争議解決抜きに2004年の学研など語れない!
 学研および関連の皆さん!波乱の予感に満ちた2004年がスタートしています。学研関係者にとっては、企業環境の厳しさに加えて、学研自体が無責任経営のつけをしゃにむに労働者に押しつける中で、ゆとりも創造的な雰囲気もない、不満の内向する職場の状況が一層ひどくなる年となりそうです。
3月決算を前に、焦る学研経営が課す
         滅茶苦茶なノルマと経費削減

会社は3月決算を控え、形だけでも黒字にし、無配続きに不満爆発の株主への配当を至上命題にしていることは、既に報告しましたが、そのために、売上でどんな数字合わせをやってでも「黒字化」を図ろうとしています。事業計画達成のため編集長クラスを中心に労働強化が進行しています。雑誌部門では、1月〜3月までの間にムックを5冊も出すように言われている社員もいるとか。既に発刊されたムックの増刷や内容をよく検討しない企画の刊行も行われている、というから、「ボランティア用語辞典」の二の舞にならなければよいがと思ってしまいます。

 また、会社は経費削減にも必死になっており、「病的なダイエット」だと酷評する声も聞かれます。いま、焦点となっているのは、厚生年金基金の代行返上、退職金ポイント制の導入、IDカードの導入(既に実施)です。4月から導入予定の退職金制度の変更は、従来の「基本給×勤続年数を元にした数値」から、「累積職能ポイント×ポイント単価」+「累積勤続ポイント×ポイント単価」にするもの。1ポイント単価=10000円とされているが、これは業績や社会情勢によって変動する数値で、退職金算定法を基本給と無関係にし、年俸制導入を考えているようです。IDカードの導入では、定時外の出退勤が「遅刻」「早退」として出てしまうため、「直行届け」「直帰届け」「超勤届け」など、一日にいくつもの届けを出さなければならないようです。年末におよそ不親切なマニュアルだけが配布され、1月8日までにパソコンで作業するということになり、大混乱が起き、人事部に苦情が殺到しました。五反田の編集部では、「24時間フリー」ということで「遅刻」「早退」の表示はされないようになったとか。現在もマニュアルを改訂中で、方式が定まらず混乱は続きそうです。
 遠藤社長は学研ライフ新年号の年頭所感で、昨年のこの時期と同様に、「残る四半期が勝負。できる施策は全て実行を」と焦燥をあらわにして号令しています。学研Valeu実現へ、全ての価値の基軸は世の中に置く、と相変わらずわけのわからないことを言っていますが、世の中をどう捉え、何を発信していくのか、出版社の最高責任者として何も提起していません(因みに労働者を取り巻く世の中は、後述のようになっていますが)。そして、「復配実現から新本社ビルの計画へと」夢を語り、建設費100億をかけて着工から移転まで3年を要するが、「全社一場所」のメリットは大きいとしているのですが、抱えている課題が多すぎて、夢は夢のまま先延ばしされていきそうです。ふじせ労組は五反田の「新社屋予定地」の隣で、学研より先に20年以上も前から拠点を据えていますが、吸い寄せられるように土地を購入した学研のなかなか実現しない移転には待ちくたびれてしまいました(笑)。そして、遠藤社長の言うような社員の自己実現の場としての会社になど、学研がなり得ないことは明らかです。足下の懸案も解決できずにほらを吹いていないで、遠藤さんは、ふじせ争議解決を決断すべきです。12月25日の本社前行動でも、私たちの申し入れに出社してきた細野、小林、大田、富樫、安田、中山、の各取締役は見苦しく狼狽し、社内に逃げ込むだけのなさけない姿をさらけだしました。これが現在の学研経営の姿です。
経営の犠牲強要攻撃と対峙する抵抗ラインを築こう!
 「04春闘」を前にして、日本経団連は、12月16日の「経営労働政策委員会報告」で、「年功型賃金は相対的に中高年層の賃金水準を高め、円滑な労働移動の妨げ」として成果主義型賃金制度への切り替えを提唱した上で、「一律的なベースアップは論外。賃金制度見直しによる定期昇給の廃止・縮小、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象となりうる」と主張している。「定昇凍結」を打ち出した「03春闘」からさらに踏み込んで、「降給」を含めた賃金制度検討の必要性を訴えています。
 こうした経営側の「賃下げ春闘」の構えに対し、3年連続でベアにつき統一要求を見送ってきた「連合」は、「賃金の抑制・切り下げは国内経済を縮小させる」との理由で反発を示しているものの、春期総合生活改善闘争方針の中では、「賃金」よりも働き方を問題にするとして、過労死問題や時短やワークシェアリング等を取り上げています。労働者の置かれている状況総体を問題にするのは当然であるが、日本経団連報告に現れている資本の賃下げの攻撃的性格を見誤って、経済成長論や成果配分の要求を対置している限り、労働者への徹底した分断と企業論理に取り込まれていくものでしかない。こうした中、賃下げを行った企業の割合が過去最高(7・2%)となり、年功型賃金の廃止、成果給・業績連動型賞与等の導入、廃止を含む退職金制度の改悪等が進行、リストラ解雇と共に職場に置かれた労働者の労働強化、過酷な競争と選別の激化で精神的・肉体的生活破壊は極限にまで達しています。
 労働者を守ることができない労働運動の大勢の状況と資本のリストラ・不安定雇用の増大の中、03年6月末現在の労働組合の組織率は19・6%と、ついに47年の調査開始以来、初めて2割を切りました。
労働者への攻撃、労働運動解体攻撃の背景には、日本のみならず全世界的な資本ー国家の動向を促しているグローバリゼーションの進展と戦争・治安弾圧の激化が存在しています。21世紀初頭の資本主義は、グローバル化とIT化と「金融革命」を指標とした大変化を迎えている。2世紀に渡った産業資本主義の拡大は、大量生産ー大量消費を実現する工場システムと農村における過剰人口(産業予備軍)を基盤においた賃金抑制構造に立った利潤創出の基盤を消尽し、これまでのような高度成長を実現できなくなりました。機械や設備を持っているだけでは利益を上げられなくなり、資本は情報技術を媒介に全世界に少しでも有利な、わずかな利幅でも投資先を求めて、さまよい、国家や言語・文化等の伝統的な差異に仕切られてきた生産者をもグローバルな市場に投げ出し、世界的な標準化と新たな差異性の必死な創出をかけて激烈な生存競争を開始せざるを得なくなったのです。私たちの相対している経営者、企業の姿を見ても、これまでのような利益をあげられなくなり、当事者能力をなくし、経営危機を迎えている会社も少なくない状況です。こうした中で、21世紀の世界は、競争と経済格差の増大、新たな収奪対象の創出等、新自由主義と言われる資本の労働者・民衆への犠牲強要策の下で、階級階層・民族・宗教等の対立と矛盾の激化、戦争と衝突がひき起こされ、こうした世界的な経済・社会の破綻と亀裂に対し、支配の側の治安管理の強化がごり押しされています。「失われた10年間」と表現されているバブル崩壊の後遺症や政策の混迷の中で拍車がかかったが、日本の資本主義の長期不況もこうした産業資本主義の停滞の中にとどまってきたことと深く結びついています。世界の資本・国家の動向への「立ち後れ」を挽回しようと日本の支配層の労働者・民衆への攻撃が相次いでいます。
小泉内閣は、国民への「痛み」の強要はあっても改革も景気建て直しも不可能なその実態と批判のポーズを取ってきた当の自民党の旧来体質そのものであることを露呈している。小泉内閣は米英のイラク戦争突入への国際的・国内的批判の声の高まりの中でも、日米同盟を優先し米国の軍事侵略を断固支持することを公言してはばからず、これに朝鮮半島有事を直結させ、偵察衛生の打ち上げ、米国ミサイル防衛への参加、米韓との軍事一体化等を打ち出し、新保守主義の米国ブッシュとの同盟でイラク戦争に荷担、ついに戦場への自衛隊派遣を行い、地獄の泥沼へ突進しようとしています。また、新自由主義的「構造改革」路線による経済危機突破策が破綻しつつあるにもかかわらず、日本の政府・支配層はこれをしゃにむに進めて、資本・国家の延命を図り、労働者・民衆への一層の犠牲強要策を強めている。規制緩和の名の下に市場原理主義的な社会再編を、郵政事業等の民営化、医療・福祉・教育制度の改悪・競争原理導入、構造改革・規制改革特区創設、等々により押し進めようとしています。
 弱肉強食の切り捨て型市場原理主義は、社会不安と生活破壊を増大させ、労働者民衆の抵抗を生まずにはおきません。このような世の中は決して私たちの求めるものではありえません。
 私たちは、全都・全国の仲間たちと共に自分たちの力で闘いをつくり上げ、ここまでやってきました。その真価を発揮するべき時代状況が目前に存在しています。2004年さらに多くの皆さんと共に飛躍をかち取っていきたい、と考えています。
倒産・解雇攻撃粉砕!業務再開ー解雇撤回!
1・30学研経営糾弾五反田デモへ!!

 下請け労組潰しを狙った学研の業務総引き上げ=倒産・解雇攻撃と闘うふじせ闘争はこの1月で26周年を迎えます。この一年間の攻防は、依然として危機的な状況から脱却できない学研経営に争議解決以外に選択肢はないことを迫る私たちの追撃の攻勢と、労働者への犠牲強要と争議責任開き直りで生き残りを図る学研経営の防戦策が激しく火花を散らすものとなりました。

最高裁決定をはね返し、現場から学研の争議責任追及闘争を強化・拡大した03年の闘い
昨年3月、79年からの地労委審問以来争ってきた学研の使用者性判断をめぐる争いで最高裁が不当な棄却決定を出しました。私たちが具体的な証拠と最高裁判例(朝日放送事件)に照らして、学研が東京ふじせ企画労働者の実態上の使用者に当たり、ふじせ労組との団体交渉に応じる等の義務があることを主張してきた点にまともな検討すらせずに形式的に学研の使用者性を否定する行政訴訟での地裁・高裁判決が出され、確定に至りました。これを受け、学研経営は「ふじせ問題は終わった」との通達を社内に流し、争議消滅に期待をかけました。
 しかし、そうした思惑をはね返し、あらゆる領域からふじせの反転攻勢は展開されました。この最高裁決定が東京ふじせ破産管財人が提訴した損害賠償訴訟の判決(85年)での明確な学研の業務引き上げ=組合潰しと学研の使用者責任の認定にも反する不当な判断であること、学研が倒産攻撃を仕掛け、労組員・非組合員を問わず、全員の雇用と生活を奪った争議責任に対し、労組法上の不当労働行為の責任はその一部であり、争議は続くこと等の判決批判を行いました。また、3月決算での8年ぶりの黒字化の実態が130人のリストラ等、労働者への犠牲強要の上にあり、学研の危機は去っていない現状と争議や赤字子会社の悪徳商法等に現れている問題体質を改めず、おし隠して逃げ切ることはできないことを突きつけながら、株主総会闘争、夏から秋年末の社前闘争での出社役員一人ひとりへの追及の強化、横浜の遠藤社長宅闘争、各種イベント闘争、学研の延命戦略である提携先への申し入れ行動、学研および関連へのビラ・インターネット上の情宣等々を打ち抜きました。
リストラ=労働者への犠牲強要策の歪みが顕著に!
 9月の学研の中間決算は16億円の赤字となり、今春の本決算が再び赤字転落必至となり、遠藤社長が「非常事態」宣言を発し、経費削減と新規事業での学研ブランド復権による経営危機と争議からの逃亡・延命を図っています。だが、このかんの犠牲強要策の歪みが顕著になり、長時間残業につき労基署から厳しく指導が入る、リストラで残った労働者への労働強化は業務体制にも影響が生じて「ボランティア用語辞典」の6割が記述に問題があると大阪ボランティア協会から指摘を受け、回収・絶版にする等の事態が起きています。争議を抱え、職場・現場の士気の低下と労働者の不満の極大化も進んでいるのです。
争議解決の決断を迫る2004年の闘いへ!五反田デモへ!
 04年、学研経営に残された道は争議解決しかないことをさらに強く示し、解決の決断を迫る闘いの大きな第一弾として、26周年学研糾弾デモを闘い抜きます。今年は、各雑誌編集部や広告・宣伝部が本社から移転し集まっており、「本社移転予定地」も存在している五反田地域でのデモを行います。
   1月30日(金)
             午後6時15分〜集会         7時30分〜五反田地域デモ
              大崎第一区民集会所