6・29株主総会、会場内外で
 学研経営の責任を追及し抗議!

マイクの電源を切って質問妨害するなど、悪質な総会運営と不誠実回答

 6月29日、学研の第60回定時株主総会が不動前の第3ビルで行われました。私たちは、会場前で連帯・共闘してくれた仲間と株主・学研労働者の皆さんへビラ配布・マイク情宣を行うと共に、会場の中で質問権を行使して、ふじせ争議の件をはじめ多岐に渡って学研経営の責任を質しました。
会社側は特にふじせ争議についての質問には、都合が悪くなると、発言者のマイクの電源を切るなど、悪質な総会運営を行い、まともな回答をいようとしませんでした。
 今回も質疑応答を一挙掲載します。(役員の敬称は略、ゴチック部は当労組コメント)

 10時から始まった総会は、はじめに遠藤社長の開会の辞があり、議決権行使可能の株主数、議決権の総数と総会での行使数、などの報告が型どおりに行われました。
 この後、監査役会からの報告として大谷監査役が報告。監査報告書謄本を示すなどして法令違反がないとの説明の後、会計監査人についての説明をしたい、と切り出しました。金融庁から中央青山監査法人への業務停止処分が出されたが、それは平成18年7月1日から2ヶ月なので、当監査報告は適法に為された監査報告である、その2ヶ月間につき一時監査人を依頼する予定、どの監査法人にするかは未定で協議中、8月末までに選任できない場合は中央青山を一時監査人にすることも選択肢の一つ、中央青山監査法人の業務改革、信頼回復状況を見て、次期株主総会で改めてどの監査法人にするか株主の皆さんにお諮りする、との説明がありました。
 遠藤社長からも、「取締役会としても中央青山監査法人の業務停止問題につき鋭意検討し、その進捗状況を株主にお伝えする」として理解を求める発言が行われました。
    後の所で、ふじせ労組関係者からこの件で質問がされていますが、私たちが事前の書面での
    質問書にも記 載した(「パルス6月29日号参照」)ので、慌てて総会冒頭で触れているもので
    す。本来は、本総会で議案に付して「株主の皆さんにお諮り」しなければいけない重要事項で
    す。

 この後、報告事項に移り、連結と単体の営業報告書、貸借対照表、損益計算書がディスプレイ表示と合わせてアナウンスによって読み上げられました。
 続いて、総会議案につき遠藤社長が説明、1号議案として第60期の利益処分案承認の件、第2号議案として会社法施行に伴う定款変更について、3号議案として取締役および監査役に対する退職慰労金制度廃止に伴う打切り支給の件について、第4号議案として取締役の報酬額改定の件について、第5号議案として大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)導入の件について、議案の要旨を読み上げました。

1、書面での質問への回答
 続いて書面による質問への回答を富樫常務が読み上げて行いました。以下、回答。
<中期経営計画を修正した理由について>
 昨年4月に公表した3カ年の中期経営計画の策定後、学研クレジットの株式売却や不採算事業・子会社の構造改革および整理を実施したこと、また昨今のデジタルメディアの浸透等、出版界の環境の著しい変化に鑑み中期経営計画を修正することにした。なお計画の期間を2年としたのは、市場環境の変化が早くなってきており従来のように3年先までの予測をするには不確定要素が多いので、株主・投資家の皆様により確度の高い数字を示すために期間を短縮したもの。
    不測の事態により、中期経営計画を内容面で修正せざるを得なかったこと、3年先など見通
    せないから、これからは2年計画にすること、を述べています。学研クレジット株売却につい
    ての後の答弁が本当なら売却を計画の中に織り込むことができたのではないか、と矛盾を
    感じます。そんな計画性はなかったということでしょう。環境変化が早くなっているのは事実
    ですが、2年計画とは、学研経営の視界不良と混迷がうかがえます。

<第62期における売上と利益の見込みについて>
 第61期との比較では売上高、利益とも、市販事業、クロスメディアコンテンツ事業、通販事業で増額を見込んでいる。また営業利益面では、直販事業におけるコスト削減効果による利益改善、市販事業、クロスメディアコンテンツ事業における利益増を見込む。
    それが、62期にV字回復を果たすほど、確実で大きな利益を生むとは思えないので質問し
    たのですが、はっきりとした根拠は示されませんでした。

<直販部門の売上低迷が続いている理由について>
 従前からの家庭訪問販売事業の低迷に加え、当期は招集通知の3頁に記載のとおり、幼稚園・保育園事業の不振が減収の大きな要因になった。また学校用教材・教具の備品類の販売については将来的に成長性が見込めないため事業規模を縮小したため、売上が減少した。
<家庭訪問販売事業の2年以内の赤字解消は可能か>
 当期は売上高は前年期より減少したものの、事業構造の改革による販売経費の削減、教材固定費の圧縮により、営業損益面では大幅な改善となっており、2年以内の赤字解消は十分に達成可能と考えている。
<クロスメディアコンテンツ事業について>
 ブロードバンドや携帯電話の普及、ネット広告市場の拡大などの環境変化に対応して、当社が出版社として創造する豊富なコンテンツをインターネットや携帯端末を通じて配信していこうというもの。収益源としては当初はネット広告、Eコマース、コンテンツへの課金などを想定している。
    後の質疑・応答を参照
<五反田の新社屋について>
 本年9月に着工の準備を進めており、順調に進行すれば平成20年の5月か6月に竣工の予定。総工費としては70〜80億円ほどを見込んでおり、そのための資金調達を目的として取引銀行3行との間で総額50億円のコミットメントライン契約を締結している。近隣の皆様には既に説明会を実施した。なお、ニュークリエイティブプランや移転に伴う人員合理化は考えていない。
<学研クレジットの株式を売却した理由などについて>
 学研クレジットは当社グループへの収益依存度が営業収益ベースで7%まで低下していながら、グループ全体の有利子負債の97%、674億円を占めている。消費者金融業界の再編および競争激化やクレジットカードとの競合による業績の伸び悩みなど、個人割賦を中心とする事業は厳しさを増している。このような経営リスクを考慮し、本業での経営資源の集中を図るため、さらには学研クレジットにとっても大和証券グループであるNIF傘下での事業拡大が見込まれることから株式の売却を決定した。現在、学研クレジットはNIFとの間で当初の目論見を着実に実行しつつあると聞いている。学研クレジットの株式売却に伴い、連結では特別損失として株式売却損が計上され、単体では特別利益として株式売却益が計上されているが、これは売却価格1株372円に対し、学研クレジットの1株当たり純資産額が511円でしたので、その差額が連結では損失計上され、単体では当社の取得価格229円97銭と売却価格372円との差額が利益計上されたため。なお学研クレジットがグループで唯一の黒字子会社だったとの指摘は、当社の子会社の多くは黒字経営を行っているので、誤りである。
    「NIFの信用力やネットワークを有効活用する」としているが、具体的にそのような関係が築か
    れているのか、との私たちの書面質問には全く回答していません。そのような関係ではないの
    でしょう。唯一の黒字子会社というのは過去の話なのでしょうか?ココファンなど新子会社も
    含め、数字を示してもらいたいものです。

<市販部門の営業利益の低迷について>
 書籍分野においては学習参考書や児童書を中心に売上、利益共に堅調に推移した。しかしながら、雑誌分野においてはポテトやゲットナビなど健闘した雑誌はあるものの市場環境が変化する中で売上、利益共に計画を大きく割ることになり、このことが全社の事業計画を狂わせる大きな要因の一つとなった。まことに申し訳なく思っている。商品戦略、営業戦略それに広告戦略を見直すとともにネットを始めとする様々なメディアを駆使してトータルでの事業戦略を構築し、売上と利益のアップを図っていきたいと考えている。
<買収防衛策を導入した背景について>
 この買収防衛策を導入するに当たり、具体的に買収提案を受けるなどの切迫した状況はなく、現在想定している買収者は特にない。
<学研GICへの引き当て及びその責任について>
 第55期より引き当てを行っており、これまで引き当てた金額の累計はおよそ52億円。今後の引き当て見込みについては当期中に引き当て済みですので追加引き当ての必要はないものと判断している。なお同社の業績低迷は、役務付き商品販売のキャンセルの増加や個人情報保護法による営業効率の低下などによるものであり、特定の個人が責任を問われるべきものではないと考えている。
    学研GICについては質疑・応答を参照
<業績予想の再三にわたる下方修正の原因について>
 主要な原因は学研クレジットの株式売却による売却損益の発生と連結売上高・利益面への影響、学研GICに対する関係会社整理引き当て損、直販ならびに市販における売上不振などによるもの。まことに申し訳ございません。
<業績が単体でも悪化しているのではないか、とのお尋ねについて>
 単体結果は売上高は前年に比べ約39億円減少していますが、営業利益は昨年に比べ2億円増額となっており、業績は悪化していない。
<売掛金と在庫の比率が高いのではないかとのお尋ねについて>
 売掛金の残高については事業の特性上、2月、3月に売上が集中するため、1年間を通して3月が一番大きくなっている。資金の回収は翌月の第1四半期になるが、資金繰りについては特に問題となっていない。製品・商品の残高については第59期末の116億円に対し、第60期末は119億円となっており、2億2千万円増加した。在庫が増加した原因としては、2月を中心として出荷していた新学期用書籍を従来より早期化したことにより、返本の受け入れも早期化したためと考えられる。なお、在庫となっている新学期用書籍については来期再度出荷する。
     60期においても特に市販部門で返本・返品増が売上・利益の低下・再度の下方修正の原
     因になったわけですから、資金繰りはさておき、比率の高さは問題です。

<無形固定資産の中のソフトウエアについて>
 現在導入作業を進めている新しい基幹情報システム約11億円などが主なもの。
<投資有価証券について>
 銀行、印刷会社、製紙会社などの株式が主なもの。具体的な銘柄、株数、金額などは取引先との関係もあるのでご容赦を。
<関係会社長期貸付金の内訳について>
 主要なものとして学研GICに対し37億4千2百万円、学研ココファンに対し4億4千5百万円、学研エリオンに対し3億7千百万円など。
<貸し倒れ引当金の内訳について>
 一般債権にかかわるものが1億3千4百万円、個別貸し倒れ引当金が44億5千7百万円、となっている。
<退職慰労金を撤廃した経緯について>
 昨年の株主総会でも廃止する方向で検討をおこなっていることは説明した。この基本方針に従い、このたび廃止したもの。なお退職慰労金に変わるものとして株式報酬型ストックオプションを導入することにしており、これにより株主の皆様との利害の共有を図っていく。
<退職慰労金の打ち切り支給額について>
 役員の退職慰労金に関する内規に従い、これまで役員退職慰労引当金として積み立ててきた金額ついて、各役員の退任時に支給を行うもので、具体的な支給金額は当該役員の退任時に取締役会、監査役の協議で決定することとしている。従って支給金額は現時点では未確定だが、打ち切り支給の対象となる役員16名に対する支給総額はおよそ1億4千万円になる予定。ただし一人ひとりの金額については個人的な問題となるので、現在のところ開示する考えはない。
<取締役の報酬金額について>
 招集通知44頁記載のとおり。株式報酬型ストックオプションを含め、取締役報酬額を事業年度あたり4億8千万円以内とすることを提案している。業績連動型報酬および株式報酬型ストックオプションの導入により、支給金額が月によって変動することを考慮した結果、年間の報酬総額の上限は変わりありませんが従来は月額4千万円以内となっていたのを、このように年額4億8千万円以内とした。ちなみにこれまでは月額4千万円以内の取締役報酬とは別に、制度上、役員賞と退職慰労金がありましたが、改訂後の制度では、これらに相当するものすべて含めた上で報酬額の上限を年額4億8千万円とする。これを勘案すると、全体で報酬の額は今までより減少することになる。一人ひとりの金額については個人的な問題となりますので、現在のところ開示する考えはない。
      後の質疑・応答を参照。
<新人事制度の狙いについて>
 新しい制度のめざすところは第一に社員一人一人が生き生きと働ける会社にすること、第2に期待された仕事を成し遂げた人に報いる制度にすること、この目標を実現するため、本年6月1日付けで社内に人事制度改革プロジェクトを設置し改革に着手している。 
      生き生きと働ける会社にする、とのうたい文句とは相反するのが実態のようです。質疑・応
      答参照。

<東京ふじせ企画労組との紛争を解決すべきではないかとのお尋ねについて>
 この団体は当社の一部の編集部が約30年前に編集制作業務を委託していた編集プロダクションのさらに子会社の社員が結成した組合である。この団体は構成員が所属している会社の経営破綻に当たり、当社が使用者であるので団体交渉に応じろという根拠のない見解に基づいて長年にわたり当社に対して団体交渉を要求してきた。しかし、このような見解は東京都地方労働委員会、中央労働委員会、東京地裁、東京高裁、最高裁と、法制度上考えられるすべての行政機関と司法機関でことごとく退けられており、当社がこの団体の構成員の使用者ではなく、団体交渉に応じる必要はないとの判断が確定している。以上のとおりなので、毎年くりかえし説明しているとおり、当社と東京ふじせ企画労働組合との間には労働争議など存在せず、当社はこの団体との団体交渉などに応じるつもりは全くない。当社の株主であられる株式会社インデックス様が、「問題解決を望む」と述べたとのご指摘については昨年の株主総会で質問を受けた際に、そのような認識はないとお答えしましたが、念のため同社に確認したところ、「そのような事実は全くない」とのことでした。なお、このような次第であるにもかかわらず、東京ふじせ企画労働組合は、当社の実態をことさらに歪曲し、誤解を助長するような記事を書きたて、ビラの配布やホームページにより公表するばかりでなく、当社の取引先やイベント会場に押し掛けて、当社に対する悪宣伝をくり返す、といったことを長年にわたり執拗に続けておりますが、これらの行為は当社の名誉・信用を毀損し、業績を妨害するものに他なりません。従って当社では企業価値を守るため、この団体の民事および刑事の責任を含むあらゆる責任を追及すべく準備を進めている。
      「民事・刑事・その他の責任追及を準備」と不当極まりない表明を学研経営は口にしまし
      た。そして、後日、組合事務所にヤクザを名乗る男から嫌がらせ電話がありました。「俺
      は○○だ、横浜の広域暴力団だ。ビラに俺がいた時の昔の♀w研の暴力の写真など
      載せやがって、俺が写っている。金を出せ、指を詰めろ、命も危ないと思え」等を口にして
      いました。○○本人かどうかは定かではありませんが、現在も学研の役員の中には、暴
      力労政をほしいままにしたT元人事部長とつながっている者もいるとか。○○は、学研に
      在籍中、全学研労組副委員長に重傷を負わせるなどした「学研を守る会」の暴力職制で
      した。万が一、学研が、こんな手段を使ってまで、ふじせ闘争を圧殺しようとしているのな
      ら、ほんとうに許し難いことです。

       73年に結成された全学研労組を潰そうと、学研経営は解雇・配転・賃金差別、そして
      職場での暴力的労務政策をくり返し、その一環として労組員から取り上げた仕事を、下
      請の「ふじせ企画」に回し「スト対策」と称していました。
       一方、劣悪な労働条件を押しつけられた私たちは、その下請編集プロダクションで労組
      を結成しました(下請会社は学研の仕事を請け負うだけのトンネル会社=ふじせ企画と
      実際の業務をこなす東京ふじせ企画に二重化されていた)。
       学研がこの組合を潰す目的で下請会社を倒産させ、35名の労働者(「科学」、「学習」、
      「マイコーチ」、等の学研の編集業務を行っていた)を解雇状態に至らしめた争議責任は
      明確です。それは上記「使用者性」判断を越えるものであり、その部分の訴訟が確定し
      たからといって、争議がなくなるわけではありません。現にあらゆる場で争議状態が続い
      ています。また、裁判結果についても、私たちは、最高裁判例「朝日放送事件」(下請会
      社労働者への使用者性認定)に反する不当な判断については批判を表明しています。
      また、学研の使用者責任を明確に認定した別の判決(85年損害賠償訴訟判決)も存在
      しています。
       インデックスの態度表明に関しては、会社の説明は全く事実に反しています。後の質
      疑・応答を参照。
      

2、会場内での質疑・応答
株主A 3代目の沢田社長、4代目の小松社長を引き継ぎまして、厳しい中で新社屋建設のメドを付けたことを大変評価しています。しかし、株主総会は年に1度のガス抜きの場ではないわけで、株主が集って会社のために議論をする場であり、今回は60期という記念すべき総会の場でありますので、意義のある総会だということを冒頭に申し上げまして質問に入ります。
 1問目は、会社は誰のものであるか、ということについてお聞きしたいと思います。それに関連して会社と株主の関係をどういうふうに社長ご自身が考えてい
    るか、についてお聞きします。
遠藤  上場企業である以上、会社は株主のものであり、企業価値の向上を・・(風邪声と、もご    もご調で言葉が不明瞭)・・株主に応えるもの・・・と認識しています。
株主A 2つ目の質問です。私のところにこういう文書が入ってまいりました。これは秘書室のMさんというのでしょうか。その署名入りで、2月14日付けの文書について、真相をお聞きしたいというふうに思います。最初に私の感想を言いますと、2月13日に東証に対して数字の発表をしています。それを基にこの文書が出来ていますので、敢えて内容から言いましてインサイダー情報に触れるとかいうものではないという面もあるかと思いますが、上場会社としての道義的責任、脇の甘さ、対応のまずさというものがあるのではないかなと感じているわけです。何故かと言えば、私が直接いただいたわけではないんです、あるところに流れているものを私にいただいたものなのです。ここに文書持っております。たとえば、東証で発表した以外にKEC株の売却の経緯が大変詳しく説明されています。またKEC株を改めて長期に保有する考えでいます、・・・と。この・・・の先には何を会社としてしようとしているのか、というようなこともあるわけです。また、ご丁寧に最後にまことに僭越でございますが、部長会の話ですのでお取り扱いについてはご留意ください、というような念押しも文面の中に入っております。学研の幹部社員のみに知らされた内部資料、取り扱いにご留意くださいというのがこの2枚の文面には入っているのです。私はこれを見まして、これは株主以外の方に出しているとこれは考えているわけですが、中には株主の方もいると思います。私も株主ですけど私のところには来てないわけです。こういうものが何故発生したのか、その真意を社長にお聞きしたい。

木村  ご質問の書簡の中身につきましては、私まだ全く見ておりませんので、内容については把握しかねますがただいまご指摘のありました学研クレジットの株式を当社が保有する目的であるとの表明が問題であるとのご発言であるとすれば、これは学研クレジットの株式を当社が売却した直後だったと思いますが、学研クレジットがその旨をリリースしておりますので、それは既に公表済みの内容であると考えています。
株主A  関連質問ですが、秘書室長ですか、このMさんという方は?
遠藤   そうです。
株主A  担当役員が木村取締役ですね。これだけの文書を出すのに担当役員の木村氏が全然知らない、ということが私は脇の甘さというか、上場会社としての厳しさ・     ・・・
遠藤   私の方からご返事いたします。その資料はあくまで内部資料で、どういう経緯で流れたのかは正確には把握しておりませんので、脇の甘さというのは、どういうことなのか事実を認識しておりません。それはどういう経緯で入手されたのですか?
株主A 私の仲間のマスコミ関係者から、「秘書室長の署名入りでこういう文書が流れていますよ。これはNさん、どういうことなんでしょうか」という話があり、私は初めてこの文書を見まして唖然としたわけです。
遠藤  どういう経緯でそれが流れたのか、こちらは把握しておりませんので、お答えしかねるのですが、これはあくまで内部資料でございまして、そのようにご理解いただきたいと思います。 
株主A わかりました。敢えてもう一度だけ念押しをしておきます。これだけの文書を、数字を含めて流すのに、一秘書室長ということで流れるようでは、これから、いろいろのことに対応していく上で、私は大変問題がある、ということを申し上げておきます。
株主B まず最初に、ニュークリエイティブプラン06−07につき、先ほどご説明いただきましたけれど、これを聞いても、遠藤社長以下の経営陣が本当に学研を改革していく気があるのかどうか非常に疑問に感じてしまうわけです。このクロスメディアコンテンツ事業への積極投資ということをいってきて、それはどういう内容なのかという質問書をお送りしたんですが、先ほどの回答というのは、豊富なコンテンツ、これは学研のコンテンツが豊富であるかどうかは別として、これから豊富化できるかということは別として、それを配信していくんだ、あるいはネット広告とか、あるいはホームページで課金をしていくというふうなことが、あったのですが、こういうこと自体は、これから学研らしさとか学研の特徴を出していく内容としては中身が伝わってこない、と思うわけです。クロスメディアということは、クロスメディアパブリッシングという名前の会社ができたりとか、大分前から言われているわけです。問題はその内容だと思うんですが、未だその中身がない、どういうものをコンテンツとして具体的に考えているのか、と・・
遠藤  (さえぎって)、じゃあお答えします。まず、冒頭に本気で改革する気があるのか、そう思われないということに関しては、本気でやるというのは当然で(苦笑)、質問と思えないのですが、お答えしておきます。それからどういうコンテンツを配信するのかということは、学研はいろいろなコンテンツを創造する会社でございます。これは、従来は紙というものをベースに出版社としてやってきたものですが、これからはネットという時代が到来するに当たって、コンテンツを配信していく、メディアというものは紙だけではない、インターネットとか、あらゆるメディアというものを通じて、世の中の市場、お客様に配信していくということでございます。何を配信するのか、と言いますと学研が創造しうるあらゆるコンテンツをそういう方向へ向けて、準備を進めています。具体的には、5月から実験配信しています。クロスメディアは昔から言われていたことで、いまさら何が新しいのか、ということについては全く見解の相違でございます。まだ出版社が、コンテンツを主体とした配信を立ち上げていくのは紙との相乗効果を狙ったものですが、これは全く新たな試みだと理解しております
株主B 学研が今になってこういうことを言っている、ということは、出版とITの融合というようなことはいろんなところで言われているわけですが、市販雑誌が低迷して広告なんかが取れなくなってきたり・・・
遠藤  (例によってふじせメンバーには発言を遮って)質問の内容は何ですか
株主B そういう中で、初めてこういうふうなことが言われているのかなあ、と思ったんですが
遠藤  質問を(と遮る)
株主B ですから、(学研のは)そういう程度のものではないかと思ったわけです 
遠藤  それは見解の相違ということで
       クロスメディアが未だこれからというのは異議ありませんが、学研がその中でどういう位
       置にあり(争議を抱えた学研のような旧い体質の出版社は解体される可能性が高い)、
       どう展開していくのかは、遠藤社長らの中に何の構想もないのでしょうか。

株主B では、次の質問に。新社屋の五反田移転について、先ほど一部回答があったのですが、移転費用については7〜80億円という説明がされました。しかし、こうしたことについてさえ、先日行われた移転工事の説明会では明らかにされなかったんです。私たちは、今度学研が移転してくる西五反田2丁目に20年以上前か ら事務所を構えています。東京ふじせ企画労働組合の事務所ですね。移転してくることは大歓迎ですが、・・・
遠藤  質問を(と執拗に妨害)
株主B 質問と意見を両方言いますから、最後まで聞いてください。私たちだけは絶対意見を言わせないというやり方は、遠藤さん、やめてくださいね。その移転費用の質問の際に、移転工事が途中で中断してしまっているなどということが、都心でもいっぱいある、と。地元の人たちもこういうことは関心があるので答えてください、と聞いたのですが、説明がされなかった。明らかにできない、との答えで、清水建設と両方に聞いたのですが、清水建設も学研が費用を払えるかどうかについて「学研さんを信じている」との答えのみで費用について答えなかった。それから、日照が奪われる、という質問にも「商業地だから仕方ない」とかの問題ある回答や、土曜日は休みだから朝ゆっくり休みたいので工事開始時間を1時間遅らせてもらえないか、という要望があったのですが、これにも応えられない、という不誠実な対応がこの説明会であった、ということで、先ほど書面回答で地域の方にきちんと対応を行っている、と言っていましたが、本当に充分な対応をしているのかをお聞きしたい。
遠藤  質問の趣旨はどういうことですか?
株主B ですから、充分な説明をしているのか、ということと、テナントを入れない細長いビルを建てるなど、新しいことも分かりました。24階建ての細長いビルということですけれど、将来の売却等を考えてそういうことにしたのか、ということもお聞きしたい。
岡本  近隣説明会は、4月27、28、29の4回、学研のこういう物を建てるという話を皆さんにしており、話に出ましたように地下3階、地上24階の建物になります。細長くした理由は、やはり日照の問題で光が早く通り過ぎるようにということ、そして公開空地というのを、たとえば歩道を設置するとか広場を設置するとか、緑地化するとか地域に貢献するためになるべくそういうものを提供しました。それから保育所を設け、認可されるかどうかありますが、つくる前から品川区から応援をされています。地域住民の方には一定の評価を得られると思っています。
      私たちもまさに近隣の者です。隣人として評価しがたい対応でした。
先ほどありました値段の件ですけど、近隣住民の説明会で株主さんの説明会ではないので、金額までいう必要はないという判断でそうしたものです。今日、明らかにいたしました。光の問題、電波障害、これから近隣にご迷惑をかけることがあるかと思いますが、それは知りません、関係ありませんなどということはやっておりません。何かあったら清水建設さんに言っていただき、我々も共に誠意をもって対応しております。
      表面的にはそうですが、日照の問題への回答など、ひどいものだったことは、「パルス」5
      月号に掲載しました。

株主B 東京ふじせ企画労働組合との労働争議について、ということで、これについては合が、先ほど全く根拠のない団体交渉を会社に求めている、との回答でした。その中でインデックスも、「問題解決を望んでいる」というような発言は全くしていない、という確認を取ったという答えでしたね。また、私たちの行動が違法・不当なものなので、刑事上・民事上の責任追及も考えているという回答でしたけれど、非常に問題だと思いますので質問も含めて言っていきたい、と思います。
  法律上の争いについては株主総会でも何回も紹介していますけれど、これについて詳しくやりとりする機会というのは、私たちと学研でちゃんと話し合って、判決と事実はどこが合っていてどこが違うのかということを明らかにしていかなければいけないのだと思っていますけれど、これは今総会の中でこれ以上、くりかえしません。
  ただ、学研がふじせ企画で労働者がつくった組合を潰すために業務を引き上げて会社を倒産させた、というのは間違いのない事実なんです。これに基づいて、私たちはこのことの解決を要求しています。それについて、インデックスへの申し入れを行う中で、インデックスの管理局長が、「問題解決が望ましい」ということを、「争議というかどうか別として」と学研をおもんばかって一応、第三者の立場から言ったわけですけれど、昨年の総会でのやりとりを踏まえて改めてインデックスに申し入れをしたときに「そういうことはない」という遠藤議長の回答については、私たちは確認を求めましたが、彼は、「いやこれはインデックスが言ったことです」ということで私たちは確認しています。その後、担当者が変わって、新しい方とこれから話し合いを行うことになっているのですけれど、学研がどなたと確認を取ったのか分かりませんが、インデックスが解決について、そのような言及をしていない、ということは間違いである、ということを指摘しておきます。その上で、昨年の株主総会でも一般の株主からもふじせ争議に関わる提案がされて、やはり、学研にとってふじせの問題は無関係どころか、解決するということが学研の未来を大きく左右する重要な問題だということで、株主の皆さんも心配して、そういう中からこういう声が挙がったということ、それから学研の社内でも全学研労組が本日の質問に入れていますけれど、ふじせ争議の解決ということを求めている、と・・・
遠藤  ご質問は?
株主B 学研としては、第三者機関で使用者としての団交応諾義務がないと確定したからといって、下請けの会社を倒産させた時には、現に争議になっているわけです。 争議はないという言い方を先ほどされましたが、それは違うでしょう?
遠藤  ふじせの件は先ほど、文書でお答えしたとおり。今言われていることは、先ほど言ったとおり根拠のないご意見ということで考えております。
株主B そうするとこうして株主総会で質問することも違法・不当なことだということになるわけですか?
遠藤  ご質問としてお受けし、それに対してお答えしているということです。
株主B 民事・刑事上の責任を追及すると言っている。
遠藤  先ほどお答えしたとおりでございます。
株主B 実際、あなた遠藤社長自身が自宅に監視カメラを4台も付けて、毎日、早朝出社を行う、というようなことをくり返しているじゃないですか。私たちの前から逃げ回って、土日は帰宅を遅くして外出し、他の役員たちも逃げ回っている、ということ自体が、争議が存在している、ということなんじゃないですか?そういう現状を・・
遠藤 発言をおやめください。(と妨害)
株主B そういう現状を誰もが認めているのに、・・・
        ここで会社側は、ワイヤレスマイクの電源を切断。株主Bは地声で発言。「会社はせこ
        いことやめろ」と会場から抗議の声。

株主B 争議の存在さえ認めようとしない、というのはおかしいと思うんですよ。
遠藤  お座りください。
株主B 私たちと話し合う、ということが何故できないんですか?
        「それじゃ問題解決できないぞ」と会場から抗議の声
遠藤  お座りください。
        私服のガードマンと社員株主か、株主Bの周りに集まり、座らせようとし、マイクも取り
        上げようとする。抗議の声も混じり会場内、騒然。

株主B (地声で)、大体、あなたたち、そこにいる役員は、争議が起きた時のことを知らないでしょう。94年に大橋監査役が、学研のやったことについて自分の責任に基づいて、争議を解決したいと言ったことについて、どう考えているのですか あなた方は何も知らないんじゃないですか?
        「マイクを渡してください」と私服の男たちが取り囲む。
        「マイクのスイッチ切っては駄目だろ」と会場から抗議の声。
何も答えられないくせに。本当に自信があるなら私たちの前に出てきてちゃんと話し合いをすればいいじゃないですか。
遠藤  書面で回答したとおりです。
        「ちゃんと答えなさいよ」と会場から抗議の声。
遠藤  それ以上続けると退場させますよ。
株主B 学研の今の経営に影響が出てるじゃないですか、争議を抱えていることで。
話し合いなさいよ。
遠藤  どうぞ、他の方、ご質問を。
株主C 議事進行で、先ほどの取締役の方からの文書回答について、きちんと質問をしているんだから、それについて会社は受け止めるべきだと思います。
一つ目の質問ですが、企業買収対策について、企業価値の防衛ということで説明されていたとおもうんですけど、切迫した事態があるわけじゃない、しかしながら、これをやるというのであれば、企業価値の防衛といった場合に今の学研の大株主の筆頭に古岡奨学会という形で今日の資料の中にも出ていますけど、先ほど質問出ていたふじせ争議というのは、古岡一族の下でひきおこされたわけですよ。その意味では、一族の専制、そういうことを変えていくということが企業価値を向上させていくということになるんじゃないですか?それがまず、一つです。
遠藤  質問はどういうことですか?
株主C このままの状態で、一族の支配が続くようでいいんですか
木村  ただいまの質問、古岡一族の支配が続いている、という趣旨の発言ですが、にわかにどういうことをおっしゃっているか分かりませんが、古岡奨学会という団体は、当社の創業者の故古岡秀人氏の資産をもって、母子家庭の進学を支援する財団法人というふうに認識しております。それが何故に、一族支配というふうにおっしゃられるのか、理解に苦しみますが、いずれにしても当財団が経営をしてるわけではございませんので、そのような発言は全く当たらない、と考えています。
株主C
 そういう言い方されるかも知れないと思いましたが、争議との関係でもそういうふうに思っています。
       古岡奨学会の会長は古岡滉氏であり、一族専制の残滓を会社が払拭していないことは
       明らか。目的にも筆頭株主団体の長を会社は変えるべきです。

2点目ですが、GICの関係ですけど、今日の説明によると役務付き商品の販売を一部中止した、というのは、これは教室については閉鎖をしたということでいいんですよね。教材については残っている、ということで。
中森  役務付き商品の販売については中止しました。その後、すべての商品の販売を中止しております。ただし、まだ生徒さんが残っておりますので教室は続けております。そのうちに閉鎖する予定です。生徒さんが卒業した後に閉鎖する予定です。
株主C GICの関係については、2、3回、三年くらい前からずっと質問してきたんですよね。キャンセル率が高水準で推移するということで、去年も同じような報告がされていて、私たちがその原因についてお聞きしたところ、訪問販売法の改正ということでキャンセル率が増えたんだ、という言い方になっていて、それは全然理由にならないじゃないか、ということで何故キャンセルするのかの理由について尋ねても、殆どこたえなくて、今日に至っては今度は訪問販売法でなくて、個人情報保護法があるから、キャンセル率が増えているんだというように聞こえるわけですよね。本当の原因について語っていないんじゃないですか?
 私たちは、ユーザーの方の感想など寄せられ、「悪徳商法」という言い方はきついんですが、かなり強引な契約だったという認識が殆どなんですよね。そういう営業のやり方というのがやはりキャンセルを生み出しているんではないか、そのことの反省の上に立って行かなければ、次を考えることは出来ないんじゃないか、と言ってきたわけです。
遠藤  質問を
株主C 質問なんですけど、本当の理由についてお聞きしたいということと、常々、その数値を示してもらいたいと言ってきたので、今回もキャンセル率ということを数値をもって示してください。
中森  解約増の理由ですが、大学入試全入時代にあたりまして、受験生の意識がかなり変化しております。これは時代の流れだと思いますが、そういったこと、並びに親の収入減による返済上の問題、等があるやに聞いております。これは、役務付き商品販売がキャンセル自由であるが故にこのようなことがあると考えておりま。キャンセル率は手元に今資料がございませんので、さし控えて・・・
株主C 大体でいいんですよ。
中森  おおむね30%くらいであると聞いております。
        キャンセルの理由、これでは答えになっていません。一番の理由は、高額教材をよく判
        断できないまま、押し付け販売されてしまったから、後で、こんなに高い金をローンで払
        わされ続けるはめになったことを割が合わないと後悔し、解約に至った、ということでし
        ょう。学研は法改正を恨むのでなく、強引な商法を反省し、被害者に謝罪すべきです。

株主C 3つ目の質問ですが、役員報酬の件ですが、内訳は言えない個人的なことなのでという理由でしたけど、これも調べて見ると、アメリカでも証券取引委員会が、最低限、上位四名については報酬について個人開示を義務づけているということを聞いていますし、日本についても多分これN証券って書いてるから、日興証券 じゃないかと思うのですが、今年度から、代表権を持つ四名の役員については個別報酬を開示するという英断をしているわけです。株主にとっても非常に関心があるわですから、遠藤社長と常務二人については明かしていただきたい。
木村  役員の個別の報酬額を開示せよという質問ですが、確かに、一部の取締役について開示していう企業がやっと数社出始めている状況です。相当ある中の数社です。この情報開示の問題については今後の課題であるとは認識していますが、現状では先ほど書面質問への回答でお答えした理由で開示はしない、ということでご了解いただきたいと思います。
株主C 理由にならないでしょ、それは?
遠藤  他の方、質問どうぞ
株主D 企業集団が対処すべき課題というところで、人事制度についても抜本的な見直しをするということがうたわれていますけれど、それに関連して質問します。人事制度の見直し、賃金制度の一部改訂そして働き方の改訂、具体的にはIDシステムと言って出退勤のシステムを今打刻で管理しているんですが、それが賃金の一部とリンクして変わっていくという改訂が取りあえず進もうとしています。これは学研のステークホルダーの一つである社員に及ぶ影響ですけど、それが来週にも早急に導入されようとしている、労働の現場ではこれにつき様々な疑問や質問があるんですけど、なかなかそれについて答えられていない状況で、来週からそが実施されようとしている。このような拙速な施策を行うことによって社員のモラールが低下することが充分考えられる状態ではないかと思うのですが、新し制度の導入、社員のモラールの確保について社長はどういうふうに考えているか、お答えいただきたい。
遠藤  まず木村取締役から
         「社長が答えなさいよ」の会場からの声
木村  新しい制度を導入する場合、多少の現場での混乱は予測されておりますので、人事部を中心にそのようなことがないように、充分、部門長あるいは中堅社員と打ち合わせをしながら進めていますので、ご懸念には及びませんのでご了解いただきたいと思います。
遠藤  私からも付け加えさせていただきます。文章でお答えしましたように、社員が働きがいというものを見いだせるようなシステムを見いだしたい、という大きな目的があります。で、期待されたというかやるべきことをやった人間への正当な評価というものをやっていけるような制度にしたいと思っています。そうした制度を作っていくプロセスというものも大事だと思っており、プロジェクトを作りながら、いろいろなことを参考にしながら進めていきたいと考えています。
        7月1日から、新就業時間管理システムに沿ったIDカードの打刻が強行実施に移され
        たようです。問題だらけの新人事システムについては今後も取り上げて反対していく
        予定です。

株主E まず、一点目。第5号議案の大規模買付行為への対応方針に関連して質問します。この議案は、最近の村上ファンドの事件と関連して、大量の株を買い付けるという行為に対して学研が、社会的な出版社としての使命も含めて、こういうことに対する防衛策を講じる、という理解をしていますが、一方で学研ー読売キャリア教育講座ということが設置をされています。この内容は、子どもにお金教育ということを小さいうちからしっかりやっていこうという学研の方針だと思うんです。しかし、このお金教育の仕掛け人は日銀であるんです。その総裁の福井氏が村上ファンドに投資をしていたことが発覚したわけです。政府与党の福井総裁擁護論の中でも、その一角をしめる公明党の神崎代表が「やめたらどうだ」という意見も飛び出す、このような日銀のあり方、そこから「お金教育」が出てきて学研が乗るというような状況ですが、これからクロスするんです。村上ファンドのような企業買収を狙った大量買付を防止するということを第5号議案に書いてあると思うのですが、一方で「お金教育」は、これからファンドが果たす社会的な割について、小さい子どものうちからお金教育やって、ファンドに投資をするということなどもマネープランの大事な一環なんだよ、ということを教えようとする、このような中に明らかに矛盾があるのではないかと思いますが、・・
遠藤  どのような質問なのでしょうか?
株主E つまり、企業買収・大量買付を防止すると言いながら、日銀の仕掛けたこのお金教育を奨めていくことについて、どのような矛盾を感じているのか、明確にお答えいただきたい。
遠藤  キャリア教育の目的についてお答えすることが、答えになるかと思います。
小野寺 子どもキャリア教育講座「生活と経済」と申しますが、これは読売新聞社さんと学研との共催で、小学校高学年を対象に開催しているものです。基本的な理念としては、「生きる力を育む」というもので、具体的には4つありまして、一つはタフで心豊かな生活者になろう、二つ目が社会に参加することの意義、働くことの楽しさを学ぶ、3つ目がグローバリゼーションとローカライゼーションの感性を養おう、起業家精神を身につけよう、という趣旨でおこなっているものです。ちろん、金融教育というものにも触れておりますけど、これは決して金儲けの手法を身につけさせたり、株取引の実際をやらせるということではございません。あくまで生活者の目線で、小学生にとっては難しい経済というものをクイズやゲームを使って分かりやすく、飽きさせない方法で現在展開をしております。おかげさまでお子さまや保護者の皆様にも好評でして、今後も継続していくつもりです。
         生きる力、生活者の視点に何故、これまでなかったグローバリゼーションの視点、起
         業家精神が付加されるのか、子どもが実際に株取引や、社長になったりするわけで
         はないのは、当たり前の話です。なのにそれを小学生に教えていくことの意味が曖
         昧で、「金儲け教育」ではないという説明にはごまかしがあります。おこづかいの使い
         方など身近なしつけの範囲を超えて、子どもにお金のことを教えるのは難しい問題を
         含んでいます。貨幣という神に対する人文・社会科学的考察等。ホリエモンブームで
         始まった「お金教育」の現在の実態は、日銀の金融広報中央委員会の仕掛けた路
         線に乗ったものです。

株主E 今のお答えは殆どなっていないと思いますが、一つだけ言っておきます。第5号議案に書いてありますが、当社は上場会社である以上、なんびとが当社の株式について大規模買付行為を行うことも自由でと考えています。原則として考えているけど、何故、こうした大量買付行為に制限を加えようとするのか、それは村上ファンドに対する投資に現れた福井総裁の行為、それ自体が問題にされる社会的な観点から買収防衛策を講じたんだと思います。ですから、今の答えは非常に失当であると考えています。

木村  第5号議案における買収防衛策についての理由ですが、指摘のあった村上ファンドのために防衛策を導入したということは一切ありません。そういうことのない時点、いわば平時で導入したものです。ましてや、日銀の福井総裁とどういう関係があるのか、ということについては答えかねます。
         質問の意味を全く理解していません。福井総裁の村上ファンド投資行為を招いた日
         銀の体質、その日銀金融広報中央委員会が仕掛けているお金教育の流れの中で
         学研イベントを開催することは、買収防衛策の理念と反するのではないか、と言って
         いるのです。

株主E 納得いきませんが、2番目の質問に行きます。学研が「教育総研」を発足させて昨年11月に「教育再興ネットワーク発起集会」への参加を呼びかけたことに関連して、質問します。「教育再興ネットワーク立ち上げ」というのが、集会の趣旨と理解しています。その中に、講演した鈴木寛氏は、いわゆる「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーです。教育再考ネットワークがこのように進めることと、それから東京都知事の石原慎太郎氏が進める「徳目の充実」、こういったことを導入しようとするあるいは現在、教育基本法が国会に上程されて、愛国心を涵養する、向上させるというような目的で改悪さようとしている、このような中での一連の動きだと思うんですけど、具体的に学研に即して言いますと、これから新しい歴史教科書をつくる会の教科書を、扶桑社における出版の独占をうち破って、学研が教育出版社として、もう一度、教科書を市場開発の一環として出版することを考えていくこと、つまり新しい歴史教科書を学研から出すことを視野に入れて、の方針なのかどうか、ということが1点目。
荒木  私からは、日本教育再興プロジェクトということについて、このプロジェクトは元尾道市立土堂小学校の校長であられます現在立命館大学教授の陰山英男先生が中心になって結成された団体であり、その目標とするところは基本的な生活習慣の改善を通して、子どもたちを伸ばしていく教育活動を支援していこうということです。陰山先生は当社において有力な執筆者でもございますし、ご存知のようにこれは他の出版社ですが、百マス計算でベストセラーを出された先生ですので、社内でも非常に関心のある社員が多い、ということもございまして、この発起集会の時に、陰山先生と慶応大学大学院の教授であります金子郁容先生の対談があったということがございまして、この旨をご案内いたしました。当プロジェクトと学研教育総合研究所との関わりとしては、以上でございます。あくまでも現在のところは有力執筆者の陰山先生との関係、というところに止まっております。
岡本  教科書に参加するか、ということですが、今のところは考えておりません。
株主E 少子化の時代になっており、可能性がうすいから、乗り出しません、という答えが出るのかなと思ったのですが、そういうことではないようですね。
3番目の質問です。中央青山監査法人と監査人依頼の件について質問書でも提出しています。大谷監査役からもかなり詳細な説明がありました。そこで概要は分かっていますが、何故、中央青山監査法人が金融庁から処分されたか、7月1日から2ヶ月間ということで、業務停止処分ということですが、しかし、本日提起されている監査報告書というのは、これは過去において作ったものであり、カネボウの粉飾決算に関与した監査法人というのが処分の対象ですから、この時期はそれほど違わないと思います。7月からが処分になるのだから、それまでは特に問題はない、と大谷監査役は報告で述べていますが、そうではないと考えています。現に26社(5/20現在)が中央青山監査法人と契約はしない、と表明しています。先ほど聞きましたが、8月までにいくつかの候補があって、監査法人を今後別に変える可能性を残しつつ、それで決まらない場合は中央青山監査法人に依頼することもある、ということでしたが、そうだとすると、こういう粉飾決算に関与する問題ある監査法人に、また、三沢ホーム・・・
遠藤  質問の趣旨は
株主E つまり可能性を残して、今後、中央青山監査法人とは契約しないと明言しない、という理由が今一つピンとこない。
遠藤  大谷監査役から  
株主E 社長として、最高責任者として、今後の監査をどういう態勢でやっていこうとしているのかを明確にお答えいただきたい。  
遠藤  先ほど、お答えしたとおりでございます。  
大谷  先ほど、監査報告の後に読み上げましたとおりでございまして、そのまま中央青山監査法人を選任するということは今のところ考えておりません。そのまま選任するかどうかは、中央青山監査法人の信頼性の回復とか、あるいは改革の推移を見て、来年の株主総会でまたご提案して、そこで決定していただく、ということで1年間じっくり見ていきたいということです。
株主E ちょっと質問の最初に聞くことが抜けていましたが、こういう重要な案件について株主総会の議案に付して株主の意見を聞くべきだと思うのですが、議案にないのは何か理由があるのでしょうか?
中森  この総会に、この議案を提案していない理由は、中央青山監査法人の業務停止が 7月1日からであるからです。従って、今日の時点では中央青山監査法人が再任されているという状況になります。
          「そんなのおかしいじゃないか」と会場からの声
          「答えになってないよ」 〃

        お粗末な答弁です。中央青山監査法人のカネボウ粉飾への関与では、昨年9月に同
        監査法人の4人の公認会計士が逮捕されており、金融庁の処分もそれ以降、時間の
        問題になっていました。 
         他の企業ではこの問題を総会議案に付したり、監査法人を変えたりしている(7月に
        入り約300社)ところも多いのに、学研はなんと来年の総会に提案するとしています。
        何の問題でも後追いのやり方です。会社法では、株主総会で監査人を選任することが
        定められています。中森氏は、株主総会前に発表されている(しかも逮捕は9ヶ月前)
        事態の重大性の認識がなく、処分が動き出す日付の方にひっかからなければ、問題な
        いという言い方です。
         これでは、学研と中央青山監査法人との関係も、粉飾があり、他の監査法人に変え
        るとまずい裏事情があるのか、などと疑われても仕方ありません

遠藤   他の方、どうぞ。
         この後、孫が「科学」を取っているという株主Fから、「マーケッティングをどう考えているか」と
         の意見と質問あり、遠藤社長から「科学の学研」を推進していきたい旨の回答(省略)。
株主G 先ほど、ニュークリエーティブプラン06−07について、普通、製造業なんかですと、年間の売上高に対し研究開発費いくら、と表示されていますけれど、学研の場合は、そういうものに当たるものというのはあるんでしょうか?
中森  研究開発費というような項目での計上は当社の場合はございません。出版物が主体の会社でございますので、日常的にそういった企画は常にやっているとご理解いただきたいと思います。
株主G このプランをやるために強化拡大事業として積極投資というふうに書いてあるんですが、どのくらいの投資をして、単年度では無理でしょうから何年くらいで全部回収するという、その辺の桁というか、年間(連結で)売上高800億、来年は780億の中での値というのは、どんなバランスになるんですか。
中森  60期におけます強化拡大事業への投資といたしましては、市販出版事業の新雑誌創刊にかかわる主に宣伝費になりますが、1億9千万円ほど、また、教室事業におけます指導者・生徒募集経費として約8億1千万円、トータルで14億円余りがそれに相当する額と考えています。
株主G 最後の質問になりますが、先ほどコーポレートガバナンスの強化とか秘書室長さんの名前が出たりとかしましたが、企業の社会的な責任は重要なことですから、東京ふじせ企画労組とも話し合って争議を解決するようにしてください。 
遠藤  (答えずしばし沈黙)他にご質問ある方はありますか?
株主A  現在の社長の心境をお聞きしたい。就任してから6年目に入るわけです。250名からなるリストラを断行したり、(遠藤、130名です)(中略)、社長が就任したときのH13年の社内報、566号を踏まえて、現在の心境、今後どのように自分の出処進退を含めて考えておられるのかお聞きしたい。
遠藤  株主総会の議題として、あれですので差し控えさせていただきたいと思います。
株主A 市販雑誌が苦労されているとの話がありましたが、(中略)編集、広告、営業、の3人の役員の方が出席されているわけです。3人の責任者から、ご意見をいただきたい。
 岩井取締役が代表して、「商品力、営業力、宣伝力、それらの力が集結されて、いい結果を生んでいます」と自画自賛(略)。
株主A 他のお二人も同じお考えと思います。
        社長、質疑・応答を打ちきり、決議事項の採決に入り終了。

 今年の株主総会は、私たちとの質疑・応答を除くと、一般株主の声は低調でした。常連株主2人が、会社持ち上げに近い質問をしただけでした。問題・疑問を感じ、「学研よ変わってくれ」との思いで質問してきた株主には会社がまともに向き合わないため、失望して欠席した株主もいました。こんなことでは、学研の将来はますます暗くなるばかりです。