学研の中間決算赤字27億円
会社は11月22日に中間決算を発表しました。売上高は306億(前期比−8.1%)、営業赤字は26億円、経常赤字24億円、中間純損失は27億円、ということです。赤字の額は10月初旬に発表した見込みより少し下回っていますが、昨年中間期の16億円の純損失に比べ大幅に赤字が膨らんだことには変わりありません。営業赤字では12億円から倍以上の数値に悪化しています。
 先月号でも報告しましたが、それでも会社は、期末決算時には10億円の利益が出るとの業績予想を発表しています。これは、通期の売上高を761億円と予想しての数字ですが、このためには下期で455億円の売上げを達成しなければなりません。長期低落の売上高は、03年3月決算で778億円、04年3月決算で755億円との落ち込みを示しているのに、下期だけ取ると、この2期は共に420億円の売上げとなっています。04年3月に合わせて、相当無理をしてムック本乱造等を行ったことがうかがえるわけですが、今度の下期では、さらにこれに35億円も上乗せすると言っているわけですから、無理をするどころか不可能な話と考えるのが妥当な見方です。増収を見込めるような材料は何もありません。これ以上の労働強化も許してはなりません。
 再びの赤字転落の危機を迎え(実は昨年中間期もそうだった)、今度は3月決算への帳尻合わせの乱造路線にも限界が来ている中、経営陣の中には動揺が拡がっているようで、役員人事について様々な憶測が飛び交っています。私たちの追及への対応を見ても、誰も責任を取ったり、改革を打ち上げたりすることができない経営陣なので心細いかぎりですが、これ以上、消費者や株主、そして社会を欺くやり方を続けるのはやめにするべきです。学研という会社の問題体質を明らかにして、責任を取り、ふじせ争議の解決を図り、不祥事で被害を与えた人々への謝罪と保障、などの懸案事項に誠意をもってあたるべきです。これまでの誤りを認めて本気でやり直すしかないのです。
株主からも不安の声が上がる
 10月の中間業績予想の下方修正発表以降、学研の株価がまたどんどん下落しつつあります。これに対し、会社が引け際に必死の買い支えをやっている、とネット上で揶揄されています(今日=11月30日の引け際の前日比マイナス8円から一気に数十万株の出来高でプラス3円の動きは露骨)。私たちふじせ労組の所にさえ、株主から学研の今後への不安を訴え、実情を問い合わせる声が寄せられ、それは拡がっています。それは一般の株主だけではなく、大株主の中にも学研への見方を変える動きが出始めているようです。
インデックスとの2度目の話し合い
 こうした中、11月22日、私たち東京ふじせ企画労組とふじせ闘争支援共闘会議は、学研の提携先であり、かつ大株主となっている(株)インデックスとの2度目の話し合いを持ちました。前回申し入れ以降の争議の経過と学研経営の実情について私たちが伝え、インデックス側からは、11月に学研の子会社スリーエーシステムズの株式を取得して資本提携したことを確認するなどしました。その後の合弁会社設立発表など、関係は少し深まっている様子ですが、大株主としての発言については同社は慎重な姿勢を崩していません。学研の経営実態を示す数字の提示には顔を曇らせており、本体のリスクを感じているのか、それを回避した提携活動をやっているようにも見えます。
 今回も、学研の言い分への配慮からか「争議というかどうかは別として」という注釈付きであることは変わらないものの、学研とふじせ労組の問題が解決することが望ましい、というインデックス側の基本姿勢につき改めて確認しました。前回申し入れについても、学研サイドに伝えてあることを確認し、遠藤社長の株主総会での「聞いていない」との答弁はとぼけた話であることが明らかになりました。その他、意見交換も行いました。今後も話し合いを継続し、大株主として争議解決への協力を働きかけていきたいと考えています。
秋季闘争後半戦、
社長ー役員に争議解決を迫る!
11・2学研社前行動
 出社した4名の役員を追及!

 ふじせ闘争は、11月秋季闘争後半戦を展開しました。11月2日には、朝8時過ぎから本社前で朝ビラ(「パルス」10・31号)を配布するとともに出社してきた役員一人ひとりに争議解決を要求しました。
  この日も、安田取締役、小林取締役、太田取締役、富樫取締役をそれぞれ追及しました。団交申入書を受け取るように求めた私たちに何も答えられず、彼らは私たちの前から逃げ出し、構内に入っていきました。

 その後、会社前に座り込み、マイクで職場に向けてアピールしました。



出社してきた小林取締役を追及

11・20遠藤社長宅行動   
 11月20日、横浜市南区大岡(弘明寺)にある遠藤社長の自宅へ争議解決のための話し合いを求めて申し入れ・抗議行動を行いました。最初に電話での申し入れに夫人が応対、「出かけていて、いつ帰るか分からない。遅いと思う」といういつもながらのいい加減な返事でした。同様なやりとりをしていた直後に遠藤社長が帰宅したことも前にあったし、居留守対応ということも考えられるので、宅前にはりつき、待たせてもらうことに。結局、一時間以上経過しても、動きがなく遠藤社長に会うことはできませんでしたが、地域に400枚のビラを各戸配布、マイクで争議の近況を訴えました。



<連帯・共闘の報告>
11・26出版関連労組交流会議
  秋年末討論集会を開催!

 テーマ「成果給・成果主義に惑わされるな」
出版関連労組交流会議は、11月26日、文京区民センターで04秋年末交流討論集会を開催しました。今回のテーマは「成果給・成果主義」。学研の職場の皆さんにも他人事ではないので、「出労交通信」11・29号に掲載された報告記事を転載します。
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 最初に出労交幹事会より、「成果給あるいは成果給的な考え方について」と題したレジュメにそって提起が行われた。
 まず、成果給的な考え方は、べつに新しい考え方ではなく、一世紀前に登場してから、変遷をたどっているが、こうしたシステムの導入は必ず不況の時期に経済評論家や経営者の俗論と して流行してきたこと、日本においても、日本的経営に対する毀誉褒貶の繰り返しの中、オイルショックやバブル崩壊時期に導入されてきたことが述べられた。
 成果給を「ある期間にあげた成果を”客観的”に図り、そしてその成果に連動した賃金体系で動機づけを図ろうとする考え方」と規定した上で、次に、この成果主義的なシステムは、なぜ根付かないのか、につき詳しく検証がされた。人事考課の三要素である、業績考課(発揮された能力)、能力考課(保有能力)、情意考課(能力を発揮する意思・意欲)のうち「能力主義」の特徴は後の二者を重視し、それは「信条と性の差別」につながった。その反省から成果主義の提唱へと至ったが、厳密に成果主義を適用しようとすれば、短期間の収益が一人の社員の成果であることを容易に判定できなければならない、配転等の異動を原則として命令できない等、成果主義賃金が可能な条件は相当に狭いこと、成果主義のもとで噴出した問題点として、単年度評価(短期的な目標ばかりが重視される)、成果を評価すること自体が、高評価を得るための目標の低設定化、自身のパフォーマンスばかり考え、チームワークを無視、結果のみで判断するノルマ主義的運用、社員のやる気喪失、仕事それ自体の面白さや楽しさも奪ってしまう、個人を殺すだけ、評価の対象とならない部下育成には注力しない、等の結果を招いたこと、評価の不透明性(公平感や納得は生じず、客観的評価などできるはずはなく、上司のおぼえめでたいかどうかという印象評価となり、イエスマンばかりが生まれる)、こうしたことのすべての結果として、職場の荒廃、社員のモラルダウン等が起きた。
 こうした時期に成果主義を導入しようとする経営者がいるのは、「人件費削減のツール」としての考え、さらに賃金の差別化を通じて、各人が互いに結びつく路を閉ざそうとしている狙いがあることも指摘された。現在、失敗した成果主義は、年功序列型に戻すべき論や完全能力主義論、アメリカを含め、プロセス重視の成果主義論など、今後の方向が混迷・分散の中にある。
 提起は、賃金とは生活の保障であるべきで、基本的に年齢給が歴史的に定着してきたことの意味、その点への企業の社会責任を踏まえて、最後に、「人より有能だから、多くの賃金をもらって当然」「生産性を上げない人と同じ賃金では悪平等」といった考え方の誤りを指摘、人との協働で成り立っている仕事、たまたま条件に恵まれていることを省みず、己れを「強者」(勝ち組)と思いこんで「弱者」を排除することは経営の攻撃を前に自分の首を絞めるだけであり、大切なことは働く人間同士の信頼関係、つながりを築いていくことであることが改めて提起された。
 続いて、99年春から成果給が導入された主婦と生活社の労組の仲間から報告を受けた。97年にリストラ希望退職募集が行われ、98年秋、一方的に提案された業務手当(=成果給)導入につき、当初は導入方法の是非にこだわるという対応だった組合は、全従業員アンケートや真剣な討論、中公労組・駒沢氏を招いての講演会、等を経て、04春夏闘で全会一致で業務手当撤廃要求を掲げた。また、ダイヤモンド社労組からは、今春、銀行からの融資継続という会社の存亡がかかった問題との理由で導入された成果給につき、マイナス評価の凍結、評価の基本給への反映阻止で押し返していることが報告された。
質疑・討論では、具体的な運用の実態と、異議申し立てや経営の判断内容の公開要求等の組合側の対応、廃止に向けた考え方(若年層に根強い容認論との議論)や姿勢等につき意見を交わした。有意義な集会だった。