学研の決算発表、連結で51億円の赤字
来期は単体も赤字転落の可能性が濃厚!

 
会社は、5月19日に決算結果を発表しました。先月号で業績予想の下方修正が既に出され、数字について少し触れましたが、単体を含めた売上高の低下率等を改めて見てみましょう。
 連結売上高は842億円で前期の933億円から9・8%低下、営業利益は12億円で前期より36・7%低下となり、共に低下率が大きく拡大しました。当期利益は51億円の赤字と発表されています。単体では、売上高708億円で前期より5・3%マイナス、営業利益6億円、当期利益約13億円(共に50%前後の増益)とされていますが、これらも当初の業績予想を大きく下方修正したものとなっています。
 05年度は学研クレジット株の売却損19億円が連結赤字を拡大し、同売却益50億円が単体決算を黒字にする結果となったこと、ここ数年の業績の実態は中間決算にこそ現れていること等を念頭に置くと、学研の経営状況はやはりかなり危機的な推移をたどっていると言ってよいでしょう。
 今年=06年度9月の中間決算と来年3月期決算の業績予想を見てみると、連結では中間で売上高340億円、純利益は27億円の損失、通期で売上高782億円、純利益は0円、単体では中間で売上高285億円、純損失23億円、通期の売上高680億円、利益1億円とされています。学研の実績が業績予想を上回ったことはなく、下方修正がくりかえされてきていることから考えても、現状ではどう見ても、07年3月決算は単体でも赤字転落の可能性が濃厚と言えるでしょう。この数年の黒字自体が株主の離反を食い止めるための帳尻合わせの3月決算と見られてきましたが、ごまかしが利かなくなってきたということでしょう。
 ただし、会社の中期経営計画では、07年3月を底として08年には反転へとされています。新規投資等の経営施策や家庭直販の建て直し等によるV字回復への軌道が見込まれているのでしょうか?とてもそんな状況ではないのですが。そこで中期経営計画の中身が問題になってきます。
6・29株主総会で追及するぞ!
 会社は、5月21日に「中期経営計画について」と題する経営指針を発表しています。これは06年3月を起点とする3カ年の中期経営計画を修正するとして出されているものですが、インターネットをはじめとする様々なメディアを駆使したクロスメディア・パブリッシャーを目指し、「クロスメディアコンテンツ」事業への積極投資を行なう、グループ経営の強化、ネット物販機能の拡充、等を基本戦略に据えるものになっています。しかし、その内容は空疎なものに過ぎません。イメージや内容の貧しさを横文字で粉飾したつもりの作文になっているのが「NewCreativePlan」の概要です。コーポレートガバナンスや新たなる社会貢献もうたわれていますが、争議や不祥事の責任も取らずに解決能力の無さを露呈している問題体質の改革には全く眼が向いていない相変わらずの姿勢では、学研の行方は「さらなる長期低落」しかありません。
 詳しくは、6月29日の株主総会にかけての追及で問題点を明らかにしていきたいと考えています。経営に残された猶予がもうあまりない程ですが、これ以上の学研及び関連労働者への犠牲強要と社会的被害を許さないためにも学研内外から経営陣の姿勢を厳しく問い質していく必要があります。
4・27−29学研本社移転工事説明会
    ー 会場内外で抗議と質問 ー

 学研の五反田移転に向けた工事が始まりました。まだ基礎工事で、秋から本格的な建設工事になる様子ですが、4月19日「ご近隣の皆様へ」として「学習研究社五反田新本社ビル新築工事」説明会の案内が地域に投函されました。地上24階建て、地下3階の建築計画や建物配置図も同封されていました。「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、説明会を開催するとのことでした。
 「最も近隣の住民」として、私たちは4月27日ー29日の2回の説明会に足を運びました。27日の会場のゆうぽうと前では、夕方5時半過ぎから争議を抱えた学研の問題多い実態を、まず地域の人々に情宣すべくビラを配布しました。ゆうぽうと前には労働運動弾圧を専門とする警視庁公安2課の私服刑事2名と大崎署のSといういつも私たち南部地域の争議団のまわりをうろついている私服が来ていました。工事説明会にこういう輩を呼ぶ学研の姿勢が問題です。彼らの不当な介入を許さず、注目を寄せてビラを受け取ってくれる多くの通行人ら地域の人々にマイクでもアピールしました。
 その後、6時半から当該労組・支援共メンバーでゆうぽうと内の会場受付へ行き、説明会に参加しました。建築計画の概要、建物の構造、日照や電波障害等々の影響などが一通り説明されました。本社ビル建設ということでこのプロジェクトの責任者である室長が学研を代表して挨拶した後、工事の詳細などの大半の説明は元請けの清水建設が行いました。先日の防衛施設庁の官製談合でも名前の上がったあのゼネコンの清水建設です。その後、質疑・応答に。皆さんすぐに手を挙げないので私たちがトップで質問。すぐ隣の五反田壱番館に事務所を構えている東京ふじせ企画労組と自己紹介の後、「ビラでもお知らせしたとおりの学研は争議や不祥事など問題体質を改めることが地域や社会への責任である」ことを伝え、(役員は来ていない様子でしたが)「これについて考えがあれば述べてもらいたい」と冒頭で伝えました。これについては室長からは何の回答もありませんでした。建設工事に関しては、私たちは移転してくることは好都合で「歓迎」なのですが、新ビルによって壱番館が最も日照を奪われることを丁寧に説明し、対策を問い質しました。しかし、清水建設は、建物の構造が細長いために日陰は細くてかつ早く移動していくので影響は少ないと冬至の時期の日陰図を用いて弁解、そこでこちらは夏至の時期にはもっと北よりで陽が昇りちょうど唯一陽が当たる朝の時間に完全に日照が妨げられるであろうと述べると、「この地域は商業地なので法的な規制は受けません」と逃げを打ってしまい納得のいく説明ではありませんでした。住民の意見を聞き、建築計画を修正する場合もあるのがこの条例に基づく説明会のはずです。私たちは、その他、保育所を地下に設けるという説明に対する意見などを述べました。この日は夜間の説明会で、隣接のNTTコムウエア、ポーラ化粧品など地元企業の参加者が目立ち、電波障害の影響、通行状況の変化等へも質問が出ていました。
 4月29日の大崎第一区民集会所での第2回説明会にも会場前で地域の人々に情宣しました。参加者の殆どにビラを配布することができました。この日も大崎署の公安刑事3名が登場し、今度は私たちの抗議にも居直って周辺を徘徊。会場内では、前回に続き争議解決や問題体質改善が移転するには不可欠と糾弾しました(学研はこの日も役員
が来ず回答できず)。高層ビルで日照が奪われる問題への前回説明が納得できないこと、法の規制の網にかからなければ何をしてもよいという対応への疑問を述べると、今度は、「地域でのご近所さんはお互い様ですので」と居直り。お互い様ではなく一方的に日照を奪われるだけなのですがねえ。また、ふじせ闘争支援共闘会議の仲間が、株主総会でも学研の業績低迷につき質問していることを紹介した後、学研は建設費がちゃんと払える状態なのか、途中で工事が止まってしまったビルなどいくらでも見かけるが、費用はいくらなのかを問い質しました。学研の室長さんは「金額についてはお答えできません」と苦しい答え、清水建設は「学研さんを信じています(支払ってもらえる)」と言うのみでした。この日は、休日の午前中とあって地元の住民の方の方が多く、工事による騒音や粉塵の発生等に質問と注文が寄せられました。土曜日は、朝の工事開始時間をもう1時間遅らせて欲しいとの声も住民から寄せられましたが、聞きいれてはもらえませんでした。
 地上6階からが執務室で約2000人を収容、テナントを入れない細長いビル等の新社屋の構造も知ることができました。本社建設の内容を知れば知るほど、背水の陣というかやけくそというか、無展望の学研の賭けのような移転計画であるなあ、との感想を持たざるを得ません。それでも、経営姿勢・問題体質を改めさせ、学研改革を果たしつつ、私たちもそこに職場復帰していくつもりであることには変わりないのですが。



        写真左=4・29説明会会場前行動   写真右= 現在、基礎工事中の本社移転予定地(組合事務所ベランダから)

5・5遠藤社長宅行動を展開!
 連休のさなかの5月5日、ふじせ労組と支援共闘会議は、横浜市上大岡にある遠藤社長宅への団交申し入れ行動を展開しました。残念ながら外出中の様子で、雨戸を閉め切って、監視カメラ4台を据え付けた遠藤邸に人の気配はなく、社長とも、夫人とも話をすることはできませんでした。
しかし、その可能性も折り込みずみで、この日は、用意した大量のビラを遠藤宅周辺の地域へ各戸配布しました。その後は、弘明寺観音通りで休日のひとときを皆で楽しく過ごしました。

共闘報告
共謀罪、5・19強行採決を粉砕!廃案めざし闘うぞ!
 「事件がなくても会話だけで犯罪が成立」とされる共謀罪は思想処罰・団結禁圧を狙った現代版の治安維持法である、として私たちは反対し、本紙でも再三訴えてきました。「破防法・組対法に反対する共同行動」の呼びかけでこのかんの連日の国会前行動、集会・デモが行われてきましたが、5月19日には政府・与党が強行採決に打って出ようとする最大の山場を迎えました。
 しかし、反対行動と世論の高まりの中で、強行採決による国会大混乱・世論の怒りに恐れをなした与党は河野衆議院議長が「国民の一大関心事になっている」として調停に入り、強行採決を断念しました。
 まだ国会会期が残っており予断を許さぬ状況ですが、治安弾圧立法の強行採決を断念させた成果を踏まえ、共謀罪を廃案に追い込み、永久に葬り去るまで闘っていきたいと思います。
出労交、5・22「継続雇用問題」で職場交流会
 5月22日、出版関連労組交流会議は、職場交流会を開催しました。テーマは高年齢者雇用安定法(継続雇用制度)で3労組から現状と今後の課題、展望等について報告を受けました。
主婦と生活社では今年1月に職場分会の意見を集約し、経営に団交を要求。特に再雇用基準に関し、希望者全員の再雇用を要求。会社は人事考課の評定ランクを絡めて4月に就業規則化、組合は制度見直しの協議の場を設定することを労使確認させている。廣川書店での提案は、再雇用基準を満たす該当者は今後設立する子会社(人材派遣会社)の派遣労働者として再雇用するというもの。責任をすべて子会社に押し付けようとしており、その他の条件も法律に違反しないぎりぎりの劣悪なもので組合は問題外として闘争中。双葉社では、今春夏闘で組合案を要求。継続的な団交の中で厚生年金の事実上の全額支給が始まる年齢まで希望者全員を再雇用するという要求を獲得。その他の条件について現在も労使協議を続けています。全学研労組、光文社労組からも報告資料が出され、活発な交流・討論が行われました。
4・28南部集中闘争=向島局前行動ー反処分総決起集会を開催!
 4月28日は、全逓労働者に対し、解雇3名、懲戒免職58名など…全国8,183名への不当処分が発令された日。あれjから27年、4・28連絡会は職場の仲間や南部地域の仲間、全都・全国の仲間と共に処分撤回へ不屈の闘いを展開してきました。一昨年の東京高裁判決は、処分の不当性を認定し、職場復帰を命じる判断をくだしましたが、郵政当局が最高裁に上告、まだ最高裁の判断が出されていません。
 連絡会に参加する免職者の仲間が戻る職場の一つ、向島局前での抗議行動、そして夜は反処分総決起集会を南部労政会館で開催しました。地域から共に闘う力を当局に示すことができました(「南部交流会」のページ参照)。