メーデーが新宿柏木公園での集会・駅周辺デモとして闘われ、300名を越える仲間が参加しました。
争団連・地域共闘
 各地で春季集会と争議勝利へ集中行動が展開されました。4・25イスラエル大使館ー防衛省抗議行動。 パレスチナ民衆虐殺に抗議し、また自衛隊ソマリア派兵を許さない行動を打ち抜きました。
出労交 4・10出版関連労組交流会議春季集会を開催。09年度の方針を確認しました。
集中行動=6・1教育社闘争・新宿住友ビル前昼集会、6・20論創社社長宅デモへ結集を!
 5・22ダイヤモンド社労組との職場交流会を開催!
 「私傷病休職と復職をめぐる攻防」、「定 年後再雇用制度」の二つのテーマで熱心な討論と交流が行われました。
6・26マガジンハウス坂本さん解雇撤回闘争終結報告集会&偲ぶ会
3月30日、坂本さんがくも膜下出血で急逝。闘いの途上の死を悼み、組合再生の遺志を引き継ぐ。6月26日、18時半〜東京しごとセンター5F