争議を背負っての五反田移転か?
争議・問題体質解決の賢明な選択か?

経営の資質が問われる
          2007年の学研

 
2007年が明け、世間で言われている「一部上場企業の好業績」からは置き去りにされた学研は、厳しい選択を迫られる年になりそうです。「勝ち組」などと言われる企業にも問題はおおいにあるのですが、学研は、それ以上に重い病と深い闇にとらわれてしまっているからです。
年頭所感に滲み出ている学研の危機と経営陣の無責任性
 遠藤社長は、年頭所感で今年は学研のクロスメディア元年と「ガリレオ」元年だとしています。前者については「学研の事業領域の広さは発信できるコンテンツの質と量を考えると圧倒的な優位性となる」としていますが、遠藤サンは何も分かっていないなと受け止める人の方が多いでしょう。リアルとかバーチャルとか言葉をもてあそんでいますが、これだけ低迷している出版社のコンテンツが質的に優位であるわけはなく(労働者が良いものをつくる環境も創られていない)、「事業領域の広さ」もただ拡散して手を出しているだけと見られているのです。大風呂敷を広げるのは勝手かも知れませんが、大やけどをしてそのつけを働いている現場に回されるのはごめんです。社長が「2月に22サイト一挙大公開」などとはしゃいでいるわけですが、冷静な社員からは「イマジン学園の二の舞にならなければいいが」との声があがっています。トンデモサイトにならないか心配です。そして、学研GICやGSMのように悪徳と非難されても反省がない良識を欠いた経営姿勢ではネット上でもトラブルを起こすことになりかねません。問題多発となりそうです。
 「ガリレオ」とは、4月から行われる業務合理化制度のことだそうですが、学研労働者は、この命名のセンスにあきれ、年末から始まったこのための研修に「この忙しい時期に何を考えているんだ」「残業時間が増えるじゃないか」との不満を隠さない状態になっています。
 年頭所感の最後は、前にも言っていた「社員の自己実現を」です。会社は「自分の可能性を追求するところ」と考えてみてはどうか、と社員に向かって提案しているのですが、とても白々しい言葉です。これまで「企業ファシズム」と言われるような暴力労務政策を行っての全学研労組弾圧で争議を引き起こし、それを下請にまで拡大してきた学研の中で遠藤社長ら現経営陣は何をやってきたのでしょうか?平社員のときに「自己実現」をかけて暴力労政に抵抗できなかったことはさておき、役員となった今、過去を反省し、学研のこの問題体質と決別することを明確にすべきです。学研ほど、社員一人ひとりの「個」を押し潰してきた企業はない、と言えるのに、それを根っこの所で継承してしまっている遠藤社長ら現経営陣が、こんなことを言っても、「自己実現のトータルが企業としての自己実現でもある」との結語に現されているのは、形を変えた愛社精神と犠牲の押しつけでしかないことが見えてしまいます。経営陣の無責任を棚に上げて、10月の部長会で若手・中堅とのコミュニケーションが欠如していることに焦り、「自分が頑張らなくても、他の人が頑張ってくれるだろうという考えは身勝手過ぎる、・・」と社員に苦言を呈していた姿が重なって来るのです。これでは学研で働く人々に信頼されません。
学研経営は、今こそふじせ争議解決を決断するべきだ!
 学研経営が信頼を回復したいのであれば、ふじせ争議をはじめ学研の抱える問題を責任をもって解決することです。
 ふじせ争議は、ちょうど今頃の寒い季節に学研の仕掛けた倒産・解雇攻撃によって始まりました。下請編集プロダクションで「○年の科学」「マイコーチ」などの学研の雑誌・教材の編集業務を行っていた私たちは、月に150時間を越えるような残業を無給で強いられる等の低賃金・劣悪な労働条件を押しつけられてきました。これを改善しようと組合を結成し、下請経営者と話し合いを始めたとたんに学研が身を乗り出して組合を潰しにかかってきたのです。12月初旬の労組結成からわずか1週間後に当時35名が行っていた学研の編集業務を総引き上げし、下請経営者に指示・命令を出して、「組合を解散しろ」と言わせ、それに私たちが応じないと、年が明けた1月20日に会社を倒産させ、全員の雇用と業務を奪ったのです。それまでの間にも学研の関係部署の部長ら管理職を使って、組合からの脱退勧誘をふじせの労組員に行なうなど、学研の人事部が組織ぐるみで組合潰しを図り、失敗すると非組合員も含めて会社ごと切り捨てるという倒産攻撃をかけてきたのです。全学研労組弾圧の一環として仕事を取り上げて下請に回して安く使い捨てしようとしてきたところ、その下請会社に労組ができたことに焦り、
学研経営が一挙に潰しにかかってきたものでした。
 それ以来、争議は学研の頑なな話し合い拒否により長期化を余儀なくされてきましたが、私たちは決して泣き寝入りすることなく、学研の争議責任を追及し、一歩一歩着実に学研経営を追い詰める闘いを展開してきました。
各領域で学研経営包囲・追及をおし進めた06年の闘い
私たちは、06年の闘いを、社長・役員迎え撃ち追及の強化を初めとした学研社前闘争、北九州市自分史文学賞授賞式、東京国際ブックフェア、学研ー読売子どもキャリア教育講座(金融教育)、等々のイベント闘争、6・29株主総会における質問・追及と会場外抗議情宣、横浜の遠藤社長宅への行動、大株主インデックスへの申し入れ等の提携企業への行動、など多岐にわたる闘いを展開してきました。
学研は経営行き詰まりの責任転嫁=労働者への犠牲強要策が破綻、ふじせ労組は職場の学研関連労働者との連帯も前進
 学研の昨年3月決算は、連結売上高が842億円で前期の933億円から9・8%減で低下の一途をたどってきたばかりか低下率が大きく拡大し、51億円の赤字でした。毎回の期末に合わせた見せかけの売上と利益計上で昨春も単体では13億円の黒字とされたものの、これも子会社学研クレジット売却益50億円によるもので、4月以降の返本等で中間決算では23億円の赤字、今春は見せかけの黒字計上すら危うくなっています。そうした中、会社は労働者への犠牲の強要を強め、雑誌部門で裁量労働制を予定より早め12月から前倒しで導入しようとしましたが、みなし労働の基準とする現状の時間外労働があまりにも長時間であるため、導入を延期するという迷走を続けています。残業費押さえ込みの思惑と期末に向け売上挽回へ過重労働を強いるやり方がジレンマとなり、経営の責任転嫁策が破綻をきたしているのです。私たちは会社が裁量労働制を提案した段階から真っ向から批判し反対の声を上げ、厚生労働省の労働契約法制定・新たな労働時間法制の目論見と併せて反撃していく必要性を学研および関連労働者へ訴えてきました。今回は、職場=争議を貫く連帯感を形成し、学研の労働者へのしわ寄せ策がもはや限界に達していることを浮き彫りにしたのでした。
 受験塾の買収や老人介護事業への進出などの動向も足元の事業が揺らいでいる中での目先の利益追いでしかなく、経営の展望を欠いたまま、08年五反田移転へ突き進もうとしているのが無責任企業=学研の実態です。株主の中からは遠藤社長への不信感を抱き、解任を求める動きも出始めています。
本社移転を間近に控え、ふじせ争議に身構える学研経営
私たちは、4月に開催された地域住民向けの移転工事説明会の会場内外でも学研へ追及を浴びせ、組合事務所の隣への本社移転を迎え撃つ態勢を固めてきました。07年は学研にとっても移転前年の重要な期間となっており、会社は内外の関係を安定させようと図っています。私たちの闘いに身構え、昨秋より学研社前での行動に権力を介入させ、社前での監視カメラを増強し、インターネットの学研のサイトでは「よくある質問」コーナーにわざわざ「東京ふじせ企画労組との問題とは」として弁解のためのスペースを割く、という対応まで取ってきています。しかし、その内容は、何故、下請会社が倒産したのかに全く触れないごまかしに満ちたものなのです。
 学研には、待ったなしで、争議を抱え、内外からの信用を失った状態のままで五反田へ移転するのか、問題体質を改め争議解決を決断するのかの決断が迫られているのです。
 07年初頭の大きな闘いとして、2月2日に既に各雑誌編集部や広告・宣伝部が上池台から移転し雑居ビルに入居しており、工事が開始されている本社移転予定地が存在 している五反田地域でのデモを南部地区労働者交流会及び出版関連労組交流会議の集中闘争として闘います。
   2月2日(金)午後6時15分〜・集会  大崎第一区民集会所第5・6集会室
                      ・7時30分〜五反田地域デモ


     新本社は地下3階部分を工事中(組合事務所から)

年末〜07年頭の現場行動報告
12・20学研社前行動
 遠藤社長へ2度の抗議行動を浴びせる!
 06年は秋季から年末へ学研の無責任経営陣へ肉薄する現場攻勢を強化して展開することができました。12月20日は、遠藤社長を迎える態勢を7時20分すぎから開始。しかし、この日は、7時40分頃に安田専務が先に出社。ついに遠藤社長より早く出社する役員が出てきた。安田専務へ正面口で団交要求し抗議。安田専務はガードマンに守られるようにして社内へ逃げ込む。再び、2ビル方面に注視。そちらから48分頃、社長の乗った車がきて、いつもより速度を上げて構内へ。シュプレヒを車の周りから、そして降りた遠藤社長の背中へ浴びせた。遠藤社長は、珍しくこちらを振り向き様子をうかがうような視線。
 8時を回った段階で、田園調布署私服公安がきて、カメラでしきりに撮影。警察の争議(民事)への介入は許されていません。これに抗議しつつ、富樫専務、太田・木村取締役ら次々と出社してきた役員へ抗議・追及を行ないました。
 後半は、社前で座り込み。しかし、この日はさらに、終了間際に遠藤社長が出てきて車で外出。社前で信号待ちの車に阻まれてなかなか動き出せない社長車の周囲からかなり長い間シュプレヒコールを浴びせました。私服公安も間近まで来てしきりにカメラ撮影。外出予定があったので権力を呼んだようです。しかし、弾圧で争議は潰せないことを知るべきです。

          12・20学研本社前
1・27青山で学研イベント開催に抗議!
 年が明けての1月27日には、「読売・学研子どもキャリア教育講座」が開催された
ホテルフロラシオン青山で抗議・情宣を行いました。イベント参加の親子連れは、20数組と少数でしたが、殆どの保護者にビラを渡すことができ、学研の現状と私たちとの争議を知ってもらうことができました。