学研の中間決算 連結で82億円の赤字
問題体質隠蔽、労働者へのしわ寄せ策を許すな!

 11月21日に学研の9月中間決算の結果が発表されました。連結最終損益が82億円の赤字(前年同期は29億円の赤字)。「学研クレジット株式の売却損や、大学入試教材を扱う子会社の事業整理引当金など、約60億円を特別損失に計上したことが響いた。」と報道されています。子会社の事業整理とは教材の押しつけ販売=悪徳商法が問題視されて教室閉鎖に追い込まれた学研GICのことでしょう。連結売上高は前年同期比6%減の379億円、経常損益は20億円の赤字、「直販事業では、家庭向け学年別学習雑誌「科学」と「学習」の販売が不振。市販教材でも返品の増加に加え、新雑誌の創刊に伴う広告宣伝費などが響いた」とされています。
業績予想の下方修正をも下回った学研本社の売上げ
 単体では、学研クレジット株売却益による赤字圧縮で最終損益は15億円の赤字(売上げは300億円、同2%減)と発表されています。8月に、本社単体で305億円から303億円へ業績予想の下方修正を行っていましたが、さらに低い売上げとなっています。「パルス」9月号でも触れましたが、学研クレジットの売却を差し引いて考えても(というよりこの売却=学研からの離反自体が、唯一の黒字子会社の消滅を意味したわけですが)、また例によって利益(損失)計上の数字操作も考えられる中、明瞭になっていることは、経営の建て直しはできていない、という厳しい現実です。実際、社内では経営陣の焦りの様子が伝わってきています。
 そして、この現状に向き合うべき真摯な姿勢が相変わらず欠けた無責任経営陣は、学研GSM、GIC、学研クレジット等に現れた数々の問題体質を引きずっていることを隠蔽し、ふじせ争議の責任を居直り、3月決算に向けてまたまた自転車操業のみせかけ利益計上へ、そのために労働者へのしわ寄せ策に暴走をしようとしているのです。このような状態では創業60周年は破滅の開始元年になりかねません。
新労働時間制度導入の背景と学研経営の思惑
 前号でも学研経営が見なし残業手当制度をやめて新たな労働時間制度への改変を行おうとしている経緯に触れましたが、06年には、裁量労働制やフレックスタイム制など、部署ごとに異なる労働時間制度を導入しようとしているようです。
 「労働者の働き方も多様になった時代に合わせて労働時間制度を弾力的に運用していく」といったうたい文句で主として経営側の要請に基づき労働基準法が改定され、変形労働時間制や裁量労働制が導入されてきていますが、労働組合の側からの歯止めも不十分な現場の実態の中で、サービス残業や過労死につながっているのが実情です。
 学研経営も、労基署から指摘された長時間残業とその経費削減のために、IDカード導入等を行い、さらに効率的に労働者を働かせていこうとしているものです。専門業務型裁量労働(出版業務での編集・取材等も含まれるようになった)では実際の労働時間に関係なく協定で定めた時間だけ働いたと見なし(労働基準法38条の3)、企画業務型裁量労働(企画・立案・調査・分析を自らの裁量で行う)では、職場の労使委員会の5分の4以上の賛成と本人同意が必要となっています(同38条の4)。事業場外のみなし労働時間も見なし労働時間の決定や労使協定が問題になってきます(同38条の2)。問題の多い制度が、特に労働組合が弱体だったり御用組合の会社では、労働者側に甚大な不利益と労働強化・生活破壊をもたらすことを見逃してはなりません。
 学研経営の労働者への犠牲強要策が制度の総仕上げに向かう中、職場からの抵抗が問われているのです。私たちも職場の皆さんと連携し、共に闘っていきます。
争議責任居直りの学研経営に
          
   秋季攻勢を展開!
学研社前ー遠藤社長宅、イベント会場などで抗議・追及
           身構える社長・役員たち。警察を構内に導入!

 
組合潰しの業務総引き上げ=倒産・全員解雇の争議をひき起こしておきながら、自分たちの口をぬぐって無関係を装ってきた学研は、現在も経営陣が「学研に争議はない」と株主総会で開き直っています。しかし、現実には、ふじせ労組の追及に何も反論できず、現場では抗議・追及に戦々恐々として身構え、逃げ回るという対応くり返しているのが実態です。そして、その逃亡ぶり、緊張した身構えはいっそうひどくなり、なさけない姿をさらけ出しているのです。
10・17学研社前行動
 遠藤社長は多くの学研関係者が8時20分頃から始業時間の9時にかけて出勤してくる中、横浜の自宅に朝6時40分頃迎えの車を呼び、会社には7時45分頃出社してきていいます。ふじせ労組の追及・抗議を社員の前で浴びるのが嫌なのでしょう。
10月17日、私たちは朝7時半から社前に登場、遠藤社長の出社を迎えての団交要求の態勢を取りました。6月に初めて社長への早朝迎え撃ちでの抗議行動を行ったときには長原側のゴミ出し口から社内へ逃げ込むという哀れな姿をさらした遠藤サン、この日は、7時55分頃、彼の乗った車がいつもと逆の2ビル方向からスピードを上げて走って来て、構内に走り込みました。抗議のシュプレヒコールを浴びせました。この後、朝ビラを配布すると共に、新取締役を含めた出社役員への追及行動を行いました。小雨が降る中、特に新人の役員らは傘で顔を隠して出社してくるありさまでした。
10・30遠藤社長宅行動。自宅に監視カメラ4台!
 当該・支援共闘会議で10月30日の日曜日、横浜の遠藤社長宅夕方行動を行いました。上大岡の自宅前に着くと敷地内3カ所に4つのテレビカメラが設置されていました。6月の出勤間際の早朝団交要求行動が契機になったのでしょうか?まだ明るいうちから窓にはブラインドが降ろされている。これは毎度のこと。インターフォンを押すと果たして夫人が応答。「出かけていてまだ帰っていない」と言う彼女に「折り返し連絡を取り、話し合いの場を設けるように伝えてください」と申し入れをしました。監視カメラの設置の件を問い質しても「私は知りません」との答え。地域にビラを配布するなどして行動終了。その後も夜9時過ぎに夫人に電話で問い合わせましたが、「まだ帰宅していません」とのこと。夫人によれば、遠藤社長はふじせ労組の追及を逃れようと夜遅くまで帰宅を避けたようです。


     遠藤社長宅の監視カメラ(10・30)                 11・9学研社前闘争

11・9学研社前 社長・役員らは本社に戻れず!
 11月9日、午後1時過ぎから社前座り込み抗議行動と合わせ社長・役員を社前で追及する社前団交要求を展開しました。この日、午前11時半から帝国ホテルで故古岡勝元副社長の「お別れ会」があり、ホテルに我々が押し掛けて情宣行動を行うものと考えて会社側はガードマンや丸の内署をホテルに多数動員したようです。2時過ぎには喪服姿の社員の人たちも次々と会社に戻ってきて、帰社した総務の社員が「来るかと思い向こうで待っていたんだよ」と話しかけてきましたが、本社に残っていたガードマンはわずかということで、遠藤社長ら役員たちは、会終了後、本社に戻れず、ふじせ労組の追及を逃れて都内某所に避難しました。なさけない!
11・12横浜こども科学館前情宣
 10月8日の東芝科学館での行動に続き、11月12日、12時から13時まで科学実験教室が開催された洋光台の横浜こども科学館前で学研経営への抗議・情宣行動を行いました。この日は三鷹で三多摩合同労組ケミカルプリン
ト闘争の社長宅包囲デモ(三多摩 11・9学研社前行動労組・争議団連絡会議統一行動)が入っており、当該・ふじせ支援共の機動力展開(この後、三鷹へ移動)。参加者は50名足らずのようで、余裕をもってビラ配布、マイク情宣を行い、通行人を含めビラをよく受け取ってもらえました。
11・21学研社前闘争、会社は田調署公安を導入
 11月21日は10月に続き、早朝からの学研社前行動を行いました。遠藤社長は、我々の登場を知ると、8時まで出社を遅らせ、この日も2ビル方向から社長車を走らせ、玄関前に走り込み。社前から構内へかけてシュプレヒコールを浴びせました。この後、朝ビラ配布と合わせ、中山・太田・小林・富樫そして新役員の木村取締役らに団交要求。例によって彼ら無責任経営陣は、うつむいて無言でガードマンに守られて構内へ入っていきました。富樫常務を追及した頃、東側駐車場の中を社員でもない様子の不審な男2名がうろついて、こちらの動きを監視し始めました。カメラを向けると、顔を向こうに向け、また一方で支援労働者の名前を知っているとばかりに口に出していました。田園調布署の私服公安で、この後は、私たちが抗議の声を上げると別の場所にいた一名と共に西側駐車場の車に待機して監視していました。労働争議に対し警察を構内にまで導入した学研経営に抗議の声を上げて、この後も社前ではりつき・マイク情宣を行い、行動を打ち抜きました。


    11・21遠藤社長に早朝迎え撃ちで抗議                    学研本社構内に導入された私服公安

<闘いの秋ー連帯・共闘報告>
11・13−14全国争議団交流会企画会議ー九州現地行動
 10・18統一行動(大道社長宅ー中央大学生協)の成功をかち取った争団連は、11月13日、福岡で全国の争議団の仲間と企画会議を持ち、来年3月の関西での全国交流集会開催の準備を整えた。また翌日は、北九州でオートウエイ本社闘争ー福岡でグリーンコープ生協前ー三井住建道路九州支店前(加部建材闘争)の3現場行動を打ち抜いた。
11・18出労交秋年末交流集会
出版関連労組交流会議は、11月18日「労働組合の再生」をテーマに、出版職場の現状克服と組合の再生・飛躍をテーマとして、光文社、廣川、主婦と生活の各労組からレポートを受け、活発な交流・討論を行った。
南部交流会・南部労組
 南部労組に今年加入した家具デザイン販売会社イデーの20代の若者たちが、残業費や休日出勤手当未払いの労基法違反を許さず闘っている。11月29日の団交で未払い賃金、11人で総額約4500万円の支払い要求を突きつけた。1名の休業補償4割削減の居直りも追及中。今後の展開に注目を!
 昨年来、会社の労基法違反を是正させて残業費支払い、賃上げの獲得などをかち取って
いるテック工業(電気設備会社)でも、労働過重や組合否認の動きと攻防が山場に。
10月27日、大田区の分限免職処分の取り消しを求めた裁判で東京地裁民事19部は原告の森合先生の請求を棄却する不当判決を出した。校長らが森合先生排除を狙って、学校の意のままも指定医制度の下で「統合失調症」の病名でっち上げを行って休職ついで免職に追い込んだことを容認する判決。控訴審闘争を闘うことに。
 同じ南部労組のメンバーで大田区の障害者への介護支援費の一方的な削減と闘う鈴木さんは、支援の仲間たちと共に行政訴訟を提起、11月10日第一回口頭弁論が開催された。