中間決算発表間近で
遠藤社長の深まる焦燥と優柔不断
中間決算の発表が近づいてきています。「中間の数字はほぼ見込みどおり(ということは、連結で売上高340億円、純利益は27億円の損失、単体で売上高285億円、純損失23億円の赤字)だが、通期の業績は目標を下回る可能性が高い」ということで、社内的には、遠藤社長が焦燥感を深め、目標必達へ檄を飛ばすという恒例の動きに入っているようです。
しかし、檄を飛ばす前に遠藤社長は経営最高責任者として行うべきことを忘れています。いま会社内外に不満と不信が渦巻いているにもかかわらず、社長はこれに正面から向き合って、答えようとしていません。先月号でも、裁量労働制導入をめぐる経営のドタバタに触れました。束の間の労基法に則った時間外手当支払いと、その取りやめで、これまでの「見なし手当制度」によるサービス残業の程度が分かり、それが裁量労働制度等の導入で拡大されることになることには、多くの学研労働者が納得のいかない思いでしょう。
新労働時間制度・新人事制度の根幹にある経営の姿勢は、うわべを取り繕っても一貫した学研労働者への犠牲強要と使い捨ての発想に染まっているとしか言えません。これは、ふじせ争議を引き起こした責任に向き合う姿勢にも共通しています。
ふじせ争議への「解決無能力性」に現れている経営陣の資質
6月の株主総会では私たちの質問に居直り「学研に争議は存在していない」と自ら抱えている問題を押し隠し、他方でふじせの言動は「会社の業績を妨害している」としてその民事・刑事上の責任を追及する用意があるなどと、歪んだ形で争議を抱えた問題企業ぶりを暗に認める答弁をしているのです。
学研が、下請けプロダクションで結成された組合を潰す目的で、委託業務を総引き上げし、東京ふじせ企画を倒産させて35名の労働者の雇用と生活を奪ったことを、まるで無かったことのように言い、その責任を問題にする私たちの行動に(ふじせ労組のせいで学研の業績が悪いと)泣き言に近い非難を浴びせているのです。そこまで言うのであれば、遠藤社長は、私たちの前に堂々と出てきて、「学研のやってきたこと」、「ふじせ労組の言動」につき、具体的に問題の有無、所在を明らかにすべく話し合うべきでしょう。古岡奨学会に次ぐ第2位の大株主であるインデックス(最近、投資会社のこれを越える大量保有の動きがあったようですが)が、当労組との話し合いを拒むことなく、「問題解決が望ましい」と表明しているのとは、正反対の態度を学研経営はとっているのです。遠藤社長自身も私たちの前から逃げ続け、申し入れ行動を行った自宅前でも社用車に逃げ込んでから運転手に聞かせるように、こちらに向かって「一人で来てみろ」などとすごんで見せたりするものの、ふじせ労組委員長が会社に電話しても、いつも居留守対応をくり返しています。以前に五反田でばったり1対1で遭遇したときも、話し合いを持ちかけても優柔不断な態度しか見せませんでした。
<争議解決の決断>、これに背を向けて事態を悪化させてきたのは、遠藤社長だけではなく、学研の役員たち全体に蔓延している無責任体質です。学研本社前で追及されても、皆、判で押したようにだんまりを決め込み、うつむいて社内へ逃げ込んで行くだけです。刑事・民事責任云々と言う前に「ふじせの言ってること、書いてることは嘘だ」と抗議する役員の一人もいないのです。本当の事だから反論もできないのでしょうが。
「学研教育総研」発足から1年
教育出版社は教育基本法改悪等とどう向き合う?
安倍政権発足と共に、「教育再生」を旗印に「愛国心の育成」等を図って教育基本法が改悪されようとしています。政府が一番改悪したがっている点は、同法10条の「教育行政が教育内容に介入してはならない」という点です。9月21日に出された日の丸・君が代の強制に対する予防訴訟東京地裁判決は都教委の通達が憲法・教育基本法違反であることを認定しました。1970年、既に教科書検定をめぐる家永裁判杉本判決は憲法21条の表現の自由侵害の恐れと教育基本法10条違反を認定、「学習指導要領」に法的拘束力があるとする国・文部省の姿勢を指弾したのですが、彼らはその姿勢を改めることなく、教育委員会通達や指導要領を通じて教育現場への介入、日の丸・君が代の強制等を強めてきました。
昨年10月、学研は創業60周年事業の一環として「学研教育総合研究所」を旗揚げし、これに伴って「ニッポン教育再興プロジェクト発起集会」への参加を呼び掛けました。発言者は、この教育再興プロジェクトの陰山英男氏、金子郁容氏(慶応義塾大学院教授)、鈴木寛氏(民主党右派「次の内閣(NC)」文部科学大臣)らで、鈴木寛は、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーでもあり、教育再興ネットワークについては、既に2000年5月に「東京教育再興ネットワーク」が「徳目の充実」などを掲げる石原慎太郎・東京都知事の教育政策を支援する組織として先行発足していることなどを「パルス」で指摘し警告をしました。
学研は今年の株主総会で、この点を問題にした私たちの質問に対し、「学研の教材の著者である陰山氏との縁で呼び掛けただけで他意はない」と回答しました。その陰山氏は、今回、安倍首相の「教育再生会議」のメンバーにもなっています。この会議には、小谷実可子、義家弘介氏(「ヤンキー先生」の異名を持つ彼は教育基本法改正に疑問を表明。雑誌「世界」の反国旗・国歌特集にエッセーを寄せ、自衛隊のイラク撤退を求める声明の賛同者などにも名を連ねていることを、サンケイ新聞などが攻撃しているが、他方で「バウチャーはいじめにあっているこどもが学校を移れるから救済に使える」などと言って賛成している。学校を変えるんじゃなかったのか)なども名を連ね、必ずしも安倍カラー一色ではないものの、非公開審議下で安倍晋三の「美しい日本」実現を担う役割を負わされている組織です。
学研も、「百マス計算」ごときで時代の寵児となった陰山氏や「脳科学」の川嶋隆太氏などをかつぎ、「教育再生」を標榜しているが、教育出版社としての理念が試されています。小泉構造改革を継承する安倍政権が「教育再生」を言うこと自体が批判されるべきです。イギリスがサッチャー政権の「新保守(市場)主義改革」の下で民営化、規制撤廃を進める中で、所得格差の拡大、公的医療・教育の荒廃、教育機会の格差の拡大と教育問題の深刻化をもたらしたことは周知のことであり、市場原理主義(成果主義と競争システムの拡大)の教育への持ち込みが問題にされなければならないからです。
「学研ー読売子どもキャリア教育講座」開催をはじめとする学研の教育イベントも含め、今後も問題にしていくつもりです。
秋季行動第1波
9・20学研社前で役員追及!
9月20日、本社前で秋季第1波の行動を展開しました。
7時半から旗・横断幕を設営し、遠藤社長の出社を待ちます。社長は、学研および関連の労働者が出社する8時過ぎを避けて、7時45分頃に到着します。ふじせ労組の抗議行動を浴びる姿を見られたくないからでしょう。横浜市上大岡の自宅から社用車で1時間ほどをかけて来ますが、この日は、少し遅れて7時55分頃の到着。通常は環7通り方向から来て社前で右折して構内に入って行くのですが、私たちの行動がある時には社屋裏手を回って、2ビル方向から来て、シャッターを上げた入構口から玄関ロビー前に横付けします。渋滞で右折に時間がかかり抗議の声を浴びる時間が長くなるのを避けるためでしょう。
しかし、それでも社前でいったん止まって左折しようとする社長車の周囲から「遠藤社長、争議を解決しなさい」「話し合いを行え」等の抗議のシュプレヒコール、玄関前で車から降りた背中にも抗議の声が浴びせられ、エレベーターホールまで遠藤社長はそれを聞きながら歩いていきます。苛立たしげな横顔が見えていました。
車の中の遠藤社長に抗議 富樫専務に団交要求
続いて、朝ビラ配布と合わせ、出社してきた、安田・富樫専務、太田・中森取締役、大谷・本間監査役へ正面口と長原口で団交要求行動を行いました。肉薄する私たちに、口を閉ざし、構内に逃げ込んで行く無責任役員たちに抗議の声をぶつけました。
この後、社前に座り込み、マイク情宣と合わせて、学研経営に争議解決を迫る行動を10時頃まで打ち抜きました。
秋季行動第2波
10・19学研社前座り込み・抗議
10月19日は、午後2時半から社前行動を行いました。守衛のおじさんに「おーい、来たぞ」と告げると、慌てて駐車場の鉄柵を閉じます。旗・横断幕を据え、座り込み・抗議の態勢に。出入りする来客・業者の人々や外注・派遣等の労働者に争議の実態を知らせるビラ等を配布。マイクで社内へ向けてアピール。
行動中、役員は出入りを控え、遠藤社長も外出中の様子で直接抗議する機会は得られなかったが、往来する車からも注目を浴びる争議状況を現出し、解決を要求する行動を
2時間にわたって打ち抜きました。(写真=トップ)
共闘報告
9・29南部集中闘争=品川臨職31周年集会・デモ
品川区の臨時職員不当解雇から、9月30日で31年。ここまでで常勤職員減らしを目的とした恒常的業務への臨時職員導入の経過や、当該が従事した業務の実態など、当局の言う「要綱」や「法律」適用の不当性が明らかになり、佐久間さんの解雇も明白となりました。今年8月の高橋区長の急死と言う事態の中で、新区長選直前の9月29日、抗議の庁舎前集会&大井町デモを闘いました。中小企業センターを出発点に、区役所前〜区役所通り〜大井町〜ゼームス坂〜浅間台公園のコースでデモをくりひろげました。南部交流会集中闘争として59団体86名の仲間の結集で打ち抜きました。
その後、新区長に選出された浜野前助役の初登庁の日、争議解決を迫る庁舎前行動を展開し、就任式会場に移動する浜野区長にシュプレヒコールを浴びせました。
10・6全争議団闘争勝利総決起集会
10・24争団連統一行動を闘い抜く!
10月6日、争議団連絡会議主催の総決起集会を渋谷勤労福祉会館で開催、強風・豪雨の中、全都から多くの仲間が参加。新争議団(中部労組論創社、連帯ライフエード)
連帯挨拶(沖縄反基地闘争、共謀罪新設反対、労働法制改悪阻止、全国から北九州の争議団、等々)、基調報告や重要局面を迎えた争議団(大道、藤商会、4・28)からの決意表明が行われ、一人の解雇も許さない・全争議団闘争勝利への決意を固めました。
そして、10月24日には、朝から雨で今秋一番の寒さとなった悪天候をはね返し、早朝から大道測量闘争(藤後前社長自宅)、藤商会闘争(高田の馬場本社)、4・28連絡会(日本郵政株式会社前=南部集中闘争)を貫く争団連統一行動が闘われました。解雇撤回=職場奪還まであと少しのところまで押し上げてきている2つの争議、高裁勝利判決を踏まえ、最高裁決定が引き延ばされている中、民営化の拠点=持ち株会社、日本郵政に争議解決の決断を迫る大詰めの4・28反処分闘争を勝利の日まで闘う、という
声をそれぞれ力強く上げて打ち抜かれました。
10・20出労交職場交流会(=光文社労組&全学研労組)を開催
双葉社地下ホールで出版関連労組主催の交流会を開催。少数派組合として争議を闘い抜き、職場での闘いを展開してきている両労組の課題を共有化。2次会も盛会。
共謀罪を完全廃案にするまで闘おう!
安倍首相が教育基本法改悪と合わせて今臨時国会で成立をめざすと表明した共謀罪。10月3日、「さらば共謀罪」戦争と憲法破壊の道を打ち破ろう!との集会が星陵会館で開催されました。平岡・高山(民主)、保坂(社民)各議員の挨拶、鎌田慧氏・武者小路公秀氏の講演、日弁連その他の団体から改めて現代の治安維持法=共謀罪を完全廃案に追い込む必要性が訴えられました。
その後も、連日の国会前行動が展開され、10月22日には「都教委包囲・首都圏ネット」と「共同行動」の共催の教育基本法改悪と共謀罪に反対する新宿デモも250名の結集で行われました。
「共謀罪は成立を断念」との報道が流されていますが、早計で、いきなりの強行採決の可能性も指摘されています。廃案に追い込むまで闘おう。
小木曽義弘さんの死を悼む
10月14日、学研の小木曽さんが食道癌による大動脈出血で亡くなられました。全学研労組の中でも信頼される温かい人柄で、ふじせの毎年のデモにも参加してくださっていました。最近は、出労交の春のレクにも参加、20日の交流会でお会いするのを楽しみにしていたのに。10-17、18の葬儀には多数の人が参列。哀惜の念に堪えません。