委員長のきまぐれ「週報」 争議団的暮らしとは

第2回 「毎日が日曜日」のはずが・・・
( 2000年5月15日〜21日)

組合活動週報
5月15日(月) 出版関連労組交流会議幹事会
16日(火) 学研社前闘争
17日(水) 学研社前闘争
18日(木) 学研社前闘争
19日(金) 南部交流会例会
20日(土) 機械工業新聞闘争経営一族関係イベント闘争、加部弾圧統一救対
21日(日) 学研役員自宅訪問・抗議


 全都の争議団の集まりである争議団連絡会議では、例月では第1土曜日の例会を、5月は大胆に第2にずらし、「争議団にも大型連休を」という願いを実現してしまいました。おかげで連休中は少し骨休めができました。
 昔は連休や夏休みは、争議団も、ささやかな日程ながら遊びに出かけたもので、私も他の争議団の仲間とツーリングに行ったりしたのを思い出します。夏は合宿を個別の争議団ごとに行い、当該(解雇されている当事者をこう言う)と支援(他の職場の労働者・労働組合)の仲間が共に討論は少し(ゼロの所もあり)、遊びをたっぷりという時間割で海や山を楽しんだものです。楽しみながら闘わなくっちゃ、という思いがあるわけです。最近は年齢と共に体力も低下し、背負う関係も多くなり、各争議団ごとの行楽は数が減ったようです(花見や忘年会など体を動かさなくていい行事はいまも盛んで飲み食いへの意地は旺盛で衰えをしらない)。毎日が日曜日状態の争議当該(ほんとうはビラ作り、共闘現場、会議等スケジュール目白押しで売れっ子の芸能人より忙しい)は無理に休みの日に遊ばなくても、平日、人が働いているときにすいている行楽地や映画館等に行けるのです。ほんとに、日中の1〜2時間がぽこっと空く日があったりするので、最近は皆、それぞれの趣味に当てたりしているようです。決まっている行動スケジュール、アルバイトの時間以外は、自分の裁量で過ごせる時間がある、ということはしかし、かえって自律が求められ、難しいものです。

 さて、この連休中の行動ですが、さすがに10連休などとはいかず、闘争も少しは入っていました。そう多くないのでここでの報告は割愛しますが、一つだけ、5月1日の新宿メーデーのことに触れておきましょう。
 各地で労働諸団体のメーデーが行われたこの日、東京新宿の柏木公園に全都から600名の労働者が集まりました。マスコミなどでは「ホームレス」と呼ばれている野宿の人々のメーデーです。職と住を失っているこれらの人々に対し、青島前知事は「あの方たちは好きでやってらっしゃる」発言を行いましたが、とんでもない錯誤でしかありません。様々な人生を背負ったこれらの人々の中には自ら家を捨てた人もいるかも知れません。しかし、それだって辛い決断であったかも知れないのです。強いられた状況を受け止めて生きようとするとき、人はそれを自らの選択として選び直し、その結果をひき受けようとします。「必然と自由」は古来より哲学上のテーマでありましたが、自らの尊厳をかけた静かな覚悟とでも言いましょうか。だから、私たちが「楽しみながら闘わなくっちゃ」というように野宿者の人々が日常生活を楽しもうとすることと、青島前知事のように外から「好きでやってる」と評することは全く違ったことです。
 失業率の増大と共に年々参加者が増えて、6回目を数えた新宿メーデーは、集会後、都庁前を通過し、新宿中央公園までのデモを打ち抜きました。途中、代表団が事前に申し入れていて東京都に回答を迫った「自立支援センター」の開設につき、都福祉局の「今秋開設をめざす」との発言が解散地に伝えられ、拍手で迎えられました。解散地では、私も全都の地域共闘の集まりである地域共闘交流会そして争議団連絡会議を代表して連帯の挨拶を行わせてもらいました。私たちは個別の経営者の不当解雇等に対して闘っており、彼らは、行政に「野宿者対策」の拡充を要求、また寄場で悪質ピンハネ業者をたたく等、闘っている領域は違いますが、失業との闘いは通じるところがあり、実際、新宿や渋谷の野宿のおじさんたちが、都内の各争議現場にもときどき支援にかけつけてくれています。

 最後にふじせ闘争ですが、今週は、3波連続で学研本社前闘争を行いました。しかも午前、午後にわたるほぼ全日の行動でした。ちょうど、学研は就職学生のための会社案内を行っている最中で就職難の世相を反映して、わずか12名の採用枠のところに、16日約300人、17日約200人、18日約200人の学生が来ましたが、その殆どが私たちのビラを受け取ってくれました。街頭などでは最近、一般的に若者のビラの受け取りがどこでも悪くなっていますが、さすがに自分が知りたい会社の情報には学生さんたちも関心が高いのでしょう。私たちが会社前に据えた立て看板にも通りかかって立ち止まり、食い入るように読む学生が少なくありませんでした。学研という会社の実態に驚いている様子でした。中には私たちに質問をして来る学生もあり、こちらも「入社したら是非、中から会社を改善してください」などと言ってしまいました。

 学研もこの6年程で約600人の削減を行って、ひたすら労働者への犠牲のしわ寄せで危機脱出を図っているわけですが、社前での争議状況を目の当たりにして、こうした各企業のリストラが就職難を一層ひどくしていることを学生さんたちも実感したことでしょう。前回に続き、争議の特質に触れて言えば、「争議」という場が、この拡散した時代状況の中でも人と人との出会いを生み出す舞台を創り出している、ということが言えるのではないでしょうか(少し大げさでしたか?)。