不当なネット記事削除仮処分
間接強制決定に抗議する!
2014年2月5日
さる2013年12月27日、東京地裁民事9部福島政幸裁判長、内田哲也裁判官、野村昌也裁判官は、株式会社学研ホールディングス及び同学研ココファンの申請を認め、「投稿記事削除仮処分決定」を出した。これに基づき学研HDらは、本年1月8日に「ネット記事削除仮処分決定に従わない時は一日につき金10万円を支払え」という間接強制の申請を行い、東京地裁民事21部は書面審尋のみで、2月5日、申請どおりの不当な間接強制決定を出した。本件仮処分は、訴訟指揮の点でも、決定の内容においても極めて問題の多いものである。私たちは株式会社学研ホールディングスと学研ココファンの争議圧殺の攻撃、そしてこれに加担して労働組合の言論を禁圧する不当な決定を出した東京地裁民事9部と福島政幸裁判長、東京地裁民事9部に対して怒りを込めて抗議する。
この仮処分申請は、学研の下請け労組潰しの争議責任を追及している私たち東京ふじせ企画労組とふじせ闘争支援共闘会議が、学研ココファンが運営するサービス付き高齢者住宅の一つである千葉市のココファンあすみが丘においてその運営や処遇をめぐって居住者の方々が上げた声を組合のビラで取り上げ、さらにそれをウエブサイトに転載したものにつき、「名誉毀損」だとしてネット記事の削除を求めた事件である。組合のビラとネット記事は、2012年9月から出しているものであるが、2013年6月になって学研ホールディングスと学研ココファンは、これらを名誉毀損として総計1320万円の損害賠償訴訟を提起し、すでにその本訴が進行中であり、その中にも同じ対象・同じ内容のネット記事の削除請求が含まれている。
(1)呼出し期日について
この仮処分申請は11月18日付で行われているが、「申立書」が裁判所から届いたのは、12月11日で、しかも呼出し期日は12月19日と、「債務者」側に十分な反論準備もさせない設定自体がまず公正さを欠いていた。
(2)一方に偏した訴訟指揮について
仮処分の審尋が行われた503号法廷は円卓の法廷で、傍聴席もあるのに民事9部福島政幸裁判長は、審尋に代理人の他は組織の代表のみとして、債務者とされている支援共闘会議のメンバーらを参加させなかった。適正な 参加人数も事前に伝えていたのに、傍聴さえさせなかった。冒頭で代理人が傍聴を求めると、「従わなければ、すぐ打ち切ってもいいのですよ」と強引に審尋を進行させた。
また、本案訴訟で争っている事案につき、いま何故仮処分なのか、その必要性・緊急性については全く根拠も示されていない申請についての不備があり、特に申請人が主張する損害被害と出されている証拠に大きな齟齬があることについて釈明を求めたい、それを受けてから、私たちも次回にかけて主張と未提出の証拠を出したい、本案訴訟との関係に於いても慎重に丁寧な審理を行うべきであること等を述べた。
しかし、福島裁判長は、求釈明に答えられない申請人代理人をかばうように「釈明の必要はない」と言い放ち、「審尋は今日で結審とする。さらに主張があるなら今日中に提出せよ」と述べ、組合側代理人が「そんな ことは不可能だ」と答えると、「では明日までに出すように。審尋は今日で終わりにする」と、わずか一回で 打ち切ってしまい、それから一週間余の12月27日に不当な決定を出した。
(3)労働基本権につき一顧だにしない、始めに結論ありきの不当な決定
本年1月6日に送られてきた仮処分決定は、なんら理由が付されていず、ただ申請人の請求をそのまま認め、名誉毀損部分とされている文言につき、「削除せよ」としているものだ。公正・正当な判断理由など示せず、はじめに結論ありきの内容と受け止めるほかない。双方の主張、証拠を精査すれば、拙速にこんな決定が出されるはずがない。
私たちは「本訴で争っている中での不当な仮処分申請であり、本案の審理を損ねるものであること、ビラとウエブサイトの記載は真実であり、また学研ココファンのユーザーと結んだ組合の正当な情宣行動であること、申請人が問題にしているビラは過去の組合のニュースで今は配布されておらず、ネット記事もバックナンバーの倉庫にあ り、繰り返し前面に出されてもいないもので仮処分による緊急な保全の必要性もないこと」等を指摘した準備書面と答弁書を出し、争議の正当性を示す過去の裁判の判決、名誉毀損などではなく事実である証拠としてココファンあすみが丘居住者の意見書、等の書面も提出した。当該労組委員長も争議の経過やあすみが丘についてのネット記事は居住者の方々からの相談を受け、事実確認をし、そのチェックを受けて、ビラの他に株主総会の質問でも取り上げてきた否定しがたい真実である事等を陳述した。
特に学研側から出されたあすみが丘の居住率の推移(居住者が問題にした時期のものは外して、その後改善され ているもの)等の証拠と主張している現在の損害被害に明らかに齟齬が生じており、仮処分申請の根拠が全くない ことを逆に示す内容になっている。このような申請をどうして疑いもなく容認できるのか。
この決定は労働組合の活動に対する真っ向からの否定であり、また言論への弾圧でもある。
福島政幸裁判長については、他の事件でも不公正な訴訟指揮が指弾されており、裁判官としての適格性が疑 われる。また、このような裁判官の所属を許している民事9部は、労働事件で組合活動の禁圧を狙った経営の不当な申請に加担し、争議団・労働組合から再三の抗議を受け、是正を求められているにもかかわらず、機械 的に不当決定を出し続けて労働運動弾圧を促進する役割を果たしている。いずれも看過できないことであり、厳重に抗議する。
いま学研経営は、私たちに執拗に濫訴を仕掛けてきている。私たちの学研関連での組合活動が経営の問題体質を浮き彫りにし、ますます関係者と深く結び付いて行われていることに焦った学研が正当な争議行為圧殺を図っているものである。また、ココファンあすみが丘の件での濫訴は、居住者の声が社会的に拡がらないように隠蔽し、押し潰そうと狙ってきたものでもある。
今回の間接強制決定で、学研の争議責任を追及して、私たちがウエブサイトに掲載している記事を削除しなければ1日10万円を奪う、ということが強行されようとしている。やむなく私たちは、削除を求められた記事の部分を伏せ字にせざるを得ない。組合潰しの倒産・解雇攻撃を仕掛けて労働者の生活を破壊した学研が、その労働者からさらに金を奪うという理不尽な攻撃を仕掛け、「教育」や「出版」の看板を掲げながら言論弾圧を行っている。
いま、争議を現場で闘う労組・争議団に同種の仮処分・間接強制・損害賠償といった民事弾圧が頻繁にかけられ、裁判所が一体になって憲法に保障された団体行動権を踏みにじっている。多くの労働者の怒りが拡がっているが、なんら意に介さず、弾圧に加担している司法の腐敗、崩壊は深刻である。
これを許さず、私たちは闘っていく。 皆さんのご支援と注目を訴えます。
東京ふじせ企画労働組合・ふじせ闘争支援共闘会議