学研創立60周年事業
     に立ちちこめる暗雲

 汚れた歴史を隠蔽して新たな学研など生まれない
 会社は、06年の創立60周年に向けて、記念事業を行う予定を打ち出しています。
「学研・科学大賞」の開催や「学研教育総研」の設立を準備しており、社内では、記念となる新規事業や新商品の企画を今月末まで募集しています。「科学大賞」は、いまの学研にはこれくらいしか柱になるものがないという「科学」路線を進めるということを示していますし、「教育総研」はベネッセ等の真似をしているだけで、それ程の理念や創造性をいまの学研に期待できるものではありません。
 50周年という大きな節目だった96年には、赤字転落して真っ暗なトンネルに入ってしまった直後で、さしたる記念事業も行えなかったわけですが、10年経って事情は変わったのでしょうか?この2年間の「黒字回復」の実態が何であったかを含め、本質は変わっていない、というのが妥当な見方ではないでしょか?93年を境とした古岡一族専制体制の瓦解とそれを引き継いだ沢田体制下で噴出した山一証券との蜜月と破綻という最大の不祥事、それを引き継いだ小松〜遠藤体制下で起きた、子会社での悪徳セールスによる多くの若者の被害続出という不祥事、という流れを見ると、学研という会社は首脳陣が引き継ぐべき経営責任を回避し、問題体質の改革を怠ってきたことが明白になります。遠藤社長が英会話スクールの問題やGICでの不祥事を解決して来なかった、そして時間の経過の中で責任を取らずに解消しようとしているだけであることは、明らかですが、そのような逃げは通用しません。そんな姿勢では改まらぬ問題体質の下で、著作権侵害事件等、次々と新たな不祥事も起きています。そして、学研にとって最大のネックは、このまま行けば60年間のうちの後半30年間を占めることになるふじせ争議です。全学研労組への暴力による弾圧の時代を含めると、実に40年間も学研は労働争議を抱えた問題企業となろうとしているのです。長期の争議を抱えたまま、60周年を迎えるということの意味をどの程度まじめに経営陣は考えているのでしょうか?
五反田への本社移転計画と減損会計
 会社は、この60周年と合わせて本社の五反田移転を検討しているようです。私たちが6・29株主総会でも追及しましたが、05年度から義務づけられる減損会計(固定資産の時価での計上により、減額分を損失処理しなければならない新会計基準)適用となり得る五反田の土地につき、これ以上遊休地としておけずに本社移転を考えなければならない状況につき、会社は、減損会計の対象となる可能性は低く、本社移転とは無関係と回答していました。しかし、同月の日刊工業新聞での「学習研究社の研究」という全くのちょうちん記事(「眠れる獅子が目覚めた」と持ち上げている)の中で、減損会計に備えて「本社移転による有効利用が喫緊の課題である」(遠藤社長)、という記述が行われています。株主総会で、いかに嘘でたらめの回答をしているかの一例です。
 会社の窮状を指摘されると嘘でごまかし、ふじせ争議絡みで追及されることから逃げようとしているのです。
ふじせ労組の争議責任追及行動に苛立つ会社
最高裁棄却決定は、行動の根拠を奪うものではない
 6月の株主総会では、他にも会社がふじせ労組の責任追及行動に苛立ちを隠さず、岩井取締役(総務部長)が、「最高裁決定が出たにもかかわらず、会社前、役員宅等でくりかえされているふじせ労組の行動は異常である」との答弁を行いました(「パルス」7・26号参照)。学研の使用者性をめぐる労働委員会以来の争いは最高裁で確定しました。学研の使用者性が否認される不当な決定ですが、これが出たからと言って、争議責任を追及する権利が無くなったわけではありません。最近の判例でも、旭ダイヤモンド工業の不当解雇を争っている事件で、会社が起こした雇用関係不存在確認訴訟が、最高裁で組合側敗訴で確定し、これを背景に、会社は組合の社前等での行動の禁圧を図る間接強制の申請を行いましたが、東京地裁が、「最高裁決定が出ていても、労働組合の団交権・団体行動権、表現の自由において、解雇撤回闘争を行うことは認められる」という趣旨の決定を出し、会社側はこれにつき上告を断念し確定している、という事件があります。私たちと共闘し闘っている中部労組旭ダイヤの争議です。
昨年3月のふじせ労組への最高裁決定も同様のことが言えます。さらに、学研が組合を潰す目的で下請会社を倒産させた事実認定は、85年の損害賠償訴訟判決で出されて以降も、労働委員会・裁判所で覆されたことはありません。これらの機関では、使用者性を否定することで、不当労働行為事実の対象である学研の業務総引き上げ=会社倒産攻撃があったか否かについては、検討せずに逃げてしまったからです。余りにも歴然とした学研の倒産攻撃の争議責任を追及する私たちの行動の根拠を奪うものは名実共に存在しないのです。岩井取締役は無知をさらし、ふじせ労組を口汚く非難しました。最高裁決定後、1年半経ってもふじせ闘争は消滅せず、逆に今年1月の26周年学研糾弾・五反田デモを力強く撃ち抜くなど、勢いを増して60周年事業、本社移転の前に立ちはだかろうとしていることに焦りを深めての会社側の言動です。責任も取らず、争議解決から背を向け、汚れ果てた学研の60年を覆い隠そうとしても、地に墜ちた企業イメージは回復しません。
為すべきことをしない学研経営の無責任の前に明るい未来は拓けません。
続く不祥事。著作権侵害事件のその後
 学研、CAIスクールへの国語教材配信停止
 CAIスクール筋の情報として、現在訴えられた国語教材については、配信停止となっている様子であることは前号でお知らせしましたが、その後の情報として、原告への対応で、強硬な姿勢を崩さぬ学研本社側と和解を進めようとするFCセンターのエスパが確執を深めているとの話も伝わってきています。学研としては、CAIスクールの教材を作り直すにしても時間がかかり、今回の原告だけにはとどまらない話に発展する可能性を熟知しているはずです。困ったときには開き直るというのが傲慢な学研経営の取る常套手段ではそれこそ困ったものです。
 なお、教材会社を中心とした一連の著作権侵害事件で著者(原告)を支援しているビジュアル著作権協会のホームページがあります。大学入試の過去問題集などにも侵害があると指摘しており、これも学研に影響がありそうです。HPアドレスは以下のとおりです。  http://www.jvca.gr.jp/

7・29教育工学研修セミナー会場前情宣
7月29日、学研のイベント=教育工学研修中央セミナーに対する抗議情宣行動を行いました。会場の大井町きゅりあん前に9時20分に登場。旗・横断幕を設営し、ビラ配布、マイク情宣を始めようかという段階で、50メートル程離れた大井町東口付近に警視庁公安2課と大井署の私服5名が姿を見せました。労働争議への不当な介入の態度です。
このイベントの主催は学研の別組織=才能開発教育研究財団、教育工学研究協議会、後援に文部科学省、品川区教育員会等が名を連ねています。我々は公安の監視を尻目に参加した小中学校の教員や通行人にビラを配布、マイクを通しても、争議を抱え、相次ぐ不祥事=英会話教室での悪徳セールス、ボランティア用語辞典回収事件、著作権侵害事件をひき起こし、 今期黒字復配となっても7年連続赤字時の問題体質が変わっていない、教育出版社の看板の実態がひどいものであることなどを訴えました。参加者の多くがビラを受け取り、通行人も含め、300枚近くがはけました。
9・22秋季第1波、学研社前闘争を展開
                                         報告 次号で

<連帯・共闘>

9・30品川臨職闘争庁舎前集会・デモへ!
 品川区役所の臨時職員佐久間さん解雇撤回闘争に対して、昨年11月に出された東京地労委命令は、区の学童保育クラブで働いていた佐久間さんに臨職要綱と地公法22条を適用してきた当局の雇用の違法・脱法性を示唆し、「労組法適用の単純労務職員である」佐久間さんの問題について区は東京南部労組との団体交渉に応じる義務があることを認定しました。「雇用期限切れ」を口実とした解雇の根拠も崩れたわけですが、命令は一方で解雇から本件申立まで20年以上経過しており、解雇問題についての団交拒否については妥当な申立期間を過ぎているとして、主文においては「棄却」とする不当なものでした。品川臨職共闘としての交渉期間も有する争議実態を無視し、地域合同労組がその後結成されるまでには多くの困難と時間を要した事情を考慮することなく形式的に時間が経って証拠も散逸している等の当局の団交拒否理由を受け入れるという到底認め難い判断です。現在、再審査申立を行った中労委で調査が行われ、近々審問に入ります。9月30日は、佐久間さんが解雇された日です。夜6時15分から品川区庁舎前で抗議集会を行い、7時30分からは区長宅に向けてデモを行います。地域の共闘組織である南部地区労働者交流会の集中闘争として、共に闘います。参加を呼び掛けます。
10・1全争議団闘争勝利総決起集会、
       10・19争団連統一行動へ!
                    近年、裁判所が経営のリストラ解雇等を容認し、労働委員会が労働者の団結権擁護機関としての役割を放棄し、労組への救済命令の率を大きく低下させていますが、その中でもこうした流れに抗していくつかの争議団が勝利判決・勝利命令をかち取っています。
 全逓4・28連絡会は、東京高裁で「79年の4月28日に行った郵政当局が行った全逓組合員への懲戒免職処分の取り消しと無効」を命じる逆転勝訴の判決をかち取りました(6/30)。また、主に東大構内で空調施設等の制作・保守などを行ってきた土木会社渡辺工業に対し、また調布市の自然食品の販売会社「大地」に対し、東京地労委は、共に解雇撤回・原職復帰、そして謝罪文・反省文の掲示を命じる命令を出しました(8/25)。いずれも連帯労組に加盟する仲間への不当な解雇であることが認められたのです。
 これを踏まえ、10月19日には、全都の争議団の集まりである争議団連絡会議の統一行動として、大地市川センター(8時市川塩浜駅改札〜10時15分)→ 大崎郵便局前(11時30分〜13時)→ 渡辺工業本社(14時15分〜16時)の3現場を貫く統一行動を展開します。
また、これに先立ち争団連は、10月1日、午後6時半から全争議団闘争勝利総決起集会を文京区民センター(都営地下鉄春日駅0分、地下鉄後楽園駅5分)で開催します。