学研、3月決算発表
6・29株主総会で追及するぞ!!

 5月21日、学研は3月決算(第58期)の発表を行いました。売上高755億円(連結で995億円)、経常利益は12億8千万円(同23億円)、純利益10億4千万円(同13億9千万円)で、4月19日の業績予想の上方修正の発表どおりでしたが、明らかにされていなかった営業利益は、前期16億5千万円から今期14億6千万円と約11%の落ち込みでした。また、前号でも指摘したように、会社が期末にかけて、必死で売上げ増を図ったにもかかわらず、売上高は前期より23億円(連結で42億円)の落ち込みで、これは修正前の見通しよりもさらに10億円の落ち込みとなっています。リストラ=労働者への犠牲強要等によるコスト削減と投資有価証券の売却益により、10億の最終利益を出したわけですが、遠藤社長が部長会(4/19)での発言で「収益基盤が確立されたわけではない。」と自ら認めているように依然厳しい実態にあります。「59期の課題は・・売上げの拡大により十分な営業利益を出すことである」という社長の言葉もこの10年以上売上げが増大したことなどない現状からは空しく響くばかりです。
職場の不満の増大に、さすがに今春はベア1000円、ボーナス夏・冬で昨年より0・4ヶ月アップと賃下げを改め、従組からも申し入れがあった不評のIDカードシステムを少し改善(遅刻等が30分単位から15分単位で計算、立ち寄り・不帰等の届け出の簡素化など)したものの、会社に都合の良い残業時間の算定方法は維持しているなど、現場のモチベーションは上がるはずもない状態です。 
 部門別実績の面でも、経営内部では、家庭学習(8・8億)、文教事業(4・6億)、デジタルコンテンツ(6・7億)の各赤字が問題になっているようです。
 因みに、ベネッセは、連結で売上高2601億4千万円(前期比0・7%増)、営業利益207億円(26・9%)、純利益93億9千万円(34・7%)、小学館は微減収大幅増益の決算で2月期決算は前期比1・1%減の1502億5600万円、経常利益は39億5800万円(前期比145・2%増)、当期利益は17億8700万円。角川ホールディングスは、増収増益の決算で、3月期連結決算は、売上高は前年比3・2%増の916億1400万円、経常利益は同43・7%増の52億3000万円、当期純利益は同62・1%増の23億0400万円となったようです。ここは文庫・コミックスの売上げが順調で、映画公開、DVD、ビデオの販売や権利ビジネスが好調だったことが主な要因、と方向がはっきり出ています。
7年連続マイナス成長の出版業界で、大手版元は減収決算をリストラで増益にというところが多く、労働者への犠牲強要による問題の多い決算ですが、それでも上記のように堅調なところと学研の違いは明白です。
 6月29日、学研第3ビル(東急目黒線「不動前」駅5分)の株主総会では学研の本当の現状とふじせ争議等の懸案未解決の問題体質ぶりにつき、追及が行われることになるでしょう。私たちも例年どおり、会場内外での株主総会闘争を展開していくつもりです。関係者をはじめ、皆さんの参加を呼び掛けます。総会は10時から。
電子教材は著作権侵害として
  学研相手に作家らが差し止め請求

 
6月3日の読売新聞夕刊、4日の朝日新聞朝刊等で報じられたところによると、学習研究社が全国展開するフランチャイズ方式の学習塾=学研CAIスクールが、小中学生向けの電子教材で文学作品を無断使用し、著作権を侵害したとして、著者の作家らが3日、学研と教材の委託製作・販売業者を相手取り、教材の使用差し止めなどを求める仮処分を東京地裁に申し立てた、とのことです。
 仮処分を申し立てたのは、児童文学者の宮川ひろさん、詩人の川崎洋さん、故壺井栄さんの著作権継承者の3人。申立を支援している日本ビジュアル著作権協会によると、 学研側は、3人の作品や、作品を題材にしたテスト問題を無断でサーバーに記録し、フランチャイズ方式で全国約300か所に開設した学習塾「学研CAIスクール」で利用させている、 という。そして、スクールに、サーバーを数百万円で販売したり、月額約10万円で貸し出し、数万人の児童・生徒に自由に使用させ、著作権を侵害していると主張しています。 著作権法で著者側の許諾なしに使用が認められるのは、教科書と、秘密保持の必要がある「試験または検定」だけですが、申し立ては、学研の国語教材に、教科書や入試問題から作品を“孫引き”した部分があるとも指摘しています。
 読売新聞社会部(田中 史生記者)によると、「電子教材について、著作権侵害が問われるのは初めて。教材のペーパーレス化が進む中で、司法判断が注目される。・・・・。詩人の谷川俊太郎さんらが小学校副教材の出版社を相手取った訴訟で、東京地裁が昨年、1億1000万円の賠償を命じるなど、市販の教材などへの無断使用は著作権侵害との司法判断が、地裁レベルでは定着しつつある。・・電子教材は、紙の書籍などに比べ、外部からのチェックが難しいうえ、印刷やコピーが容易なため、著作権侵害の恐れが大きい。インターネットなどを通じ、塾や予備校から離れた自宅などで教材を利用できるeラーニング(電子学習)も、2006年には市場規模が現在の2倍近い1000億円を超えると見込まれる分野だ。・・それだけに、安易な教材作成が行われていないか、業界は申し立てを機に自ら検証するべきだ。」としています。
 今年3月に童話作家の松谷みよ子さんから「盗作絵本」制作として訴えられたばかりの学研ですが、今回も開き直るのかどうか、注目されます。
5・11社前行動は争議説明会に!?
  −就職学生にビラ配布−

 5月11日に学研本社前抗議行動を行いました。ちょうどこの日は、会社説明会の日にあたり、リクルートスーツの学生さんたちが来社し、彼らに争議を抱えた学研の実態を知らせる情宣を行いました。この日は、私たちの社前登場と同時に会社が鉄柵を閉めて、人一人通れる隙間を開けてガードマンを配置、いつもながらの対応で私たちを受付にも通さない構えでした。ちょうど、東側構内でタレントのおさるさんがTV録画中でした。正面口だけでなく長原口でもビラ配布の態勢をしき、マイクでの情宣行動を行いました。就職学生たちのビラ受け取りは良く、質問をしてきて、「今日来て、こういう情報を得られ良かった」「頑張ってください」と激励してくれる学生もいました。そういえば、かの「おさる」氏も、帰りにしっかりビラを受け取っていってくれました。
5・23遠藤社長宅へ抗議・団交申し入れ
 5月23日の日曜日の午後、横浜の大岡にある遠藤学研社長宅への抗議・申し入れ行動を行いました。申し入れには電話口で夫人が応対しました。いつもの返事で「出かけています」ということなので、「昨日からですか?」と聞くと、やや間を置いて「ええ」と居留守対応を感じさせる答えでした。結集してくれた仲間が地域にビラ各戸配布を行い、マイク情宣を当該が開始しました。教育社労組、4・28連絡会と、争議団の連帯発言も受け、支援共闘会議からも団交拒否・面会拒否の遠藤社長に向けて指弾の声をあげました。
 遠藤さんに対しては、99年1月に初めて申入書を送付し、学研が引き起こしたふじせ争議を役員の一人として解決するように訴えました。5年前の申し入れに応えることなく、遠藤さんら経営陣が問題を先送りしただけの結果はより事態の深刻化を招き、その後社長となった遠藤さん自身の肩に重くのしかかっています。学研が行った労組弾圧の下請会社潰しの事実から眼をそらし、その責任を取ることなく卑怯な逃げ回りを続ける限り、争議はどこまでもついてまわります。これまでも訴えてきましたが、経営としても賢明な選択をして、爽やかな解決の日を迎えるように決断すべきです。

 5・11学研本社前=就職学生にビラ配布        5・23遠藤社長宅へ抗議・申し入れ
 

出版・地域・争議団、各共闘報告
 自衛隊のイラク派兵、有事7法案上程下での治安弾圧激化、そして今春の国会では、ドタバタ劇の末の年金制度改悪法案強行可決、労組法改悪案上程・労働委員会解体攻撃等が進められ、職場ではリストラ・新賃金制度導入・労組解体等が一体化して進行しています。ますます生きにくい、暮らしにくい世の中になっていますが、様々な場と領域で頑張って闘っている人々もいます。連帯・共闘を深めていきたいと考えています。
<出版> 出版関連労組交流会議は、4月の春季集会を受け、各職場で春闘以降の攻防を展開している労組の闘いと交流・連帯を深め、また教育社闘争、等の重要局面の争議の
内容を共有し、現場に集中していくことを確認しています。
 6月10日には6年連続賃下げ回答、さらに夏季一時金でも大幅な切り下げ攻撃を仕掛け、また58歳以降の賃下げ提案をふりかざしている(こちらは現在組合の社前行動等で阻止している)廣川書店経営に抗議し労組の社前昼集会が開催されます。また、6月22日午後7時からは、マガジンハウス7階A会議室で、平凡出版労組とダイヤモンド社労組の交流会が行われます。マガジンハウス(平凡出版労組)での「36協定と時間外賃金」について、またダイヤモンド社の「高塚新体制」につき、報告・交流・討論を行います。出版関連労組交流会議の各労組・争議団も参加し共に考え、闘っていくつもりです。
<地域> 
 「発信25時」南部交流会のページ参照

<争議団、全都・全国>
 「発信25時」争議団連絡会議のページ参照