学研本社の五反田移転を迎えて
 争議解決か、「崖っぷち」からの転落か?
 
経営陣の決断を問う!
 
学研本社が、この8月大田区上池台から品川区西五反田に移転してきました。普通の企業であれば、移転するまでに懸案事項を解決し新しい出発をアピールするものですが、
 学研の場合は全く逆です。経営再建の基盤も作れず、3月決算で56億円の赤字など、業績の悪化はごまかしがきかくなくなり、完成間際の新本社ビルを売却し、土地・建物をリースで使用しての本社移転です。遠藤社長自身が「崖っぷち」の状況である、と危機感を表明していますが、1月の100名につぐ4月の50名の希望退職追加募集、実質賃下げの新賃金制度導入、等の労働者への犠牲の強要に終始している状態で、学研グループ2カ年経営計画2010を発表しても、社内からの信頼も協力も得られないのは当然です。以下に紹介するように経済誌も学研経営陣の発表している計画の破綻を暗示し、経営施策に疑問を投げかけています。展望喪失の実態と山積する問題をおし隠して
体裁を繕っても学研の深刻な実状は露呈してしまっています。
 学研が、下請労組潰しを狙って仕掛けた業務総引き上げ=倒産・解雇によって引き起こされたふじせ争議をどうするか、も移転前の重大な懸案事項でした。この問題は、学研が本社や関連で働く労働者に向き合う姿勢をいかに持っているかを示す、試金石であり続けているわけですが、6・26株主総会での答弁に示される居直りは、今の経営陣がいかに無責任でかつ、解決能力を欠いているかをさらけ出しています。彼らは、役員報酬を受け取って任期をやり過ごせば、学研のこと、その後も働き続けている社員のことなど、将来どうなろうと構わないとしか考えていないのでしょう。本社から下請けに拡大した争議を30年以上も解決せず、話し合いを拒んでいる企業が、信頼回復や経営再建を言っても「口先だけ」と受け取られるだけです。
 私たちは、本社移転に当たって学研経営に、争議解決か、それともそれを拒んで「崖っぷち」から転落する道を採るのか、を迫る闘いを展開していくことをあらためて宣言します。
経済専門誌・紙が学研の株式持ち合いに疑問符!
「要注意企業」ワースト50(業績修正)にもランクイン!

 「日経ヴェリタス」(8月31日号)は「学研また株式持ち合い、明光ネットと業務・資本提携」との見出しで、学習研究社が、「28日、明光ネットワークジャパンとの業務・資本提携を発表した。学研が成長分野の1つに位置付ける学習塾事業の強化を理由にしているが、新たな株式持ち合いの構築でもある。学研は因果関係を否定するが、シンガポールに拠点を置く投資ファンドのエフィッシモキャピタルマネージメントによる学研株の大量保有が明らかになった2007年7月以降、株式の持ち合い強化を進めている。」として、学研が明光ネットの株(発行済み株式の4.24%)を取得、明光ネットはこれを受けて、学研株を6億9700万円程度、245万株程度(同2.31%)を限度として市場で買い付ける、ことを報じています。
 また、これより先の日経新聞(7月1日)でも、学研が、08年3月期末までにテーオーシーとの株式持ち合い、日本紙パルプ商事との相互追加取得を行ったことに触れ、「学研は前期、連結営業キャッシュフローの赤字幅が47億円に拡大した。その中での株式持ち合いには批判の声も出そうだ」と厳しい視線を向けています。
 このかんの場当たり的な業務提携や資本提携については、私たちも株主総会で質問をしたところでした。その株主総会についても、6月27日の「日経産業新聞」で「学研が株主総会、黒字確保に具体策言及なく」と報じて、マイク電源を切って株主の質問を封じたことも記載されました。
 そして、「週刊東洋経済」 の9月13日号は、「要注意企業ココで見抜く」との特集で、会社が発表している決算業績予想と「会社四季報」の取材による独自予想の乖離額
が大きい企業のランキングを発表していますが、学研もワースト50の中に入っています(39位)。学研は、8月9日に、08年4―6月期連結決算は、経常赤字が十八億円(前年同期は二十億円の赤字)となったことを発表。「早期退職者の募集による人件費削減や不採算雑誌の廃刊などで赤字幅は縮小したが、出版事業の不振が続いている。」と報じられています。この時の学研の発表では、通期の業績予想は7億円の経常黒字とされていますが、「会社四季報」の予想では、13億円の経常赤字となっています。
 2カ年計画に早くも黄色信号が点灯している、というところでしょうか。
<夏季闘争報告>
7・10東京国際ブックフェア情宣
    多数の来場者にビラ配布!

 恒例となっている東京国際ブックフェアの1日目、会場の東京ビッグサイトで情宣行動を行いました。ふじせ労組をはじめ、出版関連で争議を闘っている教育社労組、山田書院労組、中部労組論創社、マガジンハウスの解雇と闘う坂本さん、の5団体の仲間がビラを持ち寄り、共に配布しました。
「学研の倒産・解雇攻撃を許さないぞ」等と書かれた横断幕や旗も駅頭から続く陸橋の上に飾り、ふじせ労組を皮切りにマイクでも参加者に訴えました。争議を抱える問題出版社の実状に触れて、反響も大きいものがありましたが、この日は業界関係者向けのフェアで大変多くの参加者が通り、沢山のビラを配布することができ、完配となりました。学研−ふじせ闘争に関しては英文ビラも配布しました。
 終了時には、集まった22名の仲間でシュプレヒコールを上げ、多くの人たちにアピールしました。

    
7・10東京国際ブックフェア情宣      8・7教育工学研修セミナー抗議・情宣(港陽中学前)  

7・28学研社前、上池台最後の闘争

 7月28日、上池台での最後となる社前行動を展開。7時35分頃、車で出社してきた遠藤社長に抗議のシュプレヒコールを浴びせ、その後も、安田専務、富樫専務らに抗議・団交要求行動を行いました。
 出社役員抗議・追及と合わせ、8時過ぎからは、朝ビラを配布、株主総会の詳細を伝える16頁版のビラは、いつもこの時期のニュースとして注目を浴びました。数部をまとめて受け取りに社内から出てくる人もありました。
 9時を回ったところで、社前座り込みに移りました。社内へ向けたマイクアピールを行い、併せて、これまでの本社前の行動に温かい理解と協力を寄せてくださった地域の住民の皆さんにもお礼の挨拶を行いました。そして、五反田移転を迎え撃ち、闘う決意を述べて、行動をしめくくりました。
8・7教育工学研修セミナー抗議・情宣
8月7日、港区の港陽中学で開催された「教育工学研修セミナー」に対し、参加する小中学校の先生たちに情宣行動を行いました。「お台場海浜公園」駅頭で、ゆりかもめ乗降客への情宣も兼ねてビラを配布しました。
 その最中、太田雅男元取締役(現才能開発教育研究財団常務理事)が駅頭を通って会
場へ向かっていったので、抗議の声をかけました。
 駅頭情宣を終了し、イベントが始まる直前の港陽中学前へ移動し、シュプレヒコール
を上げて、終了しました。文部科学省が後援で、冒頭に初等中等教育局の役人が挨拶予
定になっていたようです。猛暑の中の行動でしたが、駅頭で先生たちにもビラを配ることができ、また、(イベント参加者は少ないので)駅利用の一般の人々にも多数のビラを配布し、有意義な行動となりました。
9・2ギフトショー会場前情宣
夏はイベント闘争が続きました。9月2日には、学研が出展参加しているイベント=ギフトショーが行われた東京ビッグサイトで情宣行動を展開しました。
 今年1月、学研の中国製地球儀が台湾島などの表記でクレームが殺到、製品回収と子会社学研トイズの解散にまで至りました。出展は学研本社としてとなったようです。

                         9・2ギフトショー会場前情宣

 この日は、ブックフェアの時と同じでイベント初日で業界関係者が多数来場しました。ふじせ闘争支援に結集してくれた20名以上の仲間とビラを配布、マイクで訴えました。「問題企業としての実態を押し隠してイベントに出展している学研について知っていただきたいと思います」「学研の科学・学習の委託編集業務を行ってきた私たちに対して、組合を結成してプロダクションの経営者と話し合いを始めたとたんに学研が介入してきて組合潰しを行ってきました」等の訴えをマイクで行っていると、注目も集まり、沢山の人々がビラを受け取ってくれました。この日もビラはほぼ完配となり、効果的なアピールを実現できました。
<共闘報告>
7・26論創社社長宅包囲デモ=出労交集中行動を闘う!
 論創社の不当解雇に対する闘いで、ちょうど都労委勝利命令を受けて丸1年、命令履行を拒み、争議責任を居直っている森下社長の自宅(豊島区南長崎)包囲デモを、出版関連労組交流会議、中部地区労働者交流会の集中闘争として、71名の結集で打ち抜いた!
7・31アール社前集会=南部交流会集中闘争を打ち抜く
 長時間にわたる過重労働を強いて、業務上の疾病に追い込んだ責任を居直り、休業補償打ち切り=解雇攻撃をかけてきたアールインベストメントアンドデザインに対する闘いで、南部労組アールと支える会は、南部交流会の集中行動による結集を得て、社前抗議集会を打ち抜いた。集会前には、代表団が初めて赤坂ツインタワービル16階まで上がって同社への団交申し入れを行った。役員は姿を隠したまま。集会では、争議団連絡会議や間接強制粉砕対策会議などから連帯挨拶。顔写真入りのビラ配布に「損害賠償請求」裁判を起こしたアール永井社長への抗議の意思などを表明。7月23日のアール事件都労委一部勝利命令(団交拒否を認定)に対し、中労委で不利益扱いも認めさせ、現場ー第三者機関を貫き闘うことを確認した。また、先日、店舗閉鎖による主婦パート労働者4名を解雇した上原クリーニング相手に南部労組に加盟して解決をかち取った仲間も参加して報告の挨拶を受け、集会は51名の参加で盛り上がった。
9・13全都反弾圧集会・渋谷デモ、約150名の参加で成功!
 争議団闘争への刑事弾圧など、治安国家化に抗議し、全都の労働者が実行委員会に集い、恵比寿区民会館で集会、渋谷の繁華街を、デモ。
9・30品川臨職闘争勝利!33周年大井町デモ=南部集中闘争へ!
18時〜品川区庁舎前集会、19時〜大井町デモ
10・3全争議団闘争勝利総決起集会へ! 18時半〜豊島区民センター
                                        主催:争議団連絡会議