会社、裁量労働制導入を延期!
私たちは導入にあくまで反対する
会社は12月から雑誌部門への導入を決めていた裁量労働について当面は断念を余儀なくされました。裁量労働における見なし賃金に反映させるためのデータとなる平均残業時間が現状で非常に長時間である実態が分かったためのようです。後に記したように、第61期の後半で例によって計画の達成へ売り上げの挽回を図れと号令をかけている遠藤社長ら経営陣は期末にかけて労働強化=長時間残業を学研及び関連労働者に強いています。本音は裁量労働で賃金を抑え込みたい、一方で売り上げ達成へ過重労働を強いるしかない、という経営姿勢がジレンマに陥っているのです。私たちは9月号でも裁量労働の導入そのものに反対の声を上げてきました。学研で働く皆さんの過労死や健康被害を招くものでしかないからです。
今回の導入一時中止は、時間規制のない過重労働で労災(過労・過労死等)に結びつく労働状況になる可能性の高い裁量労働導入等の新労働時間制度に対する学研および関連労働者の皆さんの現場からの静かな怒りを学研経営も無視できなかったことによるものでもあります。これからも共に反対の声を上げていきましょう。
中間決算、予想どおりの赤字(23億円)
と遠藤社長の経営責任居直り姿勢
学研は、11月17日に中間決算を発表しました。それによると、本社単体の売上高は281億円で前期比マイナス6・2%、営業赤字20億円、純損失23億円でした。連結では、売上高が328億円(マイナス13・4%)、営業損失22億円、純損失25億円です。
赤字の額は5月に発表した業績予想の範囲(連結では若干改善)ですが、売上高は、単体285億円、連結340億円の予想でした(8月4日の第一四半期の財務・業績概況発表時も変更なしだった)から売上高下落率はさらに悪かったことになります。その分も製作原価等の削減を図った結果の最終損失の数字ということでしょうか?
しかし、いずれにしても、下期の見通しは厳しいようです。
遠藤社長の焦りと学研社員への苦言
遠藤社長は10月の部長会で「61期・下半期スタートにあたって」というテーマで挨拶を行ったことが、社内報「学研ライフ」で紹介されています。その中で、彼はまず、61期の売上計画は、策定にあたって「乖離が出ない」ことを重視した、現在の学研の実力の最下限を取った、と述べています。そして、上半期は、ほぼ計画どおりに推移したが、通期の見通しは各部門が慎重になりすぎて厳しい数字になっている、計画達成に向け鋭意努力してほしい、と述べています。
中間決算売上高は設定した最下限をも下回る数値だったことになります。そして、期末の決算では、売上高680億円、利益1億円という目標に達しない、ここ数年の数字の上での黒字計上さえ厳しいということのようです。焦る社長は、「自分の部門の1000万円くらいの利益減は全社で何とでもなるだろうという考えは絶対に止めてほしい、ここ半年ほど、30〜40歳代までの人たちと懇談会を20回近く開いたが大変なショックを受けた、社員の皆さんに会社の情報があまり行き渡っていないことが多い、」と苦言を呈しています。社長は経営の責任を棚に上げていますが、学研社内には人の意思疎通が欠けて閉塞状況が蔓延しているようです。
さらに、社長は、「会社は一般的には株主のものという論拠にも正当性はあるが、それを踏まえながらも、社員のものだ・・・と言い続けてきた、学研はあなたのものだ、学研の社員である限り、学研はあなたのものなのだ・・・と同時に他の社員のものでもある、自分が頑張らなくても、他の人が頑張ってくれるだろうという考えは身勝手過ぎる、人の努力の上に胡座をかいているような人は学研には不必要である、・・・・」として社員に自覚と協力を呼び掛けています。
呼び掛けの中に非正規雇用労働者は入っているのか?
しかし、このようなことを言う前に、学研の業績が低迷を脱しきれない原因は何なのか、私たちが指摘してきた問題体質を経営陣が改めて来たのか、社長たる者は深く反省すべきです。若手や中堅の社員たちとのコミュニケーションが出来ていないことも、信頼関係を形成するには経営があまりにも無責任であることに大きな原因があるとは考えていないのでしょうか?
また、遠藤社長は株主総会では学研は株主のものであると答え、社内報では社員のものであることを強調している点はさておくとしても、学研がどう成り立っているのか、について最高責任者としての視点が欠けていると言われても仕方がないでしょう。学研はあなたのものだ、と呼び掛けている相手の中にはふじせの労働者はもちろん、下請、フリー、パート・派遣等の労働者は決して入っていないのですから。学研の業務が、いまやこうした学研関連の労働者なくしては成り立たない状況であることは明白であるにもかかわらず、これらの労働者に向き合っていこうとする姿勢が微塵もない学研社長では、この会社の未来を担っていくことを期待するのは無理と言われても仕方ないでしょう。
「何事も話し合いから」というなら
遠藤社長は、挨拶の締めくくりとして、コミュニケーションの場を是非作りたい、として、「何事も話し合いから始める」これをしばらくは、新しい学研創造のキーワードとしたい、と言っています。
しかし、遠藤社長は、私たちの「話し合い」の申し入れを何十回と拒み続けてきたことをどう考えているのでしょう。学研の「科学」「学習」「マイコーチ」等の編集業務を担ってきた東京ふじせ企画の労働者に対し、業務総引き上げ=会社倒産・全員解雇という仕打ちを行った学研の現在の最高責任者として、私たちと話し合うべきです。そうすれば、争議解決への道が開かれるのです。そのような賢明な判断もできず、逃げ続けている人が、「何事も話し合いから」などと口先だけで言っても、学研の誰も信用しないでしょう。
もう一つの暗雲、インデックスの消長
学研経営とは違い、私たちと話し合いを持っているのが第2の大株主であるインデックスです。そのインデックスも、こんな体質と経営状況の学研をいつまでも支えてはくれないかも知れないという話題を一つ提供します。
インデックス・ホールディングは10月26日、小川善美社長の取締役降格を発表しました。06年8月期の連結純利益を前期比46%減の30億7000万円に下方修正し、4月に続く下方修正をせざるを得なかった事態に対し、社長が辞任したものです。
このニュースを取り上げた日刊ゲンダイ11月2日号では、次のようなコメントが記載されています。
『インデックスは、国内外で積極的にM&Aを続け、急成長を遂げた。上場した年の01年8月期に38億円だった連結売上高は、06年同期は1110億円。5年で、実に29倍超となり、「勝ち組」企業とみなされた。だが、小川社長の降格で経営不安説≠ェ一気に噴出した。「インデックスは上場以来3ヶ月に2社の割合でM&Aを続けてきた。買収は落合会長の担当で700億円以上をつぎ込んだ。このうちの7割が海外事業。しかし、欧州や中国の子会社は軒並み不振。本体の業績の足を引っ張るだけでなく、買収戦略に急ブレーキがかかり、利益の成長が期待できなくなっている』(外資系証券の通信業界担当アナリスト)。新社長の椿進氏については、「延びきった戦線を縮小するのが仕事」(前出アナリスト)と見られている、そうです。
経営行き詰まりの学研の方から某証券会社を通じて提携を申し入れたと言われる相手のインデックス、その右肩上がりの時代は終わったと、この紙面では評価されています。
仮にそうだとすると、インデックスの側から成長の見込めない学研との関係を見直す可能性が生まれてきて、所有する4・72%=5百万株の学研株式の動向も流動的になってきました。
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以上のように08年の本社移転を迎える前に学研は正念場にさしかかっている、と言えるでしょう。ふじせ争議を抱えていられるような状況ではないはずです。問題体質と経営陣の無責任を改め、学研で働く労働者に誠意ある姿勢で向き合うことが求められているのです。
秋季行動・後半戦
10・29遠藤社長宅申し入れ
10月29日、学研社長の遠藤洋一郎氏宅へ争議解決へ向けた話し合いの申し入れ行動を展開しました。日曜日の正午、横浜市南区大岡の遠藤社長宅前に到着。電話を入れても、インターホンを押しても返答はなく、残念ながら不在の様子でした。4台の監視カメラも動いておらず、庭も荒れている遠藤宅へ向けて、一応マイクで呼び掛けてみました。続いて地域の人々へ争議の近況報告を行い、支援・協力を訴えました。合わせて、周辺200戸へビラを配布。遠藤宅へもビラを残し、争議解決を迫る行動を終了しました。
11・7学研社前闘争
11月7日、学研社前闘争を行いました。7時半から社前で社長・役員を迎え、抗議・団交要求を行う構えに。しかし、いつも7時45分頃に来る遠藤社長は出社してきませんでした。
8時頃、安田専務が出社、団交要求行動を浴びせました。彼はいつもどおり、立ち止まることもなく、団交要求書の受け取りも拒み社内に逃げ込んでいきました。背中に抗議のシュプレヒコールが浴びせられました。この後富樫専務、太田取締役らへも同様に抗議・追及を行いました。
9時過ぎに正面へ移動し、シュプレヒコールを役員の逃げ込んだ社屋へ叩きつけ、社前座り込み抗議行動へ移行。当該がマイク情宣で社内へアピールを行いました。9時30分頃、パトカーが来て警官が降りてきました。「通報があった」等を述べて、座り込みの人々へ話かけてきたので、労働争議に介入するのはやめなさい、と追い返しました。制服は署に連絡
していたようで、10分もしないうちに田園調布署私服公安が2名来ました。抗議のシュプレヒコールを浴びせ、座り込みを継続し、不当な介入を阻止しました。公安は離れた場所で監視。私たちは最後まで力強く社前行動を打ち抜きました。
写真=11・7本社前 最初はへらへら笑っていた安田専務も最後はガードマンに抱えられるようにして構内へ逃げ込んだ
共闘報告
11・12−13全国争議団交流会企画会議・九州現地行動
東京の争議団連絡会議、関西争議交流会、北部九州反弾圧争議団・労組交流会等の共催で毎年開催されている全国争議団交流集会の来春九州開催に向けた企画会議が、12日福岡箱崎会館で開催され、翌日には加部建材闘争(三井住建九州支店前)、オートウエイ闘争(京都郡苅田町)の二つの争議現場を貫く行動を展開した。
11・21出労交集中行動=論創社社前集会を打ち抜く!
社会派出版社の看板を掲げる論創社の不当解雇・組合否認の街頭宣伝活動禁止請求訴訟をはね返し、闘う論創社闘争。10月27日に都労委審問が結審したのを受けて、出版関連労組交流会議並びに中部地区労働者交流会の集中行動として、神保町の社前で昼集会を開催。産別・地域の仲間、全都の仲間の結集で、出労交、主婦と生活労組、争団連、中部労組などの発言を受けて成功裡にかち取られました。
11・22南部労組アール闘争、初の現場行動
業務上の疾病の責任を開き直り、休業補償打ち切りと不当解雇を行ってきたアールプロジェクト(不動産再生事業等)に対し、千代田区3番町の社前行動に踏み出した。朝ビラ配布・地域マイク情宣と合わせ、出社してきた倉持副社長に抗議を浴びせました。
共謀罪を廃案にするまで闘うぞ!
会期末ぎりぎりまで審議入り・強行採決を狙う政府・与党を許さず、完全廃案へ連日の国会前行動を展開中!
「労働契約法」制定・「労働時間法制見直し」を許さない!
11月に入り労働政策審議会での動きが急速に。就業規則の不利益変更促進、解雇の金銭解決制度化、一定の年収を基準としたホワイトカラーイグゼンプション導入、等を盛り込んで、厚労省はなんとしても年内最終報告、07年国会上程を目論んでいます。許さないぞ!