希望退職募集に続き、次のリストラ・賃下げ狙う
学研経営の犠牲強要策に労働者の怒りが沸騰

営業赤字の拡大と経営展望の喪失
 学研は2月1日、2008年3月期の連結最終損益が31億円の赤字になる見通しだと発表しました。昨年11月時点から赤字幅は27億円拡大。「雑誌の販売不振などで2期連続の営業赤字になるうえ、早期退職優遇制度の応募者に支給する退職金の特別加算金を特別損失に計上するため」とされています。
 今期の業績修正は三度目。広告収入の減少もあり、売上高は従来予想より12億円少ない七百九十億円。棚卸し資産評価損の積み増しや原材料費の上昇などで営業損益は1億円の黒字予想から16億円の赤字(同2億円の赤字)となる、ということだそうです。
 また、会社が2月15日に発表した07年4〜12月期の連結業績は、営業損益が、35億円の赤字(前年同期は21億円の赤字)でした。「訪問販売による雑誌や書籍の販売減が続いたうえ、書店での売れ行きも伸びず、主力の出版事業の損失が膨らんだ。将来の収益源と期待していたクロスメディア事業も重荷となっている。」とされています。
 私たちも再三、株主総会などで指摘し追及してきた経営の深刻な実態が露呈しています。鳴り物入りで発表・宣伝してきた「クロスメディアコンテンツ事業」も「オンラインパーゴルフ」終了等々に見られるように破綻が顕著になっています。これも私たちが指摘し警告してきたとおりの推移をたどっているのです。「第62期は9億円を超える投資を予定しており、第63期に収支が均衡する計画」など灰燼に帰することととなるでしょう。
希望退職応募は58名、会社のごまかし策も限界に
 45歳以上など一定の条件を満たす従業員を対象に1月下旬に募集した早期退職優遇への応募は58人とのことでした。100人を当て込んでいた会社の思惑ははずれました。学研経営は、希望退職が想定よりも下回ったことを受けて、五反田移転の時期にかけて、組織再編に伴うリストラ退職強要を狙っています。名目は五反田の市販部門の赤字が15億円に及んだことなどで、会社はこのかんくり返した朝令暮改の組織変更を行なうことを性懲りもなくまた発表しているのです。35億円の赤字でも株主配当は続け(「期末配当4円は変わらず」)、自分たちは責任を取らず問題体質を改めず、労働者へ犠牲強要をくり返す学研経営の無責任ぶりはここに極まったとしか言い様がありません。社内の職場・現場からの不満が煮えたぎっている状態です。
経営の混迷で発表遅れる新人事制度の実態と飛びかう憶測
 会社が年頭には示すはずだった新人事制度の詳細についても発表が大幅に遅れているようです。フレックス制に続き、4月から裁量労働制の導入を図ってきましたが、このかんの犠牲強要に不満爆発寸前の学研労働者を前に、さらにこの残業費不払いの悪質な攻撃をかけるのかどうか、逡巡しているものと思われます。混迷の経営陣は、人員削減だけでなく、学研労働者の賃金を切り下げようとして労働者への責任転嫁によって自分たちの生き残りを図っていることは明白です。査定幅を拡大するなどしてそれを強行するための新たな給与体系の提示の時期を見計らっている、というのが発表遅れの実状なのでしょう。
 学研経営のリストラ合理化・賃下げ策の背景にある経営の深刻な実態をめぐって様々憶測も飛び交っています。外部からの圧力もその一つです。旧村上ファンドのエフィッシモは2007年6月末まで、学研の発行済み株式の6.74%を保有する第4位株主でしたが、7月下旬に市場で13.41%まで買い増しを行い、古岡奨学会を抜いて筆頭株主に躍り出ました。その後も買い増しを進め、12月10日に関東財務局に提出された大量保有報告書では、保有比率が19.22%までアップ。この間の投資総額は約64億円。学研に対して、何も口を出さない状態ではなくなってきています。村上ファンドの圧力や、防衛策として株主を引きつけるためにもリストラに躍起となっている学研経営の様子が窺えます。
 「学研と提携していたIT企業が学研株を担保として差し出し、その株が売却されてしまったと聞く。エフィッシモの保有株の一部はその株ではないか」(兜町筋)という話しもありますが、このIT企業はインデックスです。これは同社の単なるミスではあり得ない可能性も含め、私たちふじせ労組とインデックスの話し合いの状況につき「パルス」紙上でもお知らせしてきました。
 もはや学研に何が起きてもおかしくないと言われている状況に対し、いつもしわ寄せ策を押しつけられることを許さず、私たちは学研に働く皆さんと共に、現場から抗議の声を上げていきます。
2・1倒産・解雇30周年、本社移転を迎え撃つ
ふじせ闘争五反田デモを100名の結集で打ち抜く!
西五反田の地元に轟く学研経営糾弾の声に大きな反響!

 学研経営が仕掛けたふじせ労組潰しの業務総引き上げ=倒産・解雇攻撃から丸30年が経過しました。ふじせ企画は、学研経営が73年に学研本社内で結成された全学研労組を潰す目的で、労組員から仕事を取り上げ下請けに回し、さらにその下請け編集プロダクションの労働者を安く使い捨てにすることを兼ねて、導入した会社でした。「学習」「科学」や「マイコーチ」等、当時の学研の主力雑誌・教材の委託編集を請け負い、学研の労組弾圧の拡大(14名の解雇・配転・賃金差別・日常的な職場での暴力的なつるし上げ等)と並行して、ふじせへの発注が拡大し社員35名の規模に膨れれ上がっていきました。
 そこでは、月に150時間を越えるような長時間残業を無給で強いられる等の劣悪な労働条件が強いられる日々でした。導入から5年目の77年の12月、私たちは組合を結成し、下請け=ふじせ企画の経営者と労働条件改善に向け話し合いを始めました。ところが、その矢先に学研経営が身を乗り出してきて、私たちが本社や2ビルに派遣されるなどして行っていた学研の編集業務を総引き上げし、組合を解散に追い込もうとしてきたのです。全学研労組対策で導入したふじせ企画に組合の存在など許さない、という学研経営の焦りとおごりからこの攻撃が仕掛けられたのです。組合結成からわずか1週間後の業務総引き上げ、それでも組合が解散しないならと、1ヶ月後には下請け会社ごとの組合潰し=倒産・全員解雇を学研は仕掛けてきました。
  それ以降、私たちは学研の指揮命令で組合潰しに加担した下請けの経営者から、学研が描いた労組弾圧のシナリオを明らかにさせ、学研の業務回復による会社の再開を確約させ、争議を引き起こした張本人の学研経営が一切口をぬぐって、私たちとの話し合いさえ拒んでいることを許さず、長期の争議を闘ってきたものです。         今年は、その倒産・解雇から30周年となり、私たちと共に闘う地域の労働組合・労働者の集まりである南部地区労働者交流会、同じく出版産別で共に闘う出版関連労組交流会議の集中闘争として、2月1日、五反田での集会・デモが開催されました。
 大崎第一区民集会所での集会では、当該から大きなヤマ場に入った争議の現局面と、学研の現場での暴力的敵対や仮処分・間接強制による闘争圧殺をはね返し、その後経営危機を深めてきた学研の問題体質に迫って闘ってきた30年間を踏まえた今後の闘いへの決意が語られました。連帯挨拶は、争団連(代表してパート労働者への解雇攻撃と闘う三多摩合同労組中大生協)、ゲーム機メーカーのリストラ解雇攻撃と闘う連帯ジャレコ、同一資本下で闘う全学研労組、野宿者の生活と権利確立へ奮闘している渋谷のじれんから受けました。全学研労組からは、学研はふじせ争議を解決するか、それとも経営破綻状況を最悪の結果にまでつき進むのか、どちらの道を選ぶのかが待ったなしで迫られている旨述べて、共に争議解決を迫っていく連帯・共闘の意思が示されました。
 最後にこの日の闘いを集中闘争として取り組んでいる南部交流会(南部労組アール)と出版関連労組交流会議(中部労組論創社)、最後にふじせ闘争支援共闘会議(元4・28当該)から決意表明を受けて、7時30分からデモに出発しました。
 目黒川沿いに進み、桜田通りへ出て五反田駅前東興ホテル前を左折、飲食街を行進。「争議を抱えて五反田移転してくる問題企業=学研糾弾」のシュプレヒコールを上げるデモ隊に地元の反響は絶大、ビラを受け取りに寄ってくる人も。そして、工事中で明かりがともる24階建ての学研社屋前を通過、力強い抗議の声を上げました。大日本印刷向かいの谷山公園に到着、30周年デモの成功を確認しました。結集は63団体98名。デモ後の交流会にも25名を越える多くの仲間が参加して盛り上がりました。
2・14ー15会社説明会情宣・社前行動を展開!
 2月14日、15日は、五反田デモの成功を引き継いで、就職学生の会社説明会が行われた学研本社で社前行動を展開。1日目は、10時過ぎから社前登場。旗、横断幕、幟を設営。既に本社6階で開催されている説明会へ向けてマイク情宣。問題を隠して、かつ希望退職で中高年を追い出しておいて、新入社員募集の説明会を開催していることを糾弾しました。会社は説明会終了しても学生をすぐに出さず。11時45分頃やっと出てきて、長引いた理由が判明。ビラを受け取って話しかけてきた女子学生が会社がビラを受け取らないようにという指示を出していたと教えてくれたのです。会社説明会ならぬ争議説明会(それも事実をつたえぬ歪曲の)を学研経営自らが行ったのです。心ある学生たちは、学研はよほど知られては困ることを抱えていると思ったことでしょう。 学研経営の対応は愚かというばかりでなく、自分たちの主張と異なる言論に目を向けること、耳を傾けることを禁じるという、出版社失格のことをやっているのです。

 2日目は、朝8時45分から闘争開始。参加しに来た多くの就職学生にビラを配布することができました。
 これからも、あらゆる場で学研経営の責任を追及していきます。
<共闘報告>
3・9 全国争議団交流集会 品川区中小企業センター 13〜20:00
3・10全国結集行動(都労委ー明大生協大学会館前ージャレコホールディングス本社前ー国鉄清算事業本部前)
     8:00〜14:30
3・27南部交流会春季集会 大崎第一区民集会所 18:30〜