6・29報告
学研株主総会闘争
        を打ち抜く!

 退場宣告をはね返し、経営陣の責任追及!
 6月29日、不動前の学研第3ビルで開催された第59回定時株主総会に対し、会場内外を貫く追及・抗議行動を打ち抜きました。ここ数日の真夏日から一転、小雨が降る天候の中、朝8時15分から学研社員、そして総会出席の株主へ質問書を掲載したビラを配布、マイクでもアピールを行いました。
 今年の総会は、初めて一般株主の株主提案が行われました。ここ数年、毎年総会に出席している一般の株主が、会社の無責任な体質、不誠実な答弁にごうを煮やし、「独立性を持った社外監査役を選び、経営をチェックする」との趣旨の株主提案を行うことにしたもの。内容は、「社外監査役を増員する」「新監査役に東京ふじせ企画労組代表を選任する」というもの。前号でも報告したように、この提案に驚いた学研は、提案を取り下げるように手続き上の圧力をかけるなど図ったものと思われるが、提案を潰すことはできず、次の手段として、対抗的に新たな監査役候補を据え、「監査役増員その他」の議題を自ら設けることで株主提案の存在をかき消そうと、随分構えた姿勢で臨んできました。
 定刻どおり10時に開催された総会は、営業報告書の読み上げに入りましたが、これはプロジェクターで映し出されると共に、読み上げは録音された女性の声のアナウンスが流されるというやり方。しかし、新しい厚化粧もそこまで。その後の加藤常務の事前の質問書への一括回答、議長=遠藤社長の進行は何も変わらない、否、前年を上回るひどさでした。書面質問への回答では、ふじせ争議につき、組合側の質問書の文章に露骨に反発、「85年の損害賠償訴訟判決は、組合問題は争点でなかった」などと倒産・破産に至る原因である学研の業務引き上げの位置をごまかし、行政訴訟では、「高裁判決は、ふじせ社長の業務返上を認定している」と、まるで学研主導の倒産攻撃であることが否定されているかのような説明までして見せました。その他、「五反田移転と減損会計は無関係、退職慰労金を役員会一任にすることは問題ない、学研GIC等につき何をもって悪徳商法などと言うのか」など、開き直った居丈高な回答が続きました。
 そして質疑・応答に入るところで、「ここからは一括して質問を受け、議案は採決のみにさせていただく」との遠藤社長の進行提案。「進め方につき意見あり」と発言しようとしたところ、「賛成多数で確認されました」と反対意見も言わせません。「この総会では、株主提案も出されており、それら議案に十分な議論の場を保障すること等を提起しようとしたのに、経営陣が考えていたことはやはり逆のことでした。遠藤社長は、提案者の一般株主は来ているかと言い、最初に指名して提案書を読ませ、これで終わらせる魂胆が見え見え。この提案者の方も「社外からの監視」の意義を他の株主の人達とじっくり話したかったに違いないのに、経営陣は「一応意見は言わせてやった」として済ませるつもりでした。
 ただちにふじせ労組代表が、質疑・応答の冒頭で、ふじせ争議につき会社説明への反論を行い、株主提案がされた意義、争議解決の姿勢を問い質す発言をしていたところ、回答を拒み、「それ以上発言を認めない」として、発言続行に対し「退場を宣告します」(社員株主の「異議なし」、遠藤「退場と決まりました」)と言う始末(しかし退場宣告は実質粉砕)。ふじせ支援の他の株主からも、GICの高額教材の押しつけ販売に関連して、解約が続いている理由を問い質す追及(「訪問販売法が変わったから」との原因と契機をすり替える答弁のみ)、減損会計との関係を会社が認めた新聞記事を上げての追及(「その記事は間違いです」との答え!)、3期連続黒字の実態は、3月決算に合わせた売上げ計上で、その直後から著しい返本があることの追及、などを行いました。全学研労組からも五反田の土地の時価を聞く質問がありましたが、最後まで額を言おうとしません(やはり、減損会計適用になるんじゃないの、という感を抱かせた)。
 その後、他の株主からも経営姿勢に疑問を投げかける質問もありましたが、遠藤議長は、まともに答えず、無責任経営陣をよいしょする御用株主には5回も発言させる始末です。そして、最後に「議案に関連して質問・意見」と手を挙げているふじせ労組をあくまで無視し、強引に採決に持ち込んだのでした。抗議の声が何度も上がりました。
 会社の対応は、めちゃくちゃな議事運営で不誠実・無責任・問題隠し・嘘の上塗りでも、多くの株主から熱のこもった質問が浴びせられ、閉会まで2時間を超えた総会となりました。終了後、組合代表が専横な議事進行を行った遠藤社長に詰め寄ると、社員防衛隊が立ちふさがり、遠藤は会場裏手から逃げていきました。
 組合は、もともと監査役就任の意思はなく(7号議案採決では保留とした)、社外からの監視機能の強化を求める一般株主の声が上がったことの意味を経営陣が受け止めることこそ問われていると考え、そのことの議論を求めましたが、ここまで構えて大騒ぎを引き起こしての茶番総会を演じて恥じない今の学研の経営者たちの器の小ささはなさけない限りでした。
 以下は、6月29日発行の「パルス」(総会質問書掲載号)ですが、株主総会の詳報は次号(7月下旬発刊予定)に掲載となります。
学研の経営陣は質問に真摯に回答し、問題解決を図れ! 
私たちは、6月29日開催の学研の第59回定時株主総会に向けて、以下のような質問書を提出しました。

1、東京ふじせ企画労組との労働争議について
1) 7号議案反対の取締役会意見で、「争訴については・・・全て解決している」とされているが、言われている争訴の内容は、労働争議の全てではない。貴社が東京ふじせ企画を倒産させたことにより、労組との間にいまも厳然として存在している争議について経営陣の認識を示されたい。
  この争議は、1977年12月、当時貴社の「○年の学習」、「○年の科学」、「マイコーチ」等の委託編集業務を行っていた東京ふじせ企画において労働組合が結成されたことを知るや、貴社が直ちに委託業務を総引き上げし、東京ふじせ企画経営者らに組合潰しの方策などを示し、さらに組合解散工作に失敗すると同社を倒産に追い込み、労組員を含む35名の労働者を解雇状態に至らしめたことにより発生した。
 以上の事実関係については、東京ふじせ企画破産管財人が学研を相手に提訴した損害賠償請求訴訟において 、85年10月、東京地裁が「学研が東京ふじせ労組解散を目的に業務を総引き上げした」と事実認定を行い 、学研による組合潰しの下請会社倒産攻撃の争議責任を明確に指弾している。以後、この判決による事 実認定は覆されていない。同判決では、「学研が東京ふじせ企画労働者の事実上の使用者である」として使用者責任についても正しく判示していた。
 しかし、他方で、1987年に東京都地方労働委員会が命令を出し、その取り消しをめぐって最高裁まで至った行政訴訟では、不当にも学研の使用者性に基づ く団交応諾義務が免罪された。
 以上のことより、法廷の場では、学研の使用者性については相反する判断が出され、他方、学研の業務引き上げ=倒産攻撃の事実認定については、動かし難いものとなっている。私たちは、学研が倒産攻撃を仕掛け、労組員・非組合員を問わず、全員の雇用と生活を奪った責任を追及しており、労組法上の不当労働行為の責任はその一部にすぎない。学研が東京ふじせ企画を倒産させて労働者の雇用を奪った責任は、否定しようのない事実である。その責任をどう取るのか、示されたい。
      学研が仕組んだ組合潰し攻撃であることは、東京ふじせ企画社長=須田博、および学研から委
      託された編集業務を、自らの会社をトンネル会社として経由させ、それを東京ふじせ企画の労働
      者に行わせていたふじせ企画社長=工藤英一の二人ともが、学研に呼び出されて逐一、組合解
      散工作を指揮・命令され学研の業務総引き上げに協力させられた事実を、後に労組の前で認め
      ていることからも明らかである。
 2)東京ふじせ企画労組の貴社への追及に関連して、株主提案が行われたこと、その内容について、貴社としてどう受け止めているのかを示されたい。
  学習研究社の株主総会で初めて株主提案がされ、会社の問題体質への批判と現経営陣への不信が表明された。これは、学研の問題体質によって引き起こされたふじせ争議の意味が広く知られ、争議は、他の数々の不祥事や学研の問題体質と根を一つにしたものあることが明らかになり、学研関係者はもとより、株主を初め、社会的にふじせ労組の活動の意義への人々の理解が拡大していることを示している。
 また、ふじせの問題にとどまらぬ貴社の無責任経営と隠蔽体質を社外から正す必要を指摘した今回の株主提案を真剣に検討すべきである。
 3)話し合いで争議を解決する意思がないのか、明らかにされたい。
貴社は、この27年間、一度も争議解決のための話し合いの場に出てきたことがない。大株主となった(株)インデックスも、私たちと面談し、「学研とふじせ労組の問題については解決が図られることが望ましい」旨の回答をしている。「解決している」「争議は存在しない」などと強弁する貴社の対応は、誰にも支持されてはいない。話し合いでの解決の場に出て来る意思の表明を求めたい。

2、財務諸表と業績の実態に関して 
 1)「3期連続黒字」の実態について
 巨額の売掛金255億円、製品・商品116億円は、前期を上回っている。
3月決算後の返本、不良在庫は、前期は前々期より、そして今期は前期以上に増大している様子だ。
 返本の実態と、きたる中間決算時の在庫と赤字見込みの数字を示されたい。
 昨年秋、返本の多さから東販より出版点数の制限を課された、と聞くが、今秋もそのような事態が起きることはないか明らかにされたい。 
 売上げ747億円と、低下に歯止めはかからず、減益(経常でマイナス65%)決算の内容も、悪い。直販の低迷、市販も返本と不良在庫の多さは深刻さを増している様子であり、今秋の中間決算は経営陣が昨年並みと予想を立てている28億円の赤字程度では済まない可能性が高い。
2)見せかけの売上げと利益に基づく配当の無理と危険性について
 今期も前期に続き、3円(総額3億円余)の「配当」を出したが、上記のように実態は赤字を解消していない業績を糊塗し、長期の見通しを欠いたままの目先の株主(特に金融機関)への利益還元を図るやり方は、危険ではないか?
 3月決算で対外的な体裁を取り繕って形の上の黒字にするために、下期で労働過重を強いて、返本必至の出版物乱造を行う、その結果、さらに中間赤字が拡大する、というこの負のスパイラルは学研の危機を深め、デッドゾーンに入りつつある。引き返し、抜本改革を行うことが不可欠である。
3)売却固定資産について
内容と理由を示されたい

3、五反田への移転計画について
1)何故、この時期に移転を決定したのかを明らかにされたい。
    減損会計適用との関連はあるのか
  現在85億円で計上されている土地のうち、五反田の移転予定地の価格はいくらか?一方、時価会計  で計上すると、それはいくらになるのか?
2)移転・統合による社員の収容計画等は、どのようなものか?
3)移転費用と計画実現の可能性について
移転費用は概算で、いくらを見積もっているのか?
 銀行融資額と返済計画は、どうなっているのか?
  コミットメントライン契約の期間とフィーはいくらか?
移転計画実現の可能性があるのか?

4、子会社、学研関連を含む事業内容と社会的責任について
1)GICの悪徳商法について
「学研模試」でも生徒数の減少等を売上げ・利益低下の理由にしているが、学研GICの途中解約の増加も顕著な事実のようだ。中途解約の原因として、高額教材の押しつけ販売が社会問題になっている。経営陣は、どう考えているのか?謝罪と保障、社会的信用回復を図る気はないのか?
同じく悪徳商法が問題になり、英会話教室が破綻した学研スクールマネジメントは、清算に至った。GICも、問題の本質は同様であり、責任の自覚が必要である。
2)代理店での販売方式の見直しについて。これまでの代理店への保障等を考えているのか?それとも、代理店の切り捨てを行うのか?
3)CAIスクールの低迷の原因について
これまでのフランチャイズ方式の問題点に加えて、昨年度は著作権違反事件が、影響していると考えられるが、低迷の原因を明らかにされたい。これと関連して、昨年の2件の著作権侵害をめぐる係争事件の経過ないし結果を示されよ。
4)他に抱えている係争事件はあるか?
5)読売新聞社とタイアップしたイベントの位置づけについて明らかにされたい。
    
5、企業理念について
「すべての人が心ゆたかに生きることを願い・・・」等の文言を企業理念として打ち出しているが、このような空疎で歯の浮くような企業理念を掲げることに、どのような意味があるのか。貴社の現実とかけ離れたキャンペーンは、信用失墜に拍車をかけることにしかならないのではないか?
6、労使関係と役員人事について
 1)無理な売上げ計上を果たすため、職場で労働過重となっている、と聞く。労働者の不満が高まり、職場のモラル後退、士気の低下が心配されている。
  ・平均残業時間、有給休暇の平均日数と取得率を開示されたい。
  ・労働時間の短縮、時間外労働の削減への取り組みをどのように行っているのか。
  ・育児休暇、介護休暇に関する制度と運用の実績を示されたい。
 2)役員交代の理由と退職慰労金について
  イ)井上取締役辞任の理由は何か?
  ロ)加藤常務ら退任の理由は何か?
  ハ)岡本監査役辞任(任期を残して取締役抜擢)の理由は何か?
  二)それぞれの退職慰労金の額を示されたい。また、慰労金は、取締役会へ一任するのではなく、総会         での意見を聞いて、決めるべきではないか?

7、各号議案に関して(省略、会場にて質問・意見を表明)            以 上

6・10学研社前行動
遠藤社長の哀れな出勤
早朝、ゴミ出し口から社内に逃げ込む!
 会社は、毎年の株主総会で、ふじせ争議につき、平然と開き直った答弁を行い、ここ2年程は、裁判所の判決を引き合いに出して自らの正当化を図っています。しかし、学研が、本社内の労組弾圧に明け暮れた1973年以降、ふじせ企画を導入して、それをいかに扱ってきたか(学研の使用者実態)、そして、そこでの労組結成に焦り、いかに下請組合潰しへと暴走したか、学研経営自身が一番よく知っているのです。だから、「争議解決のために話し合おう、裁判の内容にも立ち入って話をしよう、」との私たちの呼び掛けに正面から応じようともせず、役員たちは逃げ回っているのです。
 8時過ぎから始業時間の9時までの間、私たちが社員向けにビラ配布をしている際に出勤してきた役員は、私たちの抗議・追及=話し合い申入れ行動にひと言も反論できず、うつむいて社内に逃げ込む行動をくり返しています。
 遠藤社長に至っては、私たちの申入れ行動を浴びることを怖れ、毎日(!)、朝7時40分頃の早朝出社をくり返しているのです。6月10日、私たちは、ついに早朝行動を組み、7時30分より社長出迎えの行動を行いました。宿直のガードマンや総務の社員が慌てて、会社に向かう社長の乗った車に電話して知らせました。7時45分、遠藤社長の乗った車は、いつもの正面玄関前に来ることなく、社屋横のゴミ出し口に横付けし、中の総務社員が急いで鉄扉を開け、遠藤社長は走るように社内に逃げ込んで行ったのでした。哀れというか、そこまでして私たちとの接点を避ける、自信のない姿にあきれ、背中に抗議の声が浴びせられたのでした。
 遠藤さん!そんな逃げ隠れをやめて、話し合いで争議を解決しましょう。

 
    遠藤社長が「出勤」した学研本社ゴミ取り口