学研の決算予想、再度の下方修正!
 学研は、4月21日、昨年8月に下方修正を行った業績予想につき、再度の下方修正を行った旨の発表をしました。4月10日の部長会発表で遠藤社長が8月時発表の営業利益、当期利益を確保できるか、「近日中には結論が出る」と言っていた結果が、「確保できなかった」と出たわけです。
 連結では、売上高が867億から842億へと更に25億円の下方修正(当初計画は900億)、単独では、売上高が728億から708億へと更に20億円弱の下方修正(当初計画は735億)、当期利益は18億から12億9千万へと更に5億円余の下方修正がされています。雑誌・書籍分野共に返本・返品が増加、大人の科学やホビー・玩具も低調等の理由で売上げと利益が減少したためと説明しています。
3月決算だけは形の上で黒字にし、株主に配当を出すというやり方をここ2〜3年とってきた学研の本当の実績は、その後返本の山で大幅赤字となる中間決算に現れていることを再三指摘してきました。その3月決算でさえ、連結で50億の赤字(学研クレジット売却、子会社整理等の影響)、そして何より売上げの低下に歯止めがかかっていないことが明らかになってしまいました。
 低落した株価がまた下がっては大変だ、ということで会社は、ここのところ株価維持の為の材料提供に必死のようです。ゲームソフト制作会社=スクウェア・エニックスとの提携を記者発表したり、南千束の老人用終身賃貸住宅の記事ネタを新聞に提供したりしています(私たちが南千束一帯に地域ビラ入れを行った直後のことでした。学研経営の焦り?)。 「材料」に反応し、仕手筋が絡んでいると言われる学研の安値株が急騰し(それでも今は350円台)注目を浴びたのも事実ですが、真の実績や展望がないため、ヤフーファイナンス学研株主掲示板などでも決算発表期にかけての急落が予想されています。スク・エニの株価が学研との提携発表と同時に下落、南千束の老人施設建設が、あの古岡秀人元会長(創業者)が労働者への弾圧と収奪の上に建てた邸宅の跡地(周辺は高級住宅地)に富裕な老人を当て込んだだけの「高齢者福祉事業への着手」、という実態は、学研の将来性をほんとうに感じることはできないと受け止められているということでしょう。
学研新本社建設工事着工=混迷と不安だらけの船出
 移転という大事業の中、果たすべき責務は重大 3月22日で「TIMES」に貸して、行われていた駐車場の営業が終わり、いよいよ学研本社の五反田移転工事が動き始めました。現在、基礎工事で整地作業を行っているところで、本格的な工事は秋からということのようです。
 この西五反田2丁目の土地については、購入後10年以上放置し、最近は黒字経営に立て直しができたら移転すると言っていたものの、実態は赤字経営(中間決算の数字が示している)のままでした。そこへ新会計基準適用で減損会計を免れなくなり、赤字計上部分が膨れることから、他の選択肢がない状態に追いつめられての昨年の移転決断であることについてはこれまで触れてきました。
 問題は、そのような負の動機によるものであれ、それを経営の改善に転化する責任ある施策を実行できるかどうか、ですが、現状の学研経営陣には、この大事業に当たって社内外に及ぶ責任の重さを自覚した姿勢が見られません。まず、ここまでの業績低迷の原因を明らかにし、学研の問題体質をどう改めていくのか方向性を示すべきです。そのことの一環として、私たちとの間の争議を長期泥沼化させてきたことにつき反省し、組合潰しを狙って業務打ち切り=下請会社倒産・全員解雇攻撃を仕掛けたことの責任を取って、解決を決断すべきです。また業績悪化の責任を学研労働者へしわ寄せ・転化して、多くの社員を退職させるなどしてきたことについても今後姿勢を改めるべきです。学研の現場を担ってきた労働者へ誠意と責任ある態度を示すことなく、学研の未来など成り立たないからです。
ベア格差回答や朝令暮改の組織変更、中期経営計画挫折、等の混乱 
 しかし、学研および関連の労働者に向き合うべき学研経営の姿勢は相変わらずのようです。今春闘での会社の回答では、ベアにつき昨年の一律1000円アップから、今年は、30代は1500円、50代は500円と年齢別に格差を設けています。今春、シャープが全社員の5%に満たない35歳の技能職だけに500円の賃上げを行うという組合内の分断を行ったことを真似したものでしょうか?納得のいく説明はされていません。
 また、会社は雑誌部門につき、現行の4グループを13グループに細分化する組織変更を発表しましたが、沢田社長の時代に10部あったものを4つに統合したのは何だったのか、現場では皆、首をかしげています。経営の混迷と労働者への無責任がここにも現れています。
 先月号でも触れた、新たな労働時間制度の導入についても、社内の反発や私たちの批判を前に、今年度の導入については諦めたようですが、サービス残業のおしつけ等の労働者への犠牲のしわ寄せを制度化しようなどというのは、もうごめんです。
 遠藤社長が「学研ライフ」4月号で、私たちがこれまで再三批判してきた「中期経営計画」につき見直しを発表、「3年先の行き着く場所を自信をもって確定することなど到底できることではない」などと今になって言い出しました。「今回から中期経営計画は2年間でやるということにした」そうです。こういうのは「中期」と言わないのでは?次には単年度にしか言及できなくなったりしないか、結局、現経営陣には展望も現状の改革課題も提示できないのではないか、と思ってしまいます。社内からも「こんな状態で本社移転できるのか、移転しても、そのとたんに・・・」との不安が拡大しています。 
企業の社会的責任感覚や良識の欠如 
 また、学研が起こしてきた数々の不祥事につき、とりわけ、学研GSMやGICを通じて行ってきた教材の押しつけ販売の数多くの被害者に対して、謝罪と補償を行うべきであることも株主総会等の場で指摘してきました。「社会的に無責任」「悪徳」との批判を浴びてきた事例は他にも枚挙にいとまがない程ですが、これまた今の学研経営には社会的責任感覚や良識というものが感じられません。そんな会社が移転してくることにつき、地元は不安を感じるのは当然です。
4・14南部春季統一行動で
学研社前団交要求行動を打ち抜く!

 4月14日南部統一行動の一環としてふじせ労組の学研社前行動が展開されました。
 最初に全体で意思統一を行い、正面の社員通用口から団交申し入れ。団交要求書を持って来たことを告げ、受付に通すように求めるも、会社側はすぐに正面の鉄柵を閉めてしまいました。社屋に向かってシュプレヒコールを叩きつけました。
 郵便センター口、長原口にも結集した仲間が配置につき、我々を受付に通すように要求するが、会社はいったんすべての出入口を閉ざしてしまうあきれた対応。これは今日に始まったことではありませんが、学研経営のなりふり構わぬ団交拒否の姿勢に抗議しました。社員・来客の人などが、内外に取り残され、滞留するも会社はしばらく放置。しかし、そのうち、長原口を開閉し、我々だけ排除して、その他の人々を通行させ始めました。すぐに当該を先頭に長原口から団交要求を行いました。



 責任者が出て来るようにマイクで声をぶつけても、ガードマンに任せて役員は一人も姿を見せません。その後、全体で正面へ移動し、抗議集会に移りました。当該から、五反田移転を迎え撃つ局面に入ったふじせ闘争の経過と現状につき、報告。3月決算で連結50億円余の赤字の見込みで、株価低落を食い止めようと話題作りに焦る学研が、終身の高齢者賃貸住宅を故古岡秀人会長宅跡に建設するも家賃・共益費で月30万円というもので富裕層の老人しか相手にしないという格差社会に乗っかった姿勢で、また陰山英夫、川島隆太氏といった教材・脳力開発の怪しいブームに頼って2番煎じ3番煎じの企画やシリアスゲームソフトの会社との提携話で仕手筋を呼び込んで株価をつりあげようとしていることなど厳しい批判と争議解決を迫る決意が述べられました。
 連帯挨拶は、駿台予備校による非常勤講師の解雇を許さない会の当該、三合労藤商会、ユニオン東京合同ブリタニカ分会からそれぞれ発言を受け、最後に南部交流会から4・28連絡会の仲間がまとめと4・28南部集中闘争への呼び掛けを行い、支援共のS氏の新鮮なシュプレヒコールで締めくくりました。結集は、41名。長丁場の行動に最後まで地域・全都の仲間が支援結集をしてくれました。
4・1学研−読売「子どもキャリア教育講座」
    イベント会場前で抗議・情宣行動を展開!

 
昨年夏に続き、2度目のイベントとなった「子どもキャリア教育講座」が開催されたお茶の水の「総評会館」前で4月1日、抗議・情宣行動を行いました。争議を抱えた問題企業のイベント開催ということに加えて、私たちは、昨年も「ホリエモンブームに乗っかった企画」として批判してきました。今回も「君も起業家になろう」というキャッチフレーズですから、ライブドア事件が起きても学研(読売)の姿勢に変わりはないようです。


「お金教育」の仕掛け人は誰か

 「子どもにお金や経済の仕組みを教える」というテーマの最近の教育への持ち込みには仕掛け人がいます。銀行=金融資本とその元締めの日銀です。その「金融広報中央委員会」の広告では「賢い消費者になるために必要」等と書かれており、子どもにマネープランや金融商品の知識も与えていくとしています!ホームページではかつての親から子への畑仕事や魚の釣り方の伝授に替わって今は「お金教育」が子どもの自立に必須とされています。
眉唾ものの主張というほかありません。子どもに親がお小遣いの使い方を教えたりすることはしつけかも知れません。でも、銀行が狙っている「21世紀の競争社会を生き抜く経済人への教育」とは非常に歪んだものです。お金のために人を殺したりする事件が何故起きるのか。お金もうけ優先で企業が労働者をリストラ解雇するのは許されることなのか、お金持ちの反対の「社会的弱者」は自己責任だから生きていけなくて当たり前とし、他方で銀行がバブルの時、お金漬けで土地の価格をつり上げ、その結果の不良債権を国民の税金で処理するのは正しいのか、等々のことは教えないのです。最近の文部科学省のまともな日本語教育やコミュニケーション教育もおざなりなまま、小学校に英語教育を導入しようとしている本末転倒と同じことをやっているにすぎません。
 こうした市場経済至上主義を背景に、学研経営は不祥事や組合弾圧をくり返しても居直って、安易な風潮に乗ってこのような教育イベントを開催しているのです。そこには、なんら「教育出版社」の看板に値するような心ある独自の教育理念のかけらも存在していません(「パルス」05年10月17日号、学研教育総研批判も参照)。そのことも、私たちはイベント参加の保護者に訴え、いまの学研の実情を知らせました。イベント参加の親子は少数でしたが、大半の保護者にビラを受け取ってもらうことができました。総評会館の建物管理会社の社員の一人が情宣妨害に出てくる場面もありましたが、はね返して多くの仲間の支援結集で力強い抗議の声を上げることができました。
共闘報告
3・29南部春季集会ー4・14南部統一行動を打ち抜く!
 地域の交流・共闘組織である南部交流会は、3月29日に春季集会を開催しました。一人でも入れる地域合同労組=東京南部労働者組合に最近加入したテック工業の仲間が司会を務め、地域・全都の職場闘争、争議団闘争、反弾圧、反失業、日の丸・君が代強制反対等の様々な課題を闘う仲間から連帯挨拶を受けました。南部の各争議団も決意表明、さらにここでも南部労組のイデー、アールプロジェクト、中央ビル管理、鈴木さんの移動の自由を勝ち取る会など、新たな仲間、新たな闘いの報告が新鮮な集会となりました。
 4月14日には南部統一行動としてス労自主のエッソ品川本社前ー品川臨職共闘の区庁舎前行動ーふじせ労組の学研社前闘争(前述)を打ち抜きました。4月28日には南部集中闘争として全逓4・28連絡会の反処分27カ年闘争(向島局前行動〜反処分総決起集会=南部労政会館)を闘います。
4・17出労交春季集会を開催!
 出版関連労組交流会議は、4月17日に春闘勝利・全争議団闘争勝利!春季集会を開催春闘や60歳からの雇用継続問題で闘っている沢山の労組の職場報告、そして争議団報告を受け、闘争勝利に向け06年度の共闘の飛躍を確認し合いました。
共謀罪が審議入り!現代版治安維持法を廃案へ!
相談しただけで罪になるという労働運動・市民運動潰しの現代版治安維持法=「共謀罪」法案につき、政府・与党は4月21日趣旨説明、25日衆院法務委員会審議入りを強行し、28日にも法務委員会強行採決を目論んでいます。私たちは、共同行動の仲間と共に23日に銀座デモ、25日国会前で27日までの連続ハンスト&座り込み突入集会に参加しました。共謀罪の制定を阻止し、廃案に追い込むまで全力で闘おう!
労働契約法も労政審が始動、4・25厚生労働省前で抗議・情宣!
 経営側に一方的な労働契約変更権を与え、不当解雇でも金銭解決を制度化しようとする等の労働契約法が07年国会上程に向け、厚生労働省労働政策審議会で本格論議に入りました。4月25日、労働法連絡会は同省前で抗議情宣、具体的な反対運動に入っています。