問題体質隠蔽の無責任経営
によって水面下で一層促進
される学研の危機!

 
 学研は、この夏(8月9日)、業績予想の修正を発表、また、社内では先日、4月〜7月の売上げと利益についての計画と実績を発表しました。
 業績予想の修正では、05年中間期の売上高が、連結で385億円から380億円へ、本社単体で305億円から303億円へ、純利益が連結で29億円赤字から85億円の赤字へ、単体で28億円の赤字から18億5千万円の赤字へと変更されました。通期の売上高も連結で900億円から867億円へ、単体で735億円から728億円へ、純利益が連結で+12億円から50億5千万円の赤字へ、単体で10億円から18億円へと変更されています。
 利益が中間、通期ともに連結で大幅下方修正、単体で上方修正されたのは、学研クレジットの買収による株式売却により、連結では23億5千万円の特別損失が、単体では50億4千万円の特別利益が計上されることが主要な要因です。
 今回の発表で露呈したのは、(単純計算はできないとしても)、学研クレジットの売却益がなければ単体では30億円を超える赤字、連結では売却損差し引きと学研クレジットの上げていたであろう利益を想定しても、従来程度の利益を維持できたかどうか、というところであるということです。学研の経営状況は改善どころか悪化していることは間違いないでしょう。売上高予想の下方修正も顕著です。この他、学研GICの事業整理引き当て損失で26億円の計上を行う予定が発表されています。
 株式市場は、この事態に敏感に反応し、学研の株価は大幅に下落しました(現在240円前後)。私たちが株主総会の場などで、「見せかけの黒字決算計上へ自転車操業状態の学研の経営」として、「出版の委託販売制度を利用して3月決算直前にムック本等を乱造して売上げと利益計上を、この数年くり返している学研は、黒字回復を果たした、と言っても形だけ。返本増大で中間決算の赤字は膨れるばかりで、04年9月は、27億円の赤字で前年9月の倍に。今年4月以降の市販部門の在庫は114億円でその内、E級在庫(廃棄するしかないもの)は54・8億円にも昇ることが判明。早くも返本の山。この雪だるま式赤字の実態を隠すために、また3月決算で帳尻合わせを行う悪循環はアリ地獄にはまったようだ。」と訴えてきた学研の実情が、株主にも見えてきたのです。
売上げは計画より10億円以上のマイナス
 さらに驚くことに社内発表された第一四半期を過ぎての4ヶ月間の本社の売上高計画は214億8千万円、売上げ実績は204億1千万円と10億7千万円ものマイナスであり、
対外発表された上半期で2億円程度の下方修正ですむのか疑わしいものがあります。なお、営業損失は、計画で18億6千万円の赤字に対し、実績で26億2千万円の赤字となっています。
学研クレジット株売却
GICは教室閉鎖へ!

 上で触れたように、7月10日、NIFベンチャーズがTOBで学研クレジット株を買収することを発表しました。
 これにつき、学研は、8月16日の関東財務局への届け出で、「NIFキャピタルパートナーズB株式会社により平成17年7月12日から平成17年8月8日まで実施された上記特定子会社の株式についてなされた公開買付けに対し、当社は、平成17年8月5日応募しましたが、同公開買付けが撤回されることなく、終了し、受け渡しが行われたことにより、上記特定子会社の異動が発生したためです。 @当社の所有する議決権の数 異動前=16,688個 異動後=0個、A総株主の議決権に対する割合、異動前=65.91%、異動後=0%」との報告を行っています。
 この買収劇については、悪徳商法の片棒を担がされてきた唯一の黒字子会社が学研に造反したとの見方がされています。裏で三井住友が糸を引いているとの声やNIFはおいしいところだけを持っていったとの声も聞かれます。学研には売却益62億が入ると発表されましたが(実額は上記のとおり)、本社を含む学研グループはインデックスに続いてベンチャー企業に次々と喰われていく、という見方や、いやそんな価値さえない、という声など、どちらにしてもなさけない評判ばかりです。
 株主総会でも追及したように途中解約が続く大学受験指導の学研GICは相次いで教室閉鎖に追い込まれつつあります。これについても、8月10日に提出した学研の報告では、
(1) 当該事象の内容
当社の子会社である株式会社学研ジー・アイ・シーは顧客のキャンセル率が依然として高水準であり、事業の抜本的再構築を計る為に、教室役務付商品の販売停止を決定いたしました。これにより、残存役務費用及び教室閉鎖費用等の当期以降発生すると見込まれる額を、関係会社事業整理引当金として計上することといたしました。
(2) 当該事象の損益に与える影響額
平成18年3月期第1四半期決算で関係会社事業整理引当金として2,800百万円を特別損失に計上することといたしました
との記載を行っていますから、教室の完全閉鎖、GICの清算は時間の問題となるでしょう。
 以上のように、遠藤社長を先頭とした学研の無責任な経営陣が、ふじせ争議の存在さえ否定し、悪徳商法その他の不祥事にも開き直り、問題体質を押し隠して「経営再建」をアピールしようとするやり方の下で、確実に学研の危機は深まってしまっています。3桁の赤字を出していた頃には、逆に危機感もあって、長年の膿を出すというような声も出ていたのですが、ここへ来て、変わらない学研の体質にしらけきったムードと、冷静に経営実態を見て、ほんとうに展望がない、危ない状態だとする見方が強まっています.。「創業60周年事業だ」、「科学実験キャラバンだ」と騒いでいますが、自ら招いた厳しい現実を直視し、責任を認めて出直すべきです。
 リストラ=労働者への犠牲の強要も極限まで押し進められ、労働強化への不満も臨界点にさしかかっています。経営は組織変更や時間管理の手直しに焦っていますが、職場の雰囲気も活気は生まれず、こんな会社では働きがいを感じない、という様子が伝わってきています。私たちは、ますますきつくなっている職場の状況とふじせ争議を共通の問題として、経営責任を追及していきたいと考えています。
夏の闘いの報告
 8月号は休刊だった上に、7月号は株主総会特集に絞ったので、現場の闘いの報告は、だいぶ遡りますが、以下、報告します。
7・9東京国際ブックフェア会場で情宣行動展開
 7月9日、東京国際ブックフェアが開催された東京ビッグサイトで、出展している学研を糾弾する情宣行動を展開しました。国際展示場前駅から会場に向かう橋上で、横断幕・旗を設営、ふじせ、教育社労組でマイク情宣、山田書院と合わせ3労組のビラを配布しました。ビラの受け取りはよく、1時間半の間に1800枚のビラを配布しました。

       写真= 7・9東京ビッグサイトで
7・29学研イベント連続抗議闘争
 ふじせ労組、ふじせ闘争支援共闘会議は、7・9東京国際ブックフェア情宣行動に続き、7月29日、学研が主催する教育関連イベントへの抗議行動を2波続けて打ち抜きました。                                まず、朝9時過ぎから教育工学研修セミナーが行われる大井町きゅりあんの前での行動、小中学校の教員対象のイベントですが、冒頭に後援している文部科学省の参事官が講演を行う等のプログラムになっています。
 駅東口から地続きのキュリアン前広場でビラ配布、マイクでの訴えを行いました。イベント参加者のほかにも多くの通行する人々にビラを渡すことができました。
 続いて、昼からは「読売ー学研子どもキャリア講座」が開催された大手町の読売新聞本社前で情宣行動を展開しました。こちらは初のイベントで、「子どもにお金や経済のしくみを教える」というもの。子どもの親たちが働く場で、組合潰しやリストラをされている実態(特に学研での)等も訴えました。争議を抱える学研が社会的なイベントを行っていること、また内容もホリエモンブームなどに乗った安易な企画ですが、お金をかせぐために親たちが苦労している労働現場の実態は決して教えない内容であること、等を批判するアピールをビラ配布と併せて展開、力強い抗議行動となりました。

              7・29大井町キュリアン前で    

              7・29大手町読売新聞社前で
共闘報告
南部地区労働者交流会
4・28闘争、森合さん裁判等、判決へ
郵政公社側の上告後、書面のやりとりを終了してから半年余りが経過、4・28裁判も最高裁決定が間近、また南部労組では森合先生の裁判が結審し、9月29日判決を迎えます。品川臨職闘争も(中労委命令を控え)9月30日には30周年の南部集中闘争=区庁舎前集会・区長宅包囲デモを行います。テック、イデー等南部労組の新たな職場闘争や鈴木さんの対大田区介護支援費削減反対闘争も奮闘中。9・2集会=「こんな時代だからこそ職場に労働者の権利を」(労働契約法制制定の狙い等を撃ち、激変する職場に抵抗拠点を)を開催しました。
出版関連労組交流会議
 主婦と生活労組、中部労組論創社など新しい仲間も参加。リーフも改訂。裁量労働、成果給導入、協約破棄や組合潰しとの闘いなど、各職場労組も奮闘していますが交流と現場共闘強化をめざしています。8月29日には主婦と生活労組との職場交流を行いました。11月18日には秋年末交流集会を開催します。
争議団連絡会議
今春の渡辺工業、日野遺跡の勝利・解決に続き、全争議団闘争勝利・前進へ、この夏は地域での集中闘争がめじろ押し(ケミカル、旭ダイヤ、洋書センター、論創社、明大、駿台、三河島、大道、柴法)でした。全国では、本山、網中の解決をめぐる総括論議を深化してきました。いま問われている一人の首斬りも許さない、現場からの自力・実力の闘争の意義を深め、8月夏季合宿・9・3総会を踏まえ、10・7総決起集会、10・18争団連統一行動(中大生協闘争)の成功へ。また、治安弾圧の社会への浸透=共謀罪制定や刑事・民事弾圧を粉砕し、労働法制解体の労働契約法制制定反対へ。