2004年をふりかえって
ごまかしがきかなくなって、
学研の問題体質と経営の
行き詰まりが露呈

 2004年も残すところあとわずかとなりました。今年は学研にとって、そして学研に働く皆さんにとってどんな年だったでしょうか?この2年間、経営陣は学研の建て直しが進んでいるかのような宣伝を続けてきました。03年の黒字回復と04年の復配をアピールしてきたわけですが、私たちはそれが実態とかけ離れたものであることを指摘してきました。93年以降の連続赤字(!)の根底にある危機に際し、正面から対処して問題体質を根本から改めるのではなく隠蔽するやり方は、事態をより深刻なものにしてきたのです。説明責任なき役員交代、画餅に帰した中期経営計画とその修正プランの
破綻、創業60周年事業や五反田移転等の課題を前に、学研は暗礁に乗り上げています。
 この9月の中間決算で学研は27億円の赤字を計上しています。「2年連続黒字回復を果たした」との経営陣の喧伝に対し、ふじせ労組は株主総会でその実態を暴露、130名の希望退職募集、さらには3月の期末決算に合わせたムック本等乱造で売上げと利益を水増ししても、やがて返本増大で中間期に赤字が膨れあがるというからくりによるものであることを指摘、問題体質が変わってないことを追及し、争議解決抜きに立て直しなどできないことを内外に訴えてきました。学研の職場からは増大する労働強化への不満の声が上がり、東販からは点数制限を課され、経営のごまかしは破綻して行き詰まり、株価も再び低落、株主からも不安の声が上がっています。
ふじせ争議の展開力・波及力は増大
 昨年3月使用者責任を否認する最高裁の不当な棄却決定を受けて4月初めの部長会を通じ、職場に「ふじせ問題はこれで終わった」との話を流した学研経営でしたが、それから約2年近く、終わるどころか、ふじせ闘争は現場から学研の争議責任を追及する闘いを揺るぎないものとしてきました。経営自体が正念場を迎え、ふじせ争議からの逃げ切りと延命を図る学研に、学研社前闘争(役員迎え撃ち追及・社内へ向けた団交要求、等)を軸に、株主総会闘争、社長宅闘争、イベント闘争、提携先への闘い等々、各領域から攻勢を展開してきています。その展開力や、社内・学研関連・提携先・株主・学研不祥事被害者等への波及力は増大しています。
2004年10大ニュース  
 恒例の10大ニュースを今年もまとめてみました。
1月 
1・30ふじせ闘争26周年学研糾弾・
    五反田デモ成功!
 
 1月30日、闘争26周年の集会・学研糾弾・五反田デモが、出版関連労組交流会議集中行動、南部地区労働者交流会集中闘争として開催され、全都から64団体130名の仲間が結集しました。当該労組、支援共闘会議、出版・地域・争議団の各共闘団体から力強い発言が行われ、会場を五反田に移しての初のデモは編集部が入る各雑居ビルを包囲する形で大成功を収めました。
2月 2・12自分史文学賞授賞式会場前で
  抗議行動など、各種イベント闘争を展開!

 今年は明治安田生命ビルで開催された自分史文学賞の会場前行動を展開。「労働者の自分史を踏みにじるようなことをやっている学研」についての私たちの訴えは参加者に浸透しました。他に、4・26東京国際ブックフェア、5・11会社説明会、8・18教育工学研修セミナー、会場前で情宣行動を打ち抜きました。
4月 4・13南部春季統一行動 
       学研社前で役員追及行動

 早朝から東京南部地域・全都の仲間約50名が結集してくれ、ガードマンに守られ構内に逃げ込む岩井取締役をはじめ、出社してきた安田・富樫・太田の各取締役を力強く追及し、さらに社前抗議集会を開催しました。
秋季攻勢の社前を含め、今年は役員一人ひとりへの追及を強化しました。
5月5・23遠藤社長宅へ抗議行動
 日曜日の午後、横浜の大岡にある遠藤学研社長宅へ抗議・申し入れ行動。地域にビラ各戸配布を行い、争議団の連帯発言も受け、支援共闘会議からも団交拒否・面会拒否の社長に指弾の声をあげました。
3月の行動では、遠藤宅ポストに入れた団交要求書とビラが学研の封筒を使って、そのまま送り返されてきましたが、これ以降いたちごっこは諦めた様子。11月にも社長宅行動を展開しました。
3〜6月不祥事続く。電子教材は著作権侵害
  として学研相手に作家らが差し止め請求

 学研CAIスクールが、小中学生向けの電子教材で文学作品を無断使用し、著作権を侵害したとして詩人の川崎洋氏らが6月3日、学研と教材の委託製作・販売業者を相手取り、教材の使用差し止めなどを求める仮処分を東京地裁に申し立てました。また、3月には、松谷みよ子さんと絵本画家の瀬川康男さんが、「酷似した絵本で著作権を侵害された」として、学研と作家に販売差し止めや、約2100万円の賠償などを求め、東京地裁に提訴しました。電子教材の事件では関係者との連絡も生まれました。
6月 6・29学研株主総会で経営陣を追及!
 第58回定時株主総会で今年も質問権を行使し、経営陣を追及しました。
東京ふじせ企画労組との労働争議について、IDカード導入について、著作権侵害事件やボランティア用語辞典回収事件、赤字子会社の悪徳セールス等の相次ぐ不祥事とその背景にある学研の体質、をはじめ多岐にわたる質問を行いました。経営事項で、2期連続の黒字決算が期末に合わせたムック本乱造等による帳尻合わせで返本と在庫増大で中間赤字となっている実態、五反田移転と減損会計が差し迫った問題になっていることなどはポイントを突いたものでしたが、会社は相変わらずごまかし答弁で逃げ続けるのみでした。打つ手を欠いている証左です。
9月異常な返本率東販から出版点数制限!
 学研は、ムック本の出版点数と返本率が異常に多いので、取次の東販から9、10月の出版点数を制限されたそうです。宝島社につぐ、ワースト2位とのこと。それでも性懲りなく、3月にかけて乱造を狙い、五反田の各雑誌編集部では、またまたムックの新企画を出すように言っているのです。
学研中間決算で27億円の赤字
11月中間赤字が27億に膨れる!
 会社は中間決算の発表を行いました。27億円の赤字ということで、昨年中間期の16億円に比べ大幅に赤字が膨らみ、営業赤字では12億円から倍以上の数値に悪化しています。再びの赤字転落の危機を迎え(ほんとうはは昨年中間期もそうだった)、今度は3月決算への帳尻合わせの乱造路線にも限界が来ている中、経営陣の中には動揺が拡がっているようです。
11〜12(株)インデックス等話し合い継続
 11月22日、学研が業務および資本提携した携帯電話情報提供サービス企業(株)インデックスに対し、再度争議解決働きかけの申し入れを行い、話し合いを継続しました。争議の経過と学研経営の実情について伝えました。経営実態を示す数字には内心頭を痛めている様子で、争議についても「問題解決が望ましい」との基本姿勢を確認しました。
 11・17には朝日新聞へも申し入れ を行いました。
12月 労働過重に社内の不満増大、
      株主らにも学研への不安が拡大

 実態は赤字が深刻な経営の下、現場へのしわ寄せは労働過重を重ねています。労基署から指導され、残業時間削減を目的にしていたはずのIDカード導入もさしたる効果はなし。ムック本乱造の号令をかけ続ける無策な経営の犠牲強要策に現場からの不満は増大しています。学研の株価が下落し、12月にはまた200円を割りました。 ふじせ労組にも株主から学研の今後への不安を訴え、実情を問い合わせる声が寄せられています。

12・1学研社前行動
    出社役員を追及!

 12月1日、学研社前での朝からの行動を展開しました。朝ビラ(「パルス」11月30日号)を配布し、出社してきた役員への団交要求行動を合わせて行いました。ここのところ同様の行動を行っていますが、役員らの対応も変わっていません。団交申入書の受け取りを拒み、私たちと視線を合わさないようにして、一言も口をきかないで、ガードマンに守られて社内へ逃げ込んでいきます。この日、9時までに出社してきたのは小林、安田、細野、太田の各取締役。安田取締役はへらへら笑って通るようになりました。団交要求書を受け取り、自分の考えをちゃんと口にしたら良いものを、かつての暴力常務=高橋孝太郎のようです。抗議のシュプレヒコールを浴びせました。岩井取締役はこそっとすりぬけるようにして社内に。9時過ぎからは、会社正面玄関前に移動してマイク情宣とはりつき行動を行いました。11月22日に発表された中間決算の数字等に触れながら、経営のなりふり構わぬ現場へのしわ寄せ策をこれ以上許してはならないこと、争議解決を決断させることがいよいよ大切な経営状況になっていること、株価低落の現状やインデックスとの話し合いの件等を社内に訴えました。
 中山取締役がマイク情宣の最中に出社してきたので、団交要求を行いました。こわばった表情で社内に逃げ込んでいきました。10時までの行動を打ち抜きました。
11・17朝日新聞社へ申し入れ行動
 朝日新聞は、この秋、購読者と購読候補者を対象にしたアスパラクラブを発足させましたが、その中で学研と提携して「子ども科学実験教室」を開設しています。私たちは11月17日に築地の朝日新聞本社に赴き、アスパラクラブ運営センター長補佐と同プロデューサーに争議を抱え不祥事も絶えない問題企業となっている現在の学研の実態を伝え、「実験教室」のイベントに全国の朝日新聞総局の施設を提供している朝日の姿勢を問い質しました。「アエラ」でも「時代に遅れた巨艦」と題して学研の赤字と怪文書乱発の実態を記事にしていた(99年)ことがありますが、担当者はこの記事も読んでなかったようです。ふじせ争議のことも初めて知って、争議や裁判の経過等につき質問もありました。「学研は大手出版社だから」というのが提携の決め手だったようですが、朝日らしい権威主義というか、笑ってしまいました。学研が教育イベントで、文部科学省を先取りして差別・選別教育を進めている品川区若月教育長を講師に呼んだりしていること等もリサーチしてはいなかったようです。申し入れの後、インターネットのアスパラクラブのサイトでの学研の扱いが小さくなっていますが、これは偶然で、もともと学研など大した位置を持ってないのでしょうかね。ふじせ争議にはノーコメントというのが朝日の「回答」ですが、私たちはひき続き申し入れを続けるつもりです。大朝日が抱えている病弊の一端が元社員のサイトhttp://ugaya.com/index.html でも窺えます。この烏賀陽君の考えにすべて賛成というわけではありませんが(特にエリート主義、能力主義的発想.。また、中で呻吟している人達がいる朝日にとどまり、関係を引き受けながらものを言い、闘うかどうかは、私たち=職場復帰を求めて闘っている者=との大きな分水嶺だ)。