06、学研経営は争議を解決しろ


 2006年が明けました。会社は創業60周年を迎えますが、このまま旧態然たる問題企業として朽ち果てていくのか、真に脱皮して新しく生まれ変わることができるのかが問われる年です。60年間の内、30年間以上も本社・下請を貫いて争議を抱えてきた驚くべき無責任に経営陣は想いをいたすべきです。そこに働いている労働者を大切にし問題を解決することができない会社に未来はありません。ふじせ争議の解決を今こそ決断することを迫り、また、現在も職場で継続されている労働者への犠牲強要策=経営責任の転化・しわ寄せを改めさせる年にすべく、共に闘っていきたいと考えています。今年もよろしくお願いします。
 私たちの闘いもこの1月で28周年を迎えます。1975年に結成された全学研労組を潰す目的で会社は労組員の多くいた「科学」「学習」の業務を中心にふじせ企画に外注し、仕事干しとスト対策に打って出ました。しかし、劣悪な労働条件を押しつけられた私たちふじせの労働者も77年12月に組合を結成しました。慌てた学研経営は、私たちが下請プロの経営者と話し合いを始めたとたんに身を乗り出し来て、35名が行っていた学研の編集業務を総引き上げし、下請経営者に指揮・命令して「業務を戻して欲しければ組合を解散しろ」と言わせ、解散に応じないと翌年1月には下請会社を倒産させて全員を解雇状態にしたのです。ふじせ企画(=工藤社長)は、当時、学研からの業務を請け負うだけのトンネル会社で実際の編集業務を行っていた東京ふじせ企画(=須田社長)との2重構造になっていましたが、私たちは、工藤社長、須田社長の双方を追及し、二人とも学研に呼び出されて組合潰しのシナリオを聞かされ、学研の指示・命令で動いた事実を明らかにさせました。そして、争議の張本人=学研を前にして、私たちは泣き寝入りをすることなく争議責任追及の闘いに入ることを決意しました。
 学研への追及行動を開始してからでも四半世紀が経過しました。私たちの団交申し入れに対し、学研は、社前や会長・社長宅前へ御用職制を多数動員しての暴力排除や仮処分・間接強制を裁判所に申請しての争議行為禁圧の攻撃をかけてきましたが、ふじせ闘争は、これを打ち破る闘いを展開、90年代初頭までの10年間の激しい攻防を闘い抜きました。争議に疲弊したのは学研経営の方でした。職場を荒廃させ、93年以降、慢性的な赤字状態に陥って、97年の山一証券廃業に伴う泥仕合では株価も低落しました。
 21世紀を迎えても遠藤新社長を擁する学研の建て直しは失敗を続けています。遠藤体制の下では失敗を糊塗するために3月決算の見せかけの黒字化を図り、株主のこれ以上の離反を防ごうと躍起ですが、決算後の返本増大は中間決算での赤字を膨らませ、会社の実態が透けて見えています。学研GSMやGICの悪徳商法(高額教材の押しつけ販売)、その他不祥事は後を絶たず、企業イメージは地に落ちています。
 創業60年を機に学研経営は「科学の学研」「教育の学研」のイメージを復権させようと記念イベントを行っていますが、私たちの抗議情宣を浴び、また、職場の学研および関連の労働者は冷ややかです。経営の体質は少しも変わっていないことは現場で働いている人達が一番良く知るところです。この10年間は、私たちの方が攻勢を強めた時期です。
 下に記載するように2005年の攻防は各所で学研の窮地が垣間見えるものとなりました。学研経営の私たちに対する巻き返しは不可能です。95年に一度、O監査役が学研がふじせにやったことについての責任に触れ「争議を解決したい」と動き始めたとき、当時の独裁者=沢田社長とその取り巻き取締役たちが、これを潰し彼を解任してしまいました。今度こそ遠藤社長ら現経営陣は争議解決を決断すべきです。問題を抱えたまま08年の五反田移転まで暴走しようとする学研経営を許さず、ふじせ闘争は猛追を浴びせていきます。

05年の闘いをふりかえって
 恒例の10大ニュースふうにまとめてみました。
1・21五反田地域デモを110名の結集で打ち抜く!
 1月21日の夜、27周年闘争は熱い熱気をもったデモで打ち抜かれました。集会では、出版関連労組交流会議(平凡出版労組)、南部地区交流会(全逓4・28連絡会)から、それぞれ出版産別の状況、南部地域の闘いに触れながら集中闘争で共に闘う決意の表明が行われ、デモ出発。五反田の繁華街の沿道からは歓呼の声が上がり、各雑誌編集部が入っているビルの職場からも注目を浴び、全都から110名が結集しての手応えズシリのデモでした。
全国でも抗議行動。北九州市自分史文学賞授賞式会場前
 2月20日、北九州市主催の自分史文学賞授賞式が行われた小倉駅前のリーガロイヤルホテルで後援の学研を糾弾する情宣行動を展開しました。
 この日の北九州は朝から雪で、行動を始めた頃には最も強く降って冷たい風も吹きすさぶ状態でした。しかし、地元の北九州自立連帯労組、福岡合同労組、福岡グリーンコープ自立労組など、長い間にわたって私たちと全国的な連帯・共闘を進めている仲間が大勢かけつけてくれ行動は大成功でした。
4月 学研、苦しい業績の中で本社移転を決定
 会社は4月初め、本社の五反田移転を社内発表しました。「これ以外の選択肢のない切実な現実の問題」として実践的なシミュレーションを行った結果、06年着工、08年に23階建ての本社ビルを完成、移転統合を行うこととなったのだそうです。
 豪華なビルを建てる割には、苦しそうな決定の仕方でした。減損会計適用による一層の赤字拡大を逃れるための移転。五反田の各雑居ビルのテナント費用がかさむ非効率解消もあります。3月決算は、また見せかけの黒字計上を行ったものの、この4月以降6月までの市販部門の在庫だけで114億円、その内、E級在庫(廃棄するしかないもの)は54・8億円にも昇りました。早くも返本の山で、雪だるま式赤字を隠し、株価維持、銀行借り入れ、これしかないという賭けの決定でした。
学研社前で無責任な役員への追及を強化!
 2005年も前年に引き続き、社前での役員追及を行いました。2・17、3・10(この日は就職学生にも情宣)、4・27、5・27、6・10、10・17、11・21、12・9と朝ビラ配布と合わせて、 安田、富樫の両常務、小林、細野、太田中山、木村らの各取締役に、「団交申入書を受け取り、争議解決の話し合いを行いなさい」と迫りました。何も言わずに社内に逃げ込む役員らの背中にも抗議の声が浴びせられました。
 9・26の社前闘争では、午後からの正面口での団交要求に対し、会社はすぐに鉄柵、シャッターなど全ての出入り口を閉ざしてしまい、私たちだけでなく、取引先、社員の人々も閉め出す対応に出ました。
11・9社前 社長・役員らは本社に戻れず!
 11月9日、午後からの学研社前座り込み抗議行動と合わせ社長・役員を社前で追及する構えを取りました。
 この日、午前11時半から帝国ホテルで故古岡勝元副社長の「お別れ会」があり、遠藤社長ら役員たちは、会終了後、本社に戻れず、ふじせ労組の追及を逃れて都内某所に避難しました。なさけない!
11・21には公安を構内に導入!
 11月21日の役員追及の最中には、 会社は田園調布署の公安私服2名を構内 の社員通用口付近に導入するという対応を取ってきました
遠藤社長の醜態
 5・16社前では外出する遠藤社長が郵便センターまで車を後退させて飛び乗り、シュプレを浴び逃亡。6・10社前では、初の早朝(7:30)からの追及の構えに遠藤社長はゴミ取り口に車を付けて社内に逃げ込みました。
 6・14遠藤宅では朝6時40分、出勤する遠藤社長を直接追及。彼は狼狽し、最後に車に乗って逃げる時に悔しそうに捨てゼリフ。社前での早朝出社(10/17、11/21、12/9)にも抗議を浴びせました。10・30社長宅では遂に監視カメラ4台を据える構えよう。だが、夫人に応対させ、自分は朝から逃亡し深夜に帰宅。
不祥事子会社解散、売却など
 5月、学研スクールマネジメントが解散を決定しました。悪徳商法の英会話教室が問題になり生徒の解約続出で閉鎖に追い込まれ、会社も清算に。株主総会では、高橋孝太郎常務が、「存続の可能性」を強弁していましたが。
 7月、NIFベンチャーズがTOBで学研クレジット株を買収。悪徳商法の片棒を担がされてきた唯一の黒字子会社が学研に造反したとの見方や、裏で三井住友が糸を引いている、NIFはおいしいところだけを持っていったとの声も。
 8月にはやはり悪徳の学研GIC(大学受験指導)も解約続出で、教室閉鎖を決定。
6・29学研株主総会闘争 初の株主提案そして初の退場宣告!
 05年の株主総会では、一般の株主から初の株主提案権の行使がされました。「もう学研は、社外監査役を据えて外から経営をチェックしないと駄目だ」という趣旨でふじせ労組の代表にその任を与えるべきという提案でした。私たちは採決には保留票を投じましたが、このような提案がされたことを会社は受け止めるべきと追及しました(欠席者も含め少なからぬ賛成票が投じられたようです)。
 しかし、議長(遠藤社長)は、ふじせ代表のこの件での意見表明を全くさせず、争議の件で追及中のふじせのメンバーの質問を打ちきり、退場宣告までして妨害しました。業績の実態、不祥事や係争事項、本社の移転等にも他の株主からのものを含め、多数の質問が寄せられましたが、会社の回答は不誠実でごまかしに満ちたものでした。減損会計適用の有無を問い質す質問に全く答えられない会社の応対にも失笑がもれ、総会の運営方法についても、ひどすぎると一般株主からも感想が出ていました。
中間決算 連結で82億円の赤字
 11月21日に学研の9月中間決算の結果が発表されました。連結最終損益が82億円の赤字(前年同期は29億円の赤字)。「学研クレジット株式の売却損や、大学入試教材を扱う子会社の事業整理引当金など、約60億円を特別損失に計上したことが響いた。」と報道されました。子会社の事業整理とは教材の押しつけ販売=悪徳商法が問題視されて教室閉鎖に追い込まれた学研GICのこと。
 連結売上高は前年同期比6%減の379億円、経常損益は20億円の赤字、『直販事業では、家庭向け学年別学習雑誌「科学」と「学習」の販売が不振。市販教材でも返品の増加に加え、新雑誌の創刊に伴う広告宣伝費などが響いた』とされていました。
インデックスへ申し入れ
 学研の大株主であり、業務提携も行っているベンチャー企業=インデックスへの申し入れを12月に行いました。
 インデックスは問題解決を望んでいることを以前から表明しており、約1時間にわたって有意義な話し合いを持つことができました。
 筆頭株主の古岡奨学会、第2位の投資銀行に次ぐ保有率のインデックスの働きかけにも耳を傾け、学研は賢明な判断へと転換すべきでしょう。
各種のイベント闘争を展開!
 05年も、2月の自分史文学賞を皮切りに各種の学研関連イベント会場前での抗議情宣行動を打ち抜きました。
 4・8創業60周年記念行事の講演会会場=ホテルパシフィック前、7・9東京国際ブックフェア会場、7・29には、まず朝9時過ぎから教育工学研修セミナーが行われた大井町きゅりあんの前での行動、昼からは「読売ー学研子どもキャリア講座」が開催された大手町の読売新聞本社前で情宣行動を展開しました。また、科学実験キャラバンによる10・8科学実験教室の行われた=東芝科学館前、同じく11・12横浜こども科学館前で情宣を行いました。いずれの会場でもビラの受け取りが良く、問題体質を抱えた学研の経営実態と私たちの争議を広く知ってもらえました。