学研の裁量労働制導入に異議あり!
   残業費支払い適正化、早くも取りやめ!

 
会社は、市販雑誌部門で12月1日より、裁量労働制導入を決めた模様です。7月1日から、これまでの「みなし残業手当」を廃止し、時間外・休日出勤手当を働いた時間に見合って支払うとしていたのですが、早くもこれを取りやめて裁量労働に移行することを決めたわけです。
 確かに、この7月からの通常の支給方式は「新労働時間制度への経過措置」と会社は発表していたので、会社側から見れば既定路線の通りと言いたいのでしょう。しかし、「みなし残業」制度の不利益を感じてきた学研労働者からは、新労働時間制度導入の会社の狙いが、新人事制度と合わせて、「社員一人ひとりが生き生きと働ける」とか「健康を守る」とかのうたい文句とはかけ離れたものであることが、一層明らかになったということでしかありません。
 7月1日からの通常の算定方式で時間外手当を算出したところ、前月6月の時間外労働より一人平均で約8時間、総額で5千万円近くの増加となったことに会社は大慌てした模様です。旧来の「みなし残業制度」の下で、いかに学研労働者の実労働時間に見合わない低い支払いで済まされてきたかということも明白になったわけですが、会社は始めたばかりのこの算定方式で支払うのは一刻も早くやめたい、ということなのでしょう。
第一四半期業績低迷で、労働者への犠牲のしわ寄せを図る学研経営
 検討も不十分な中、06年中は新労働時間制度導入は見合わせることにしていたはずの会社が12月から雑誌部門での裁量労働導入に踏み切ることにした背景は上記の算定結果と、第一四半期の業績の低迷にあります。学研は8月4日に06年度第一四半期の業績を発表しましたが、売上げは連結で昨年同期より27億円マイナスで、目標を大きく下回り、経営陣は焦りを深めている模様です。中間決算は、27億円の赤字と見込んでいるそうです。
労災・過労死等を招く裁量労働制度の拡大
 私たちは、これまでも(「パルス」05年10月号、11月号、06年3月号等参照)、学研の「みなし残業」廃止は、労働者のためではなく、裁量労働等の新制度導入への布石という経営の思惑によるものであることを指摘してきました。
 いま、会社が早期に移行実施を焦る裁量労働では、雑誌部門の場合、専門業務型裁量労働(出版業務での編集・取材等も含まれる)として「協定」(労働基準法38条の3)を結び、労働時間に関係なく、一定の賃金の支払いが行われることになります。実態は、サービス残業での只働きと時間規制のない過重労働で労災(過労・過労死等)に結びつく労働状況になる可能性が強いと言えるでしょう。残業をするのは大抵は時間内では仕事が片づかないからであって、それをあらかじめ決めた一律の賃金で行わせるのは、成果給導入等と相まって経営側の「賃金コスト」削減のためであり、相対的に低賃金で長時間労働を強いられて労働者が不利益を被るシステムでしかないのは明白です。
                    (以下の毎日新聞7/28記事参照)

過労死・自殺:労災認定者、労働時間「自ら管理」6割 
専門家、「規制外し」警鐘

                    2006.07.28 毎日新聞 東京朝刊 1頁 政治面  
 ◇東京労働局管内
 東京労働局管内の労働基準監督署が05年に過労死・過労自殺で労災認定された48人について調査した結果、11人が自ら労働時間を管理・監督する管理職だったことが分かった。他の一般労働者19人も上司の管理が及びにくい状況にあり、計6割以上が労働時間を自己管理する側だった。厚生労働省は一定条件下で労働時間の法規制を外し、自ら管理する「自律的労働時間制度」の導入を検討しているが、被害実態が明らかになったのは初めて。労働専門家は「制度を導入すれば過労死が激増する」と警告している。(社会面に関連記事)
 同労働局によると、死亡した11人は工場長、店長、本社の部長など勤務時間を自己管理する立場。一般労働者でも、営業職(10人)やシステムエンジニア(5人)、現場施工管理者(4人)で、上司よりも自分が労働時間を管理する側だった。
 同労働局は「時間管理を任されたり、上司の目の届かない所で納期に追われるなどの形で長時間労働を重ねるケースが目立つ」と分析する。
 労災認定を受けた全国の過労死は05年度157件(申請336件)、未遂を含む過労自殺は42件(同147件)で、申請数はそれぞれ過去最多を記録している。
 一方、「自律的労働時間制度」(日本版ホワイトカラーイグゼンプション)は、管理職一歩手前の「課長代理」程度の社員が対象。(1)賃金額が一定水準以上(2)週休2日相当の休日や連続休暇がある――などが条件で、対象者には週40時間の労働時間規制はなく、残業代なども支払われないという。忙しい時は24時間連続して働き、そうでない時は1時間しか働かないことも合法となる。
 この新制度は、労働基準法改正に向けた厚労相の諮問機関「労働政策審議会」で論議されているが、労・使委員が厚労省の審議会運営に反発し、審議は中断している。
 過労死に取り組む日本労働弁護団の弁護士、棗(なつめ)一郎事務局次長は「制度導入で時間管理を外される労働者が増えれば、過労死も激増するという事態を調査の数字は示している」と話している。【東海林智】

問題だらけの労働契約法制定・労働時間法制見直し
             の流れに悪乗りする学研経営

 
いま、政府・厚生労働省は、「労働契約法案」「労働時間法制の見直し」を労働政策審議会で検討し、07年の国会上程を目論んでいます。これも、「自律的に働く労働者」や「雇用形態の多様化」に対応した労働時間制度や雇用ルールを決めていく、という言い方で、労働時間規制を解除し、労働者を自由に使い捨てにしていく法制度を制定しようとするものです。「経団連」などは「ホワイトカラー・イグゼンプション」(管理職の手前の労働者への残業代適用除外)の導入に賛成の声を強めていますが、労働側委員は大反対をし、「就業規則の不利益変更」や「解雇の金銭解決制度」等とともに、審議会紛糾の焦点になっています。労働側委員をテーブルに着かせるために一部残業代の割増率アップなども厚労省は提案していましたが、紛糾による審議中止(7月〜8月末)を経て再開された9月11日の労働政策審議会では、この数値提案は消えて、新裁量労働制度導入等の労働者への攻撃的な性格が顕著になっています。
 学研経営の動きは、こうした多くの労働者・労働団体が反対の声を上げている労働契約法・労働時間法制改悪の動向をなぞったものです。学研および関連の労働者はこのような学研経営のやり方を許す手はありません。
夏の現場行動報告
7・24学研社前闘争
社長はじめ、役員9名に団交要求を浴びせ、追及
 株主総会闘争を踏まえ、7月24日に社長・役員追及行動を展開しました。
 7時20分に社前に登場、旗・横断幕を鉄柵に据え、地域そして全都の仲間も結集してくる中、遠藤社長の到着を待つ。いつもよりやや送れて、7時50分頃、環七通り方面から来ているはずの遠藤社長の乗った車が、社屋裏手を回って2ビル方向から来ました。車は、入構口に立つ我々の前でいったん停止、周囲からシュプレヒを浴びせました。すぐに車は左にハンドルを切って構内に入り玄関ロビー前で停止、降りて玄関内に向かう遠藤社長の背中にさらに「争議を解決しろ」「団交に応じろ」等のシュプレヒ。エレベーターホールに姿が見える間、抗議の声を浴びせました。
 この後、株主総会の詳報を掲載した社前朝ビラ配布の態勢を取りつつ、出社役員追及へ。総会後、昇任した安田、富樫専務をはじめ、太田、中森、小野寺(常務)、小林の各取締役、大谷・本間の両監査役に抗議、ガードマンに守られて構内に逃げ込む経営陣に肉薄し団交要求行動を浴びせる。この日は、これまで最高の9名の役員を正面口と長原口で次々と追及しました。安田専務や小林取締役は肘で押してくる、身体を浴びせてくるなど、敵愾心を露わにする場面もありましたが、何も言えず逃げ込んでいきました。

  7・24小雨の中、富樫専務(眼鏡・スーツ姿)を追及

監査役らは、中央青山監査法人との関係追及に答えられずに逃亡!
 カネボウの粉飾決算に関与して金融庁からも処分を受けている中央青山監査法人との関係をどうするのか、株主総会で追及してきましたが、私たちの質問書提出と追及に慌て、総会終了後その日のうちに監査役会を開いた(らしい)学研は、同日付けの「7,8月の一時監査人選任を検討中」とのコメントを後日になってネット配信しました。「企業買収への防衛策」など学研に切迫してもいない議題を設定する前に、この問題への対処方針を示すべきだったし、また、問題は企業と監査人の癒着が生じる現行監査システムです。この日の社前行動で大谷監査役に「監査法人はどうなったのか」と(株主の一人として)問い質しても、彼はうつむいて無言で社内に逃げ込んでいくだけでした。
 9時過ぎから社前はりつき・マイク情宣に移り、10時前まで行動を打ち抜きました。
夏季のイベント闘争で学研を糾弾!
7・8東京国際ブックフェア、出版四争議団でビラを配布
 
7月8日、東京ビッグサイトで行われた東京国際ブックフェアに対し、出展している学研を糾弾するビラ配布を今年も行いました。国際展示場正門駅前で、午後1時からの行動。今年は教育社労組、洋書センター労組、山田書院労組と共に、2400枚のビラを用意し、1時間半にわたってイベント参加者に情宣。マイクでのアピールも行いました。22名の仲間が結集してくれ、ビラは完全に撒ききって、最後にシュプレヒコールを広大な広場に轟かせて終了しました。学研の争議を抱えた実態が広く知られるところとなっています。 


8・4教育工学研修セミナー 
御成門中学で情宣

 学研の作っている別組織=財団法人才能開発教育研究財団、教育工学研究協議会が主催する小中学校教員を対象にした夏季のイベントへの情宣・抗議行動を8月4日に行いました。今年の会場は、きゅりあんから港区立御成門中学に。イベント参加者は相変わらず少ない感じでした。
 冒頭で文部科学省初等・中等教育局の主任視学官、学力調査室室長の二人が講演。その直前にかけての1時間の情宣行動。通行人を含む100人程にビラを配布、マイクで抗議の声を上げました。
7・27インデックスへ申し入れ
 古岡奨学会に次ぎ学研の4・7%の株を保有する第2位の大株主である(株)インデックスに対し、4回目の申し入れを行いました。新たな窓口になった管理本部法務部長との間で「解決が望ましい」との同社の立場を改めて確認しました。株主総会での学研の居直り答弁、ふじせの争議行為への対決を打ち出した学研経営の動きとをリンクしているかのような総会後の自称ヤクザ(元学研暴力職制の名を語っていた)の嫌がらせ電話には、インデックスも「ゆゆしきこと」との感想をもらしていました。
共闘報告
7・28南部集中闘争 大崎局ー向島局前行動を78名で打ち抜く!
 4・28不当処分から27年、全逓本部の闘争切り捨てからも15年、反処分闘争は一昨年6月の高裁逆転勝利判決をかち取り、現場闘争で力強く前進しています。
 7月28日、被免職者の当該局である二つの局に団交を要求、争議解決を迫った。 
9・8南部交流会学習会 労働契約法と職場闘争の交錯
労働法連絡会から全石油昭和シェル労組の仲間に講師をお願いし、シェルの職場闘争
を踏まえた労働契約法制定攻撃への視角を鋭く提起してもらい、南部の各職場からの報告を含め、討論しました。
9・11出労交学習会「教科書問題のいま」を開催
出版関連労組交流会議の学習会。教育出版労組の仲間を講師に、教科書制作の現場から、検定制度や教育基本法改悪等を撃つ生々しい報告・提起を受け、活発な討論も行われました。
8・4労働契約法反対銀座デモ  数寄屋橋を経て日比谷公園までデモを展開
9・29南部集中闘争=品川臨職31周年集会・デモへ 庁舎前18時
9・15全都反弾圧集会・デモ 約150名で打ち抜く。
10・3共謀罪反対集会  現代の治安維持法を葬れ 星陵会館(18:00〜)