学研経営は6・29株主総会で
誠意ある回答を行うよう求める!

 私たちは、6月29日の学研の株主総会で経営陣の責任を追及すべく以下の内容の質問書を送付しました。毎回、質問に正面から答えようとしないまま、強引な議事進行で逃げてしまう無責任な姿勢が続いていますが、それでは現状の学研は変わりません。今年は会社の誠意ある回答を求めるものです。
                        通 知 書

 私たちは、貴社の第58回定時株主総会において、以下の点について質問権を行使しますので、あらかじめ通知します。

1、東京ふじせ企画労組との労働争議について
1)業務総引き上げ=会社倒産・全員解雇の争議責任について
   貴社は、1977年12月、当時貴社の「○年の学習」、「○年の科学」、「マイコーチ」等の委託編集業務を行っていた東京ふじせ企画において労働組合が結成されたことを知るや、直ちに委託業務を総引き上げし、東京ふじせ企画経営者らに組合潰しの方策などを示し、さらに組合解散工作に失敗すると同社を倒産に追い込み、労組員を含む35名の労働者を解雇状態に至らしめた。これにより貴社と東京ふじせ企画労組の間の争議が起き、既に四半世紀を越えている。 
   03年3月に最高裁決定が出たが、あれから1年以上経過し、経営陣の思惑どおり、「ふじせ問題は終わった」とはなっていない。最高裁まで至る行政訴訟では、不当にも使用者性に基づく団交応諾義務が免罪された。これまで第三者機関においては、東京ふじせ企画破産管財人が学研を相手に提訴した損害賠償請求について、85年10月、東京地裁が学研の争議責任及び使用者責任を正しく認定する判決を下している。裁判所では相矛盾する2つの判決が出されたことになる。
   学研は、形式的に使用者性がないと強弁することで、一切の解決交渉を拒んできた。もとより私たちは、学研が倒産攻撃を仕掛け、労組員・非組合員を問わず、全員の雇用と生活を奪った責任を追及しており、労組法上の不当労働行為の責任はその一部にすぎない。学研がふじせ企画を倒産させて労働者の雇用を奪った責任は否定しようのない事実である。争議は、実体的にはもちろんのこと、法的争いの余地としても継続することが明白となっている。それは最終的には会社と労組が話し合いでの自主的な合意を形成しなければ解決には至らない。
   学研が解決を拒むことにより、あらゆる領域で争議は展開されている。インデックスのような提携先にも申し入れが行われている。インデックスは学研と異なり約1時間にわたり東京ふじせ企画労組との話し合いに応じて、「学研とふじせ労組の問題については解決が図られることが望ましい」旨の応答をしている。
  会社が、経営事項ではないという言い逃れはできず、争議を抱えた問題企業としてイメージが悪化したまま、払拭できていない。何故、学研の経営陣は話し合いの場に出て来て、問題を解決しようとしないのか。すべて問題先送りをしているだけではないか?この点について見解を示されたい。
  
2、労務政策等について
1)IDカード導入について
   導入の理由は何か?このシステムにいくら投資し、どの程度経費の削減になったのか。
  また、このシステムにおいては、遅刻時間の扱い、そして残業費等の算定の方式はどうな
  っているのか。それは労働者との間に問題が生じていないか、その内容と対処方針を示さ
  れよ。また、そもそもこのシステムは社員にその諾否を確認して導入したものなのか明ら
  かにされたい。

2)退職金制度改訂について
   退職金支給制度を改め、ポイント制が導入されようとしていると聞くが、これはどういう意
  図によるものか?
   今年も退職監査役に慰労金が支給される。問題の多い決算にチェックと情報開示を行わ
  せることができたのか名指しで批判されてきた監査役も含まれている。退職役員らには機
  械的に「報酬の後払い」と称して慰労金が出され、労働者には成果給・成績主義が徹底さ
  れようとしているのは理不尽な話だ。

3)02年12月からのニューライフサポート制度(転職奨励制度)の適用実績はどうだったの
  か?
   具体的に示されたい。

4)厚生年金基金の代行返上について
   02年12月に将来分について厚生労働省より返上の認可を受けたとしているが、今後、
  全体として経営にとっての数字、そして従業員にとっての損益は、どのような結果になるの
  か、明らかにされたい。

5)コンプライアンス実施について
   昨年の総会で問題点が指摘されたコンプライアンスプログラムは、進行しているのか?

3、相次ぐ不祥事について
1)ボランティア用語辞典回収事件について経緯と会社の対処姿勢を説明されよ

2)著作権侵害事件について
   松谷みよ子氏らの訴えている「盗作絵本」問題について見解を示されよ。また裁判の現状
  はどうなっているのか?
   川崎洋氏らに提訴された電子教材の著作権侵害事件について、見解を示されたい。開発
  優先のCAIスクールでのトラブル放置が今回につながった構造的問題と言えるのではない
  か?

3)不祥事の背景にある学研の体質について
   これまでも、GICでのセクハラ解雇事件、GSMやGICでの悪徳キャッチセールス事件、等
  の不祥事が噴出し たが、その背景として学研経営の驕り体質と腐敗・荒廃が指摘されて
  きた。反省の弁はないのか。また杜撰としかいいようがない出版物の発刊は、労働者への
  犠牲強要、即ち人員削減と残された者の労働強化で現場にしわ寄せが行き、無理な制作
  体制になっていることの現れではないか。
   また、これらについて一度も責任を認めて謝罪するなどの姿勢を示したことがなく、わずか
  にボランティア用語辞典で大阪ボランティア協会からの批判が波紋を呼んでから回収を行っ
  ている他は、問題を解決しようとする姿勢が見られない。
   ふじせ問題への対応と同様で、非常に無責任な企業と言われても仕方がない。
   経営の誠意ある姿勢を示してもらいたい。

4、財務諸表に関して
1)黒字復配の実態について
    今期も、第57期に続いて黒字決算となり、今期は7期ぶりに配当も出した。
   しかし、売上げの低下に歯止めはかかっておらず、営業利益も目標と予想を下回り(前期
   16・5億→14・6億 円)本業は伸び悩んでいると言える。経常利益も微増にとどまってい
   る(12・4億→12・8億円)。黒字は経費削減等によるものが大であり、社長自ら認めてい
   るように収益基盤が確立してはいない。
 
(イ)中間決算赤字と58期下期の売上げ実態について
   中間決算の赤字が毎期続く理由は何か?
    会社は業績が下期型であることを強調している。上期に比べ売上げ比が10%くらい高
    いのは事実であるがそれは2桁の中間赤字の説明にはならない。
     売上げ755億円に対し売掛金236億円、貸し倒れ引当金1・7億円となっているが、
    58期の返品率と59期の返品率見込みはどれ程か?また、資産合計689億円のうち
    製品・商品等が140億円となっているが、不良在庫が増えているのではないか、実態
    を示されよ。
     今年は特に下期の売上げが約56%をしめているが、年度末にかけて駆け込みで制
    作したムック本等と、元来新年度向けの教材・参考書等があり、社長が今期「非常事態
    宣言」を発し、号令をかけて目標必達を図ったのは、前者による部分が大であろう。これ
    らは委託販売制度の下で、売上げと利益計上に与っていると思われるが、毎回質問して
    も実売が明らかでない。例えば大型企画とうたった「週間神社紀行」は「手堅い結果を残
    した」と営業報告書で記載されたが、利益はゼロだったと聞く。
     在庫のうち返品でもはや紙くず同然のものが何割くらい累積しているのか?

(ロ)赤字子会社・不振子会社の実態について
   ・93億円の各子会社への貸し付け金の内訳はいくらか?
     前期で56億円あったGSMをはじめ、債権は回収見込みがあるのか?
   ・学研スクールマネジメント、GICは清算か再建か明確ではない。特に悪徳セールスが
    たたって教室が全廃となったGSMは、昨年「解散の方向」と回答があったが、何故1年
    経過しても清算しないのか。
     貸し倒れ引当金繰入損等、子会社関連損失5億1千万円と計上されているが、清算し
    て巨額の赤字子会社関連損失を計上する体力はなく、ここでも問題を先送りしているだ
    けなのか、明らかにされよ。
   ・学研クレジットは今期も業績が低下した。GIC、GSMの「悪徳セールス」と言われた問題
    が尾を引いているものではないのか?

(ハ)「コスト削減」の内容に関連して
     2期連続黒字化は、販売費・一般管理費の、56期293億、57期261億、58期252
    億円に見られる相次ぐコスト削減によるところ大であるが、この内訳、特に人件費の今
    期削減の実態を示されたい。
     従業員給料手当から退職給付に至る人件費にかかわる経費は、56期は79億、57
    期は66億円だが、58期はどうか?

2)減損会計適用と西五反田の用地について
     減損会計適用義務は06年3月からだが、本社移転用地として購入した品川区西五反
    田の土地につき、前倒し適用を行わないのか?遠藤社長の本社社屋建設についての
    発言は、これと関連するものなのか明らかにされたい。
     簿価約80億円で計上しているが、時価は相当程度下落しており、適用必至となるだろ
    うが、前倒し適用する経営体力がないということか。
    学研ライフ1月号での遠藤社長発言は、本社建設費100億、ビル完成・使用まで3年と
    の内容!

5、議案に関連して
1)第2号議案について
     定款第2条に加える新しい事業目的に対応した新規事業として、どのようなものを考え
    ているのか?

(2)資本準備金の取り崩しについて
      3号議案にある資本準備金取り崩しは、資本の欠損補填以外の目的によるもののよ
    うだが、手続き的に瑕疵はないのか?
  

                                                 以 上
 6・29株主総会の詳報については、「パルス」7月号で掲載します。
  皆さんのご要望が強いので、なるべく早く発刊したいと思います。